バイクメンテナンスの第一歩であるエンジンオイル交換。ドレンボルトやフィルターを外すたび、あちこちにこぼれて車体各部に付着するオイルに閉口するユーザーも多いはず。「後からウエスで拭けばいいか」と諦め得る前に、オイルが流れ出る方向を変えることを考えてみてはどうでしょう。ごく簡単な自作アイテムで作業効率がグッと向上することもあります。
エンジンオイル交換はフィラーキャップを外したところから始まっている!?

このキャップ(エンジン)は問題ないが、エンジンオイルに水分が混入するとキャップ裏側に乳白色のエマルションが付着していることがある。エマルションによってオイル性能は急速に低下するので、オイル交換時以外にも適宜外して確認しよう。油温が上昇しないまま短距離走行を繰り返すライダーは要注意。
走行距離や使用期間などを基準に定期的に交換するのがエンジンオイルです。ベースオイルの性質や粘度など、毎回同じオイルを使うのか様々な銘柄を試しながら入れるのかはユーザーによって異なりますが、自分でオイル交換を行う際にはエンジンから古いオイルを排出する工程が必ずあります。
オイルの汚れ具合を確認するためにまずはきれいなバットで受けたり、直接オイル処理パックに流し入れるなどドレン工程にも個人の流儀ややり方があり、エンジンパーツの摩耗具合を確認するには、抜いたオイルに沈殿物があるか否かを確認できるバットなどに排出した方が、処理パックに吸収させてオイルを見ずに処分するより良いかもしれません。
また抜いたオイルばかりでなく、新しいオイル(新油)を注入するフィラーキャップの裏側を観察することで、エンジン内部の状態を想定することができます。
キャップの裏に茶色く焦げたようなオイルスラッジが付着している場合、そのエンジンはオイル交換を疎かにしていた可能性があります。新車で購入して定期的にオイル交換を行っていたエンジンではそうしたことはありませんが、走行距離が多い中古車を購入する場合、キャップ裏側のスラッジは重要な情報源となります。
また酷暑レベルの夏場はあまり関係ありませんが、白みがかったクリーム状のグリスのようなものがキャップの裏側に付着している場合も要注意です。これはエンジンオイルとクランクケース内部の水分が混ざり合ったエマルションと呼ばれる液体で、一般的には外気温が低く油温を含むエンジン内部の温度が充分に上昇しない冬季に発生しがちです。
また夏場であっても、混合気が燃焼する際に発生する水分がブローバイガスとしてピストンリングとシリンダーの隙間からクランクケースに吹き抜けてエンジンオイルと混ざってエマルションを発生することもあります。
これを防止するには油温を充分に上昇させるのが有効で、裏を返せば油温が上がりづらいチョイ乗りはなるべく避けることが有効です。燃焼状態が良いエンジンは暖機中のマフラーから水がポタポタしたたることがありますが、燃焼によって発生した水分のいくらかがブローバイガスとしてクランクケース内に入り込んでいると思うと、油温を上げる重要性を理解できることと思います。
ドレンボルト周辺がオイルで汚れそうなら即席の「樋(とい)」を用意しよう
エンジンオイルを抜くためのドレンボルトはクランクケースやオイルパンの裏側、エンジンの最も低い位置に取り付けられており、車体を垂直に保ってボルトを外せばオイルが流れ出します。
オイル交換時に合わせて交換するオイルフィルターもまた、エンジン下部にあって着脱時にフィルター内部やクランケース内部に溜まったオイルがいくらか流れ出します。ドレンボルトやオイルフィルターを外す作業自体は難しくはありませんが、古いオイルをどのように流すかによって、後処理の手間が変わってきます。
クランクケース下部にマフラーがレイアウトされているバイクの場合、ドレンボルトを外して流れるオイルが付着してしまう場合もあります。純正マフラーであれば、多くの場合はメーカーが形状を考慮して干渉を避けていますが。アフターマーケット製マフラーではオイルが掛かってしまうこともあります。
また純正仕様でも、メインスタンドを使って立てた状態でオイルフィルターカバーを取り外すと、オイルドレンパンや廃油処理ボックスがカバー下にうまく入らず、床面を汚す可能性が高いGPZ900Rニンジャのようなバイクもあります。スイングアーム後端をメンテナンススタンドでリフトアップするか、サイドスタンドで作業すれば良いのですが、車体を直立させるためにメインスタンドを使いたいユーザーもいるでしょう。
この900ニンジャに限らず、エンジンオイルを抜く際に車体やマフラーに付着してしまうと、汚れた部分を清掃するのが面倒です。パーツクリーナーとウエスで拭こうにも手が届かず、新油を入れてエンジンを始動するとオイルの匂いが立ち上ることもあります。
そんな時にお勧めしたいのが、オイルを逃がすための樋(とい)の自作です。樋というと大げさですが、要はドレンパンや廃油ボックスとオイル排出口をつなぐ道を作ってやれば良いのです。
ここではオイルドレンボルトよりも広範囲からオイルが漏れ出すオイルフィルターカバーを受けられるサイズと形状の樋を厚紙で製作し、床やメインスタンドにオイルを着けることなくエレメントを取り外すことができました。
同様の働きをする工具として、表面をゴムコーティングしたアルミプレートもあります。これも便利ですがどんなサイズにも切ることができる厚紙は汎用性が高く、使用後は捨てられる気軽さがあります。
エレメント式オイルフィルターはカバー内部の部品構成に要注意
自作の樋を使ってオイル汚れを避けながらオイルフィルターを取り外したら、内部の構成を注意深く観察します。
オイルフィルターには金属カバー内にエレメントが組み込まれた「カートリッジ式」とカバーのない「エレメント式」の2種類があり、GPZ900RニンジャはカワサキZ1/Z2以来の伝統であるエレメント式を採用しています。
エレメント式は大きなカバーを外す際にカバーの周囲からオイルがビチョビチョと流れ出すだけでなく、中心部のボルトにOリングやスプリングが組み込まれており、分解清掃後は各部品を正しく復元する必要があります。
特にセンターボルト根元とカバー外周のOリングはオイル滲みや漏れを防ぐ重要な部品なので、エレメント交換の際には必ず新品に交換しましょう。
オイル交換時はあちこちにオイルが付着するのは仕方ない面もありますが、汚れを最小限に留めることで掃除の手間が減り効率がアップします。いつでもオイルを拭き取れるよう手元にウエスを用意しておくのはもちろん、ドレンボルトを緩める前にオイルの流れ方を想定して道具を用意することで余裕を持った作業できるようになるためおすすめです。
- ポイント1・オイル交換時は抜いたオイルだけでなくフィラーキャップの裏側を確認することでオイルコンディションの一端を知ることができる
- ポイント2・エンジンオイル交換でドレンボルトを外した際に、流れ出たオイルがドレンパンに流れず車体に付着する場合がある
- ポイント3・オイルの流れに即した樋(とい)を自作することで車体や床面の汚れを減少できる
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真下に流れるとは限らない………
オシッコかな?