YAMAHA Trail 250 DT-1 1969 Vol.14

オフロードモデル好きのバイク仲間が、うみ出し&走行距離を重ねてくれているヤマハトレールDT1。最近になり、エンジン始動時は良くても(冷間始動時)、ひとたびエンジンが温まると、その後は「始動不良に陥る」ことが何度かあったらしい。とりあえずは現状を再確認するのと同時に、その症状を再現できないものか……。過去に似たようなトラブル経験があったので、過去の経験を参考に、イグニッションコイルを流用交換することにした。


直流ではなく「交流コイル」のヤマハDT1。同タイプのモデル探しから開始

冷間始動時にはキック1発で快調始動するのに、ひとたびエンジンが温まると「キックの鬼」となることが多いDT1。エンジンではなく、おそらく点火系……?そこで、4ストミニのカスタムコンストラクターで知られるミニモトから発売されている交流コイル、モンキーやスーパーカブやCD50などなどのリプレイスパーツ=交流IGコイルを利用することにした。

プラグの焼けは悪くないが、完全暖気後は中速域から高速域へと入るあたりで加速力が鈍り、エンジン回転に引っかかり感があるらしい。明らかにキャブではなく電気系だと思うが!?


ガソリンタンク下にあるIGコイルの取り外しから作業開始

以前にプロデュースした木製のエンジンメンテナンス台は、ガソリンタンクを取り外してメンテナンスするときの「タンク置き台」としても大変便利。使い方はいろいろだ。

ガソリンタンクの下にヤマハ純正IGコイルをマウントするDT1。そもそもハイテンコードの取り出し部分には、接着補修した形跡があった。そもそもDT1のIGコイルはトラブルが多いらしい。


ハイテンコードの取り出し部分を接着剤で固定してあった。走行振動でこの部分にガタが生じ、ハイテンコードが断線しやすくなる可能性も。トラブル要因のひとつと言えそうだ。

ミニモトから発売されているIGコイルを購入。偶然にもヤマハ純正コイルの長さと同寸だった。純正コイルのブラケットを取り外して、新コイルと合体すれば、取り付けもボルトオンになる!?


純正IGコイルのブラケットを転用して一体化に改造加工

ヤマハ純正イグニッションコイルの固定ブラケットは、コイル本体側の鉄芯にカシメ固定されていた。このカシメをベルトサンダーで削り落としてパーツをセパレートにしよう。

ヤマハ純正のIGコイルブラケットは、薄板を重ねたタイプなので、カシメピンの抜き取りが大変だった。新コイルとの組み合わせ時には、ボルト固定にしようと思う。


カシメピンがなかなか抜けず、カシメ部分を削ってから平ポンチで叩いても、ブラケットが変形してしまう始末。ピンセンターにポンチを打ち、ドリルでピンの中心に穴加工開始。


IGコイルの鉄芯とブラケットを固定するカシメピンを抜き取れば分解することができる。ここでは純正ブラケットを利用するが、新IGコイルとのマッチングや如何に!?


IGコイルボディが太いので、ブラケットを削って対応した 

ミニモト製の交流IGコイルからもブラケットを取り外した。純正コイルのブラケットと新IGコイルを一体化できるか否か!? ここでわかったのは、新コイルボディがやや太かった。


純正コイルブラケットのフトコロが浅いので、フライス盤を利用してエンドミルでブラケットを平均的に削り落とした。ディスクサンダーやベルトサンダーで削っても良い。


新コイルのボディが干渉しないようにブラケットのフトコロを削って対処した。鉄芯とブラケットの固定は、M6ボルトを利用してネジロック剤を塗布し、しっかり締め付けた。

ヤマハ純正IGコイル用ブラケットを転用したことで、フレームへの取り付けはボルトオン。鉄芯がしっかりアースしていることをテスターで確認してから配線を接続した。



POINT
  • フルレストアのポイント・中古部品を数多く使って組み立てたDT1なので、走らせていくうちに、いろいろとトラブルが出るだろうとは思っていたが、IGコイルのコンディションが今ひとつ良くなかった。暖機運転後に始動性が悪くなるケースでは、エンジンやキャブではなく、電気系にトラブルを抱えているケースが多々あるので注意しよう。

レストア直後のバイクは様々なトラブルが起きやすい。例えば「ウインカーが誤作動する」とか「ホーンの鳴りが悪くなった……」などなど、様々なトラブルが発生する。そんなウミ出し作業と試運転を、近所に住む先輩ライダーにお願いしている今回。先日は、アイドリング域では安定しているウインカーの点滅が「エンジン回転を高めると超ハイフラッシャーになって、そのうち点灯しっ放しになってしまう……」との連絡があった。ガレージ内でエンジン始動後、アイドリング状態でウインカーを出すとスムーズに点滅。ところが、エンジン回転を高めると、確かに誤作動する。

そこで、シートを開けてウインカーリレーを引っ張り出し、車体の外でウインカーリレーを「手に持った状態」で同じテストを行ってみた。すると今度は、正しく点滅。ちなみにエンジン回転をギンギン高めても、整然と点滅した。この問題の原因は、エンジン振動の多さに間違いない。そこで、新たにリレー用ステーを手作りして、ラバーマウントを追加してフレームに締め付けた(ウインカーリレーはDT1純正のラバーダンパー仕様)。すると、ある回転域までは整然と作動しているが、高回転域では点灯状態になってしまった。ラバーダンパーの効果を得られたものの、まだまだ納得できない。さらなる安定化を目指すのであれば、2極配線仕様のウインカーリレーから3極配線仕様へ交換し、専用アース回路を追加すれば、現状以上に安定作動を得られるはずだ。次の機会には、3極リレー仕様に改善してみよう。

ホーンの響き不良は、ホーン本体がフレームの一部と干渉していたのが原因のようだ。DT1のホーンは、取り付け位置が狭くスペースに余裕が無いので、ここでは、ホーン本体をグイッとひねってステーを曲げ、フレームと干渉しないように対策した。たったそれだけで、これまでとは異なりホーンの響きは抜群に良くなった。


さらなるトラブルは、エンジン暖気後に始動性が著しく低下することである。お話を伺うと、完全冷間時のエンジン始動はバッチリOK。ところが、一服休憩後に走り出そうとキックを踏むと、それこそ「鬼キック状態」で、始動に至らないことが多いらしい。仕方なく、さらに30分ほど休み、もう一度キックすると「あれっ!?」って感じで、簡単に始動できるそうだ。

そんなトラブル症状は「イグニッションコイル不良」だと判断できる(エンジン側点火コイルのエキサイターコイル不良も考えられる)。交流コイル(純正形状に似たACコイル)を探すと、4ミニカスタムでお馴染みのミニモトからボルトオンできそうな数種類のリプレイス用IGコイル(フラマグポイント用交流コイル)が販売されていた。適合機種は、モンキーにゴリラ、スーパーカブにCD50やSS50用などの6Vモデル用。ちなみにフラマグポイント点火のACコイルは、6V/12Vに関わらず互換性がある。そこで、ウェブ画像と現物を見比べながら購入したのがSS50用のリプレイス品だった。

装着までの紆余曲折は写真解説の通りだが、コイル交換後は、冷間時も完全温感時もキック一発で始動可能になった。しかも温感時に出ていた中速から高速域へのボコ付き症状も解消されたようだ。賞味期限切れの純正パーツにこだわらず、機能部品でリプレイス品があるときには、そんな新品パーツのチョイスも視野に入れると良いだろう。

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