ガレージ保管のバイクにはほぼ無縁だが、屋外保管や雨天ツーリングもガンガン出かけるタイプのバイクだと、ガソリンタンクに水が混ざっていることがあります。タンク自体のサビ取りを行っても、しばらく経つとまた水が入って錆びている……。そんな時にはタンクキャップの近くにあるブリーザーパイプが詰まっていないか? 確認してみましょう。

エアープレーンタイプのタンクキャップの構造を知ろう

元々は航空機用として使用されたフラッシュサーフェイスデザインの形状を、バイクに応用したエアープレーンキャップ。バイク用としても最初はレース部品として使用され、1980年代半ばから市販車にも使われるようになった。

ガソリンタンクのタンクキャップには、給油口がタンクの上に取り付けられたタイプと、タンク上面から一段下がった位置に取り付けられたタイプがあります。スポーツバイクの多くが採用する後者はエアープレーンタイプキャップと呼ばれており、キャップとタンクがツライチになっているのが特長です。
構造に注目すれば、タンク表面から一段下がった位置にキャップと取り付けつ台座や給油口を取り付けなくてはならないエアープレーンタイプより、タンク上面に立てたパイプに蓋をするだけのオーソドックスなタンクの方が、作業工程でもコスト面も優れているのは間違いありません。しかしスタイリッシュなデザイン性の点ではエアープレーンタイプにはかなわず、中型以上のスポーツバイクでは定番の装備となっています。

給油口周辺に溜まった雨水を抜くためのブリーザーパイプ

タンクキャップの台座を固定する帯状のフランジがあり、その下に給油口があるため、給油口と底部の段差はほんのわずか。給油口の上に見える穴がブリーザーパイプの入り口で、車体中心から左にあるのでサイドスタンドで立てた際も水は流れるはずだが……。

給油口がタンク表面より低い位置にあるエアープレーンタイプのタンクキャップには、給油口の近くに必ずブリーザーパイプが取り付けられています。
このパイプには、給油時に給油口から溢れてしまったガソリンや、屋外保管や雨天走行時にタンクキャップ周辺に流れ込んだ雨水を排出する役割があります。これは、給油口から溢れたガソリンはタンクの表面を伝って流れ落ちる、タンク上に給油口がある昔ながらのタンクキャップとの違いです。
鉄製のブリーザーパイプは給油口脇からガソリンタンク内を貫通し、底部や後部からタンク外に引き出されてゴムホースが差し込まれ、排出口はエンジン下やスイングアームピボット付近となっています。
余談ですが、タンク内側にブリーザーパイプが配置されたガソリンタンクのサビ取りには注意が必要です。
サビ取りケミカルとともに鉄製のチェーンをタンク内に入れてグルグル揺することで、サビにチェーンを擦りつけてサビ落とし効果を促進することがよくありますが、ブリーザーパイプの配管レイアウトやチェーンのサイズや量によってはタンク内で絡まって取り出すのにとても苦労することもあります。
小さな給油口からガソリンタンクの内部構造を正確に判断するのは難しいこともありますが、ブリーザーパイプが設置されていることが明らかな場合、チェーンなどは併用せず、ケミカルだけでサビ取りを行った方が無難です。

ゴミ詰まりやパイプ内部のサビがトラブルの元

給油口横の入口側からパーツクリーナーをスプレーしてもブリーザーパイプ内には通らずすべて吹き返してしまう。このタンクはサビ取りをしてもいつの間にかサビが発生してしまう状態を繰り返していたが、給油口周辺に溜まった雨水が抜けないのだから致し方ない。

パイプ入口側はちょっと下ってすぐにタンク後方に向けて曲がっており、固い針金がほとんど挿入できない。そこでタンク後部から挿入して、固い堆積物を少しずつ砕きつつ開通を目指す。

ある程度進んで手応えがあったとことで、パーツクリーナーをスプレーする。これは防錆潤滑スプレーでもエアーブローでも良い。

エアープレーンタイプのガソリンタンクのブリーザーパイプは、タンクキャップを開閉する際にタンク表面より低い位置にある給油口周辺に残った雨水等がタンクに流れ込まないようにするために設けられた重要な部品です。
ほとんどのユーザーはキャップ周辺に水が溜まるような扱い方はしていないと言うでしょうが、たとえ車体カバーを掛けていても屋外保管だったり、通勤や通学、ツーリングなどで雨天走行する機会があれば、タンクキャップ周辺の窪みには必ずと言っていいほど雨水は溜まります。
そうした雨水はブリーザーパイプが機能している間はユーザーが知らないうちにタンク外部に排出されているので気づくこともありません。しかし何かの理由でパイプが詰まると、抜けるはずの雨水は給油口周辺に残り続けてしまいます。その状態でキャップを開けると雨水はガソリンタンク内に流れ込んでしまうのです。
ブリーザーパイプが詰まるにはいくつかの原因があります。
屋外保管の場合、雨水だけでなくタンクキャップの周囲に砂ぼこりなどが溜まることがあり、それらがパイプに入って抜けずに詰まることがあります。そこに水分が加わってパイプ内で固まってしまうと、さらに錆びやすくなります。
砂利や水分だけでなく、ガソリンタンクから外部に出たパイプに接続したドレン用のゴムパイプがどこかに挟まったり折れ曲がり、水が抜けなくなったことが原因で詰まりが発生することもあります。
このようにブリーザーパイプが詰まる理由は複数ありますが、いずれの場合も詰まりの解消が必要です。まずは給油口横のパイプ入り口からパーツクリーナーや防錆潤滑スプレーを吹き込みます。症状が軽度であればこれで開通するかもしれません。
この方法で効果がなければ、サビや異物を取り除くためパイプに針金などを挿入します。ただしブリーザーパイプは入り口から出口まで一直線になっているわけではなく、タンク内部で複雑に曲がっていることも少なくありません。またパイプの内径もせいぜい5mm程度しかありません。
そのため太くて固い針金を無理に突っ込めばパイプの曲がり角で突き当たったり、パイプ内にすでにサビが発生していれば突き抜けて穴が空いてしまうかもしれません。ブリーザーパイプに穴が空くとそこからガソリンが漏れてしまうので、さらに大きなトラブルにつながります。
これを避けるには、パイプに挿入する先端部分をほぐした自転車のブレーキケーブルやバイクのクラッチケーブルなどを使用することをお勧めします。腰の強さではバイク用の方が勝りますが、パイプの曲がり具合によってはしなやかな自転車用ケーブルの方が良いかもしれません。さらに、閉塞物の掘削効果アップのためにケーブルをドリルで回転させることも有効でしょう。

詰まりを解消したら定期的にパイプの通り具合を確認しよう

サビ色のパーツクリーナーがジワジワと湧き出してきてパイプの貫通を確認できた。さらに地道に針金を突き刺し続けてパイプ内部を拡大し、給油口側から流した水が抵抗なく流れ出せば修理は完了だ。

ここで紹介する事例では、より線のケーブルが手元になかったので針金を慎重に突っ込みながら開通を目指しました。また、給油口側はパイプがすぐに曲がっているようで針金がつっかえてしまうので、タンク後部の出口から防錆潤滑スプレーを吹き込みながら地道に掘り進めて行きました。
その結果、幸いなことにパイプを傷つけることなく、出口側から吹き込んだパーツクリーナーが給油口側からジワジワとにじみ出して無事に開通。一度パーツクリーナーが通ってしまえば、あとはエアーブローガンと針金で穴を拡大して、最終的には充分な流量を確保できました。
しかしながら一度錆びたパイプはまた簡単にサビてしまうので、水洗後に出口を塞いでコーティング効果のあるガソリンタンクサビ取りケミカルを注入。どの程度効くかは経過観察が必要ですが、それとは別に定期的にエアーブローも忘れず行うことで汚れやゴミの詰まりを防ぐことができるはずです。
ブリーザーパイプなど機能するのが当たり前だと思い込んでいるライダーも多いと思いますが、一度詰まると不具合が連鎖する部分でもあります。構造と弱点を知ることで適切な対処ができるようにしておきたいものです。

POINT

  • ポイント1・エアープレーンキャップを装備したガソリンタンクには、給油口近くに水抜き用のブリーザーパイプが設置されている
  • ポイント2・屋外保管や雨天走行を行うことで細いブリーザーパイプが詰まると、タンクキャップを開いた際に周囲の水がタンク内に入ってサビの原因になることがある
  • ポイント3・詰まったブリーザーパイプはより線のケーブルや針金などで丁寧に開通させて、パイプ内部の防錆処理を行う
ギャラリーへ (6枚)

この記事にいいねする


コメントを残す