低年式車なら当たり前、高年式車でも、バイクの保管状況によってはコンディションが低下しがちな電気配線の接続端子。
端子同士の接触部分の腐食や劣化や汚れによって、電気の流れに抵抗が生じ、バルブが切れたり、配線抵抗で熱が発生して「カプラを溶かしてしまう!!」といったトラブルも発生する。
最悪の場合は配線が燃えてしまい、「メインハーネス交換」といったケースも考えられる。
ここでは、配線ハーネスの接続部分(カプラやコネコター端子部)の安定化やバルブの「球切れトラブル」を、できる限り回避するための点検&メンテナンステクニックを紹介しよう。

ヘッドライトバルブ裏に少量塗布

信号待ちで空吹かししたら、ヘッドライトが小刻みにフラついたので(点いたり消えたり繰り返し)、ヘッドライトバルブを外してソケットをワイヤーブラシでクリーニング。
さらにバルブ端子に通電性を安定させるカーボングリスを「うっすら伸ばして塗布」することで、バルブ接点の接触が安定しヘッドライトが復活!!
決して厚塗りしないこと。

カプラの配線端子にも少量塗布

洗車後は外装パーツの拭き取りだけではなく、たまには配線関連のメンテナンスも行おう。
各カプラをひとつずつ抜き取り、端子をパーツクリーナーで洗浄。
その後、ごく少量のカーボングリスを塗布して、カプラを何度か抜き差しし、ウエスで拭き取ると良い。


全国チェーンの工具ショップ、ストレートで取り扱っている「通電グリース」。
ほんの僅かだけ端子接触部分に塗布し、カプラを何度か抜き差しして表面の汚れを落とすことで、導通性の安定を追求できる。

カッパー=銅粉を練り込んだコパスリップ

本来ならボルトの焼き付きやカジリ防止用に開発されたコパスリップ。
耐熱グリースにカッパー=銅の粉末を練り込んで製造されている。
バッテリー端子台締め付けボルトや端子の接触面に塗布することで、電気の流れを安定化できる特徴もある。

バッテリー端子は腐食しやすい箇所の筆頭だ。
端子の締め付けボルトが緩むと電気の流れが悪くなるので、ボルトの締め付けは定期点検箇所(増し締め)の筆頭だ。
端子を締め付ける際には、ボルトのネジ山や端子接点に通電安定ケミカルを塗布して締め付けるのがよい。
締め付け後にハミ出したケミカルはウエスで拭き取ろう。

実は「摩耗している」電球端子の先端

金具ソケットのウインカーバルブやテールランプバルブの端子先端は、バルブソケット側端子との摩擦で「摩耗」が進んでいることが多い。
摩耗が進むとソケット側端子とのアタリ面積が拡がり、そんな状況で振動発生時は導通性が低下する。
摩耗したバルブ先端は、平ヤスリを使ってエッジのバリ部分を削ると導通性が安定し高まる。

新旧関わらずソケットのハマリ具合が重要


新品バルブへ交換したのに、ウインカーやテールランプが不安定な点灯だったり、走行振動や空吹かし中の点滅が不規則になるなど、ランプの点灯トラブルは意外と多い。
そんな不安定動作の原因には、ランプソケット部のガタがある。
バルブをセットした後に頭を振り、バルブが揺れるときにはソケット側をプライヤーでつまんでピッタリサイズに調整してみよう。

POINT

  • ポイント1 バルブ端子に導通性を高めるカーボンやカッパーのグリスを塗布することで点灯安定性が高まる。
  • ポイント2 バルブ端子が摩耗していたら、バリ部分をヤスリで削り落とす。端子中央は削らない。
  • ポイント3 ボディ側ソケットのガタはプライヤーで補正しよう。

電気メンテナンスを嫌うサンデーメカニックは数多い。

例えば、夜間走行時にヘッドライトが「点いたり消えたり」、また、信号待ちのニュートラル時に空吹かしすると、ニュートラルインジケータランプが点いたり消えたり……。
そんな状況を経験したことがあるライダーは数多くいるはずだ。
また、通常走行から全開走行へ入ったとたんに、ヘッドライトが驚くほど明るく点灯するような経験をしたことがあるライダーも数多いはず。
この症状は、特に6Vバッテリー車に多い現象ともいえる。
そのような原因の多くが「バッテリー本体の劣化」である。
昼夜を問わず走行中にはエンジン回転で発電された電気が、バッテリーへ充電されるもの。
しかし、バッテリー液面が低下していたり、ノーメンテナンスで乗り続けてバッテリー液が干上がってしまった状況では、まともな充電ができず、発電された電気のすべてが車体回路へ周り、過電流かつ過電圧になり、気がついたときには電球という電球をすべて「球切れ」にしてしまうこともあるのだ。

普段からバッテリー液面の高さ=ロアからハイレベルまでの範囲を気にするように心掛けよう。
また、ロアレベルに近づいたら、バッテリー専用の補充液や強化液なる商品でバッテリー液面を合せなくてはいけない。
特に、6V仕様車は、バッテリー液を干上がらせてしまいやすい特徴があるので、原付クラスの旧車は、特に、バッテリーコンディションの維持点検も重要でもある。

接点部分は走行振動によって動き、時には摩耗し、時には腐食によって、通電性を低下させてしまう。
特に、旧式コネクターの端子接点や金具バルブの場合は、致し方ないものだと考えよう。
現在のモデルでは、防水コネクターやウェッジ球を採用することで、トラブルの発生は以前と比べて相当に少なくなっている。

もはや一過性ではない旧車ブーム。
旧車を制するには電気トラブルを克服しなくてはいけないのは、もはや常識でもある。
だからこそ、初歩的かつ当たり前のような電気メンテナンスを定期的に行うことで、大好きな旧車ライフ、大好きな愛車を末永く楽しみたいものだ。

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