今では当たり前の水冷エンジン。風呂のお湯を交換しないと気持ち良く入浴できないのと同じように、この冷却水=LLC=ロングライフクーラントも定期的な交換が必要である。ロードバイクなら、最低でも2年に1度は交換。理想的には年1回交換したいが、サーキット走行するレース用バイクなら、走行毎に冷却水交換したいところである。ここでは、オーバーヒートの防止を目的に、ヤマハV-MAXのLLC交換を実践しよう。
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見るからに発熱量が多そうな1200ccV4エンジン

本来ならガソリンタンクのような部品だが、V-MAXの場合はデザイン的なカバーであり、取り外しは簡単。真のガソリンタンクはシート下にあるため、冷却水メンテナンスの際に重いガソリンタンクを取り外す必要は無い。
作業前に揃えておきたいパーツ類

作業前の点検で劣化を確認していたラジエターホースのアッパーとロアー、温度管理で重要な役割を果たすサーモスタッドは問答無用で新品部品へと交換した。その他にもパーツリストで確認できたOリングなども、すべて新品部品を購入した。

通称LLCと呼ばれるロングライフクーラントを利用する。水道水を入れてしばらく走ると、冷却水がやや赤味を帯びることに気が付くが、その原因はサビだ。LLCにはダイレクト注入タイプと水道水で希釈するタイプがあり、防錆効果が高い。
冷却水交換の前には現状コンディションを確実に把握しよう
数多くあるドレンボルトはすべて取り外して作業進行
単に新品部品を組み込むのではなく、養生してから組み込もう
リザーブタンクは「レベル線」に注意。満タンにしないこと

ラジエターにLLCを注入したら、リザーブタンクのロアレベルまで冷却水を注入してエンジン始動しよう。エンジンが温まりサーモスタッドが開くとLLCが流れ込むので、減った分のLLCを追加注入し、ラジエターキャップを閉じよう。
- ポイント1・LLCが古くなったり、水道水を利用すると冷却通路内の鉄部品にサビが発生してしまいダメージの原因になる
- ポイント2・LLCにはそのまま注入するタイプと水道水で希釈するタイプがあるので、利用時には取説を必ず確認しよう
- ポイント3・エアー抜き後にLLCを補充し、エンジンが温まった時にはラジエターキャップは外さないこと。キャップを外す際には、エンジンが冷えていることを確認しよう。冷却水が熱いと吹き出すので火傷の原因になる
不動期間が長かった水冷エンジンモデルを再始動する際には、何よりも先にラジエターキャップを開けて、冷却水コンディションを確認しよう。キャップの口切りまで入っていれば良いが、量が少なかったり(冷却水漏れしている可能性がある)、口切り満タンだったとしても、冷却水が明らかに無色水で、しかも赤味を帯びているような際には、冷却通路内のどこかの部品がサビ始めていると考えられる。冷却水漏れしている場合は、外側に漏れているのか、内側へ漏れているのかも確認しよう。外部に漏れている時には、冷却パイプとエンジンの接続部や冷却パイプとゴムホースの接続部分を確認してみよう。例えば、ホースバンド周辺やエンジンとの接続部が漏れた冷却水によって白く変色している様子を目の当たりにできるはずだ。 内側へ冷却水漏れ=エンジン内部にLLCが漏れているケースもある。エンジンオイルのチェック窓があるエンジンなら、窓の周辺内側が白く曇っていたり、オイルフィラーキャップを開けた時に、キャップの裏側に白いクリーム状の異物(通称エマルジョン)が堆積していることもある。冷却水がエンジン内部に漏れていると、大方このような症状が発生する。エンジンタイプによって異なるが、インペラの軸受け部にあるメカニカルシールが痛んでいるケースもあるし、最悪で、シリンダーベースからクランクケースへ冷却水が滴り落ちていることもある。いずれにしても、エンジン内部に冷却水が漏れ落ちている場合は、分解修理の覚悟が必要になる。
サビ水状態であることを確認した場合は、ウォーターポンプのインペラを必ず確認しよう。ヤマハV-maxではなくカワサキGPz900Rニンジャの中には、不動期間が長かった時にインペラがサビて徐々に朽ち、公道復帰後にオーバーヒート症状が続くのでウォーターポンプを確認したら、インペラの羽が半分以上、サビ腐りで朽ちていたケースもあった。すべてのモデルがそうではないが、80年代に開発された水冷エンジン黎明期のモデルでは、そのようなトラブルもあるので注意しよう。サビ問題に関しては、水道水ではなくLLC=ロングライフクーラントを利用することで、防錆効果を得られるので必ず利用しよう。
V-MAXの冷却系メンテナンスでは、ラジエターのアッパーホースとロアホースを交換し、冷却パイプに組み込まれるガスケット(Oリングなど)もすべて交換した。特に、ホースとパイプのフィッティング部分には、サビや固形物が堆積していてなかなか除去できないので、スクレーパーでガリガリと除去した後にワイヤーブラシで擦って、ゴムホースと接触する面をクリーンナップしてから部品復元するように心掛けよう。
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