メーカーが車両出荷時に設定したキャブセッティングにこだわるのは決して悪くないが、例えば、エアークリーナーケースを取り外してエアーファンネル仕様にしたり、パワーフィルター仕様にすることで、当然ながらエアー吸入量が増加し、ガスが薄くなってしまったり、コントロール性が今ひとつになってしまうことがある。そんなときに便利なスペシャルパーツが「燃調キット」と呼ばれる商品である。
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メインジェット、スロー(バイロット)ジェットを数種類同梱

レースセッティングと同じレベルまでツメる気にはさらさらなれないが、走行後のプラグチェックや走行フィールなどで、気になる部分があるときにはセッティングを見直すことも重要だ。旧車のキャブいじりで頼もしい味方と呼べるのが、キースター製の燃調キットである。

キャブレターパーツのディストリビューターとして、世界的に長い歴史や数多くのユーザーを持つのがキースターブランド。ノーマルキャブレターに対応したオーバーホールパーツ以外に、ノーマルデータをベースに前後周辺のセッティングを可能にした「燃調キット」が存在するモデルもある。ラインナップを確認してみよう。

スロー(パイロット)ジェットとメインジェットはノーマルデータに対し前後サイズが同梱される。セッティングのみならず、オーバーホール視点でみても大変便利なフロートチャンバーガスケットや各種Oリングなども同梱されている(販売は1ボディ単位)
撮影協力/キースター(岸田精密工業) www.keyster.jp
フロートバルブキットがありがたい!!

モデルによってはフロートバルブとバルブシート+パッキンのセットも同梱される。キャブによってはボディ一体のバルブシートもあるが、カワサキH1用のミクニキャブはフロートバルブシートもセットだ。取り付け確認時には「油面の高さ」を必ず調整しよう。
セッティングの迷宮にハマることが多いジェットニードル

カワサキH1/H2やミドルトリプルのS1/S2/S3の場合は、ジェットニードルの脱着時にピストンバルブ用のガイドバーが邪魔になる。ガイドバーが曲がると同調不良の原因になるので、仮に取り外した際にはガイドバーのコンディションを確認しよう。

しばらく乗らなかったバイクやパワーフィルターやエアーファンネル仕様のバイクは、このジェットニードルが湿気で腐食し、エンジンが本調子で吹けない例もある。ニードルの汚れはメタルコンパウンドで磨き落とそう。ストレート径の違いを中心にセッティング可能。

エンジン始動後、アイドリングするようになったら試運転へ出掛け、プラグの焼け具合を確認してみよう。汚れが酷いときは試運転前にプラグ清掃もしくは新品プラグに交換しよう。低速、中速、高速域とプラグ各所の焼け具合でその現状を判断できる。

プラグキャップの電極周辺がメインジェット領域。縦電極を支えるガイシ部分はジェットニードルのストレート径領域。ねじ込み座となるボルト部の端面がスロージェット(パイロットジェット)の領域だと想定し、セットアップしてみよう。

絶版旧車の空冷2ストモデルは、一部の強制開閉式キャブレターモデル(スズキのGTトリプルシリーズなど)を除き、独立ボディ仕様なので、キャブ本体の脱着は比較的容易である。普通に走れるコンディションでも、キャブ内の汚れには要注意だ。

スロー(パイロット)ジェットには、側面にエアブリード穴がある。その穴がゴミで詰まっていると、アイドリングが不安定になってしまうので要注意だ。脱着時は、溝の形状と寸法に合致したキャブ専用ドライバーが絶対的に使いやすい。
近々ユーザー車検にトライするのなら

ユーザー車検の鬼門と言えば、誰もが「ヘッドライトの光軸」検査ではないかと思う。過去に困った方も多いことだろう。ぼくの場合は、マーキングボードを作り、前回の車検合格直後に、光が照射する範囲やその中心点を明確に書きこんでいる。

メインスタンドを使わずにバイクへ跨り、前方にボードを立てて光軸調整を行う。前回記したときと同条件でバイクを固定し、光軸線に合わせて調整するのだ。今回もこの方法で、光軸を正し、車検は難なくパスすることができた。

正直なお話し、検査官次第が多い検査ライン。「ギヤチェンジポジションの明記」にこだわる担当者に当ると指摘されるので(見落とされるケースも多々あります)、絶版旧車や外車の場合は、事前にシフトパターンを明記しておくのが良い。

今となっては珍しいダイモテープやテプラなどを利用して、シフトパターン明示してから車検に臨むようにしている。走りながら見るものではないので、何の意味があるのかは不明だが、里帰り旧車や外車では、特に指摘されることが多い。ハンドルスイッチの明記にも要注意。ホーンやターンシグナルやライトのロー/ハイだ。
- ポイント1・走行距離が進めばエンジン内コンディションも変化し、燃調もそれに合わせる必要性がある
- ポイント2・マフラー交換によって吸入系コンディションに変化が現れたら、キャブセッティングが必要なケースも
- ポイント3・パワーフィルターやエアーファンネルの装備でキャブセッティングは様変わりする
真夏日や猛暑日にマッハ号(500SSマッハⅢ)を走らせると、明らかにパワー感が今ひとつで、スカッと爽快な気分になれないことが多かった。それに比べて、涼しくなった季節、どちらかと言えば、肌寒くなる季節は、エンジンの回り方がスムーズ且つチカラがあって、気持ち良く走ることができる。さらに真冬になると、エンジンはより一層絶好調になるが、ライダーが着膨れモコモコ状態になるため、やっぱりバイクに最高の季節は、昔なら「10~11月」、温暖化が激しいここ数年なら「11月末から年末あたりまで」と言ったところになるのだろうか……。そんな最高の季節を、マッハに限らず、特に空冷2ストロークエンジンモデルで「気持ちよく走る!!」ためのご提案をしたいと思う。逆に、猛暑の季節でも、燃調セッティングの見直しによって、気持ち良く走れるコンディションになることもある。絶版車の多くは、2ストエンジン、4ストエンジンを問わず、キャブレターに何かしら問題を抱えている例が多く、キャブの調子が今イチだと、本当に気持ち良く走ることができない。そんなときには、思い切って「キャブいじり」するのも一考だろう。
特に、カワサキトリプルシリーズの場合は、エアーエレメントを取り外したり、エレメントのみならず、エアインレット系をすべて取り外してパワーフィルター仕様に変更したり、さらにはアフターマーケットのチャンバーを装備する例も多く、そんな吸排気仕様で「ノーマルキャブのセッティングのまま」といった実例が意外と多い。偶然にもノーマルセッティングがベストなケースもあるとは思うが、吸排気系をモディファイした場合は、スロー(パイロット)ジェットやメインジェット、ジェットニードルをリセッティングすることで、現状エンジンコンディションに合致したセッティングを探り出すことができる。
例えば、エンジン始動時は調子良く、始動性も良好なのに、ひとたびエンジンが温まるとアイドリングが今ひとつ不安定だったり、たまにスロットル全開で走るとバックミラーには爆黒煙(4ストエンジンの場合)が見えたり……。そんなコンディションのバイク、経験したことありませんか? このようなマシンこそ、リセッティングによって「不良症状を改善できる」のだ。
マッハシリーズに限ったことではないが、スターター機能がシャッターチョークではなく、バイスターター仕様(プランジャを引き上げてガスを強制的に濃くする=2スト車はこの仕様が多い)の場合は、スタータープランジャのコンディションも疑おう。ガスの流れを封じるパッキン(ゴムシート)が、プランジャ底に付いているが、このパッキン不良によって、常時ガソリンが流れ込み、エンジンが温まるとガスが濃くなってしまうケースが、実は多い。エンジンが温まってアイドリングしている時に、マフラー排気口の後方に立ち、排気ガスの様子を確認してみるのも良い。目がチクチクしたり、鼻にツンとくるガソリンの臭いがするときには、低速域でガスセッティングが濃いと考えられる。大方その原因は、プランジャ不良もしくはスロー系にあると言っても良いだろう。時には、ニードルジェットの穴が磨耗で楕円になり、アイドリング時にメインノズルからガソリンが噴出してしまっている例もある。もっと身近な問題としては、エアー&パイロットスクリューの調整不良も考えられる。
暖気運転後、アイドリングは至極安定しているのに、スロットル開け始めにバラついたり、エンジン回転がストール気味になる場合は、ジェットニードルの「ストレート径を変更する」ことで、それまでとは違った印象を得られることも多い(クリップ段数の変更だけでは収まらないこともある)。いずれにしても、アイドリング&低速域を制すことができれば、中高速域は比較的セッティングは容易と言えるだろう。2ストモデルの場合は、メインジェットを絞り過ぎないように要注意。高速焼きつきの原因になるためだ。
そんなキャブセッティング時に、心強い味方となるのが、キースターブランドから発売されているキャブレター用「燃調キット」である。ガスケットやパッキンなどなど、一般的なオーバーホール用パーツのみならず、標準セッティングのスロー(パイロット)ジェット&メインジェット、ジェットニードル以外に、微調整が可能な各種ジェットなどが1パッケージ(1ボディ用)で販売されている。機種によっては、スタータープランジャやニードルジェットも同梱されるので、キャブボディーなどの大物部品以外は、ほぼ交換可能な内容である。4気筒エンジンの4連キャブなら、4パッケージ必要だが、間違い無くリーズナブルかつお勧めできる部品である。オーバーホールを含め、リセッティングしたいときには「燃調キット」を試してみよう。機種バリエーションや梱包内容に関しても、随時アップデートされているので、最新情報はキースターWEBにてご確認頂ければと思う。例えば、初期のH1用キットでは、以前に無かった「ニードルジェット」が同梱されるようになるなど、マッハオーナーにとって嬉しいアップデートも行われている。
キャブメンテナンス後には、継続検査=ユ―ザー車検へ行ってきた。鬼門の光軸は、前回の車検直後に記したボードに従い調整確認してバッチリOK。検査ライン上には、3分と滞在せずにパスすることができた。
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