製造から数十年を経て輝きは失せても、ノスタルジックで可愛らしい形状が魅力的な絶版車用ウインカー。あえて手入れをせず当時モノの雰囲気を活かすのもアリですが、透明度が低くくすんだレンズは雰囲気もイマイチ。そんな時に頼りになるのが小径スポンジを使用するミニサンダーです。プラスチック用コンパウンドを併用することで透明感がよみがえり、バイク全体の印象アップも期待できます。
紫外線やレンズ表面の細かな傷がくすみの原因
絶版車のウインカーやテールランプの樹脂製レンズは大半の場合、経年変化によって透明度が低下してカサカサになってしまいます。劣化の原因には紫外線や洗車キズ、場合によっては内部の電球の熱による変質もあり、絶版車にとっては宿命のようなものでもあります。自動車のポリカーボネート製ヘッドライトが黄変する例は数多くありますが、アクリル樹脂も紫外線に対して劣化します。また、樹脂は金属と違って酸化しない=さびないというのが一般常識ですが、サビとは異なるものの酸化することで光沢が失われます。
転倒や衝撃などでレンズ自体が割れた場合には、車検付きのバイクは車検に通らないという理由もあって交換しなくてはなりませんが、ツヤ消し状態の表面は機能面で問題がなくても見栄えが悪いという難点があります。
汎用タイプのウインカーはネットショップなどでリーズナブルに販売されており、カスタムであればそれらを装着しても良いでしょう。しかし純正パーツにこだわり、当時の雰囲気を崩したくないと言うのであれば、カサカサのウインカーレンズやテールレンズを磨いてみることをおすすめします。
ただ劣化の状態は保管状態や素材によってまちまちで、どんな状態でも磨けば改善するというわけではありません。場合によっては、状況はさらに悪化してしまうことも考えられます。
しかしレンズ表面のくすみや曇りや小傷であれば、コンパウンドで磨くことで透明度が回復することが多く、有効な手段と言えます。
ムラなく短時間で磨くために小径スポンジのサンダーを活用したい

カーベックが販売する二種類のミニサンダー。CMS-3W(下)のパッド径もφ50mmで充分に小さいが、CMS-L30(上)はさらに小さなφ30mmパッドを採用しており、まさに指先で磨くようなピンポイントを狙うことができる。

サンダー先端のスポンジ部分に注目すると、CMS-3W(左)とCMS-L30(右)の狙いの違いが分かる。CMS-L30はヘッドとグリップ部分がL字構造で、手が届きづらい部分にもアクセスできる。両製品ともスポンジの動作はオービタルアクションで、デリケートな樹脂パーツに適している。
片手で握れる程度の大きさであれば、ウエスに取ったコンパウンドを手で磨くことも難しくありません。しかしここでは、短時間でムラのない磨きを行えるエアーサンダーを使った方法を紹介します。
使用するのはガンコートやパウダーコーティングの塗料や設備を販売するカーベックのミニサンダーCMS-3Wです。コンプレッサーの高圧エアーで作動するCMS-3Wの最大の特徴は、バフスポンジの直径がφ50mmと小さいこと。
面積が大きな自動車のボンネットやドアなどを磨く際のポリッシャーに取り付けられるスポンジはφ125~180mm程度のサイズを使用するのが一般的です。これに対してCMS-3Wのスポンジはφ50mmと小さく、細かい場所の研磨に適しています。
大径のスポンジで小さなウインカーレンズを磨こうとすると隅々までスポンジが届かず、レンズが弾き飛ばされてしまうこともあります。また大径スポンジを使用するポリッシャーはモーター自体に重量があるため、重さに任せて強く押しつけると樹脂レンズ自体が過熱してキズが付いたり変形することもあります。
それに対してCMS-3Wは本体が手のひらに収まるほどコンパクトで軽く、多少力を加えて押しつけても相手を過剰に削る心配が少なく、φ50mmのスポンジは磨いている場所を目視で確認できるため、磨き残しや磨きすぎといったミスやトラブルを軽減できます。
ただし万能というわけではなく、一度に磨くことができる範囲が狭いため、表面積が大きなガソリンタンクなどを磨こうとすると時間が掛かり、かえってムラが発生する原因にもなりかねないので注意が必要です。
樹脂レンズ磨きにはシングルアクションよりオービタルアクションの方が良い理由
樹脂製のウインカーレンズやテールレンズを磨く際は、手作業より小径スポンジを使ったサンダーを使った方が効率が良いのは確かですが、研磨時の熱に注意が必要です。
スポンジバフの研磨力はウールバフより弱く素材に熱が加わりづらいものの、同じ場所に押しつけ続ければ過熱により変形、変質する恐れがあります。
研磨力の強弱はサンダーを押しつける力加減で調整できますが、サンダーの機構によっても違いがあります。具体的にはバフの回転方法によってシングルアクション、ダブルアクション、オービタル(ランダム)といった違いがあり、シングルアクションの研磨力が最も強く、ダブルアクション、オービタルの順に弱くなります。
研磨力の強さだけに着目すればシングルアクションだけあれば充分のようにも思えますが、樹脂のような柔らかい素材に対しては優しく磨くことができるオービタルサンダーが適していることもあります。
CMS-3Wはスポンジが偏芯運動しながら微振動するオービタルサンダーであり、この点でもウインカーレンズ磨きに適していると言えます。
ここで作業を行った1970年代のヤマハ製原付バイク(チャピィ)の純正ウインカーは、クロームメッキされた重量感のある金属製(亜鉛合金)ボディと丸みを帯びたレンズの組み合わせで、複数の車種で採用されていました。またかなり長い期間、ウインカーレンズ自体が部品として入手できました。
そうであるならわざわざ古いレンズを磨く必要はないようにも思えますが、製造から50年間も破損せず生きながらえてきた純正部品に価値を見いだす絶版車ファン、中でも当時モノにこだわるユーザーにとって、僅かな手間でカサカサがの表面がピカピカになる樹脂レンズ磨きは充実感と達成感の両方を味わえる作業となるはずです。
エアーサンダーを使うにはエアーコンプレッサーが必要ですが、AC100Vや充電タイプのポリッシャーやサンダーとは異なる機能と特徴を備えた手のひらサイズのオービタルサンダーに注目してみてはいかがでしょうか。

テールレンズもウインカーレンズと同様にスクリーンクリーナーをコンパウンドとしてミニサンダーで研磨する。なお研磨する前に中性洗剤で表面を洗い落としておくことで、ホコリやゴミを巻き込んで傷つけるトラブルを避けられる。

汚れを落として再使用するフレームやリヤキャリアと合わせて、違和感なく仕上がった磨き済みウインカーレンズとテールレンズ。フルレストアするのなら新品部品を装着したくなるが、多少のくすみやサビはご愛敬として仕上げるなら、樹脂レンズの磨きは充分以上の効果がある。
- ポイント1・経年劣化や紫外線で表面がカサカサになった樹脂製ウインカーレンズやテールレンズは、コンパウンドで磨くとツヤが回復する
- ポイント2・サイズが小さなパーツの研磨にはスポンジ径が小さいサンダーやポリッシャーが適している
- ポイント3・サンダーやポリッシャーはシングルアクションよりダブルアクション、ダブルアクションよりオービタルアクションの方が優しく研磨でき、樹脂パーツの磨き作業に適している
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