そろそろ雨の日が多くなり、雨の日はバイクには乗らないという人も多いのではないでしょうか?
ガレージ保管ができる方であればさほど問題にならないことかもしれませんが、野外保管ともなると問題が発生し易い時期といえます。

ちなみに筆者も、屋根付きの屋外で保管しています。

雨風はある程度防げても、湿気や気温差で傷みは避けづらいもの。
ガレージでの作業が難しい方も多いと思うので、この時期は「できることだけやる」+「迷ったらお店に相談」でいいとおもいます。(作業できる場所が確保できないなど)

今回はそんな梅雨の時期のバイク保管について考察してみたいと思います。

梅雨は“バイクの敵”が多い季節

まずは雨水が最大の敵といえますが、気温上昇による湿度の上昇も厄介だといえます。
もし海が近い地域であればさらに塩害も加わります。(雨水にも塩分が含まれていることがあります)

バイクカバーで雨や砂埃から守る試みはするとおもうのですが、地面に落ちた雨水などから水蒸気で湿気が上がってきてバイクの状態が悪くなり易いといえます。
とくに水捌けの悪い場所での駐輪ではバイクが劣化し易い状況にあるといえるので、注意する必要があります。

停めてある場所が水分の多い場所だと気温上昇で水蒸気が上がりだし、バイクへの影響が出ます

ブレーキパッドの張り付きに注意

梅雨の時期に起こり易いのがブレーキパッドの張り付きです。

雨が多く高温多湿、野外での長期保管となるとなり易い現象で、ブレーキパッドがブレーキディスクに張り付いてしまい、固着する現象です。
ブレーキパッドとブレーキディスクの間で発生するサビが原因なのですが、定期的に動かしていればさほど影響は無く、走らせているうちに自然とクリーニングされていきます。
ただ、鋳鉄製のブレーキディスクはサビ易いのでよく注意をしておいてください。ちなみに現在の公道走行向け市販車の多くはステンレス製のブレーキディスクが使われています。

とくにブレーキパッドがメタル系のパッドだと、削れた粉がブレーキディスク上でサビとなって残っている事があります

ブレーキキャリパーのピストンが戻り切れていない状態の場合もあるので、そういった場合はブレーキキャリパーのオーバーホールが必要です。
このあたりの作業に関しては重要箇所なので、できるのであれば慎重に作業をするか、バイク屋さんなどに相談をして作業依頼をしてもいいと思います。

ちなみにブレーキパッドの張り付き防止のため、乗る前に軽くレバーを動かして確認してみるのもよいでしょう。

傍目には判り辛いのですが、ピストンの戻りが悪くなるとブレーキを引き摺る現象が起きます

フレーム下回りのサビ予防

とくに現代の梅雨の時期は雨の日でもすでに高温の日が多く、雨で濡れた地面から水蒸気が上がり、バイクのフレーム下回りに直撃する事が多い個所です。
この部分はスチール素材であることが多く、飛び石などで傷が入り易いフレームの下回りはサビ易い個所といえます。
飛び石による傷などが無くても部材の端からサビる事もよくあるので、定期的に防錆剤を使っておくと良好な状態をキープできます。

走行中に影響を受け易くかつ、地面から近いうえに素材がスチールである事が多いため、非常にサビ易い個所といえます

おススメのサビ止めケミカル製品ははこちら!

ワコーズの『ラスペネL』です。

ラスペネにはさらに潤滑性能に優れた『ラスペネC』がありますが、サビ止めだけを考えるのであればこちらの方が価格が安く、使い易い霧状に吹く事ができます。

実店舗では見かける事が少ない製品なのですが、ウェビックならカンタンに購入できます!

メーカー希望小売価格:¥2,376(税込み)

さらに潤滑性能も欲しい!という場合には同じくワコーズの『ラスペネC』もあります。

こちらは噴射ガスにCO2を使用しており霧状には出ないため、ピンポイントに使い易いといえます。

前述のラスペネLに比べると逆に実店舗でよく見かける製品かもしれませんが、使い切るにはかなり時間がかかる気がします

メーカー希望小売価格:¥2,904(税込み)

さらにまたワコーズですが、持ち運びがし易いミニサイズの物もあります。

こちらは『ラスペネミニ』となり中身は『ラスペネC』と同じなのですが、缶のサイズが小さく持ち運びに便利です。
ちなみにラスペネCでは噴射ガスにCO2を使用しているのですが、こちらの製品は高圧ガスのDMEなので霧状に吹く事ができます。
霧状の方が慣れているという方にもおススメできる製品です。

実は一般の”サンデーメカニックさん”にはこれくらいのサイズがちょうどよかったりします

メーカー希望小売価格:¥1,738(税込み)

ワコーズ以外のおススメも!

ヴィプロスの『マリンルブリカント』です。

メーカーの成り立ちとして船舶系ということもあり、サビ止め効果が期待できる製品です。
価格もワコーズに比べると安価なのに高性能だといえます。

近頃は少しずつ店頭でも見かける事が増えてきた製品ですが、まだ手に入り易いとまではいかないです。性能は素晴らしいと思うのですが…

ちなみに霧状に噴射されるタイプなので、使い慣れている方が多いとおもいます。

ヴィプロスブランド創成期からある製品で、海に近いバイク用品店で初めて見かけた思い出があります

メーカー希望小売価格:¥2,640(税込み)

リキモリの『マルチスプレープラス7』もおススメできます。

香りがココナッツなので付いているか付いていないか、作業中くらいですが香りがするので判り易いです。
使用できる箇所が幅広く、あまり気を使わないで済む点も作業をするにあたって便利です。
スプレーノズルが海外メーカーにはありがちな短いものなので、その点は慣れが必要かもしれません。

価格が比較的安価でいて内容量が多めなので、その点で手にし易い製品だといえます。

比較的どんな素材にも影響が少ない事が謳われている製品なので、気軽に使い易く内容量も多いのに安価で手に取り易いといえます

メーカー希望小売価格:¥1,210(税込み)

オフロード用の泥が付きにくいタイプもおススメ!

モトレックスの『モトプロテクトスプレー』です。

元々がオフロード走行時に泥を付きにくくするためのスプレーですがサビ止めにも効果があるため、一石二鳥といえる製品です。
洗浄効果が比較的強いので、まずウエスに取って気にならない箇所で様子を見てみるのがいいとおもいます。

ちなみに筆者はまずウエスに取ってからフレームの下回りを拭き、次にエンジン下部のオイルパン辺りを拭きます。
エンジンの発熱を懸念しましたが、とくに焦げてしまうような事もなかったので清潔にしておく意味で使っています。

元々は雨降り後のオフロード走行で泥を付着させないためのスプレーですが、オイルの膜で長期保管をするための製品でもあります

メーカー希望小売価格:¥2,361(税込み)

サスペンションインナーの保護方法

サスペンションインナーは常にサビ易い個所といえますが、梅雨の時期はもちろん非常にサビ易いといえます。

通常は【乾拭き】が手入れの方法として正解なので、お店などに聞いても乾拭きを勧められるとおもいます。

関係者の方たちは口が裂けても「シリコンオイルで…」なんて言わないとおもいますので、聞いちゃダメです(笑)

ここの個所にはサビを止めるために前述のような防錆潤滑剤は使わないでください。

理由としては防錆潤滑剤には溶剤が入っているからです。溶剤はサスペンションのシール類に影響が出ます。
何か対策をするとすれば、無溶剤のシリコンオイルのみが使用可能といえます。正直、効果は長続きしませんが、何らかできる事があるとすれば一択です。

おススメの無溶剤のシリコンスプレー

ワコーズの『シリコーンルブリカント』です。

無溶剤とはおもえないくらいの濃さなので、すでに愛用されている方が多いのでは?という製品です。
折り畳み式のノズルも非常に便利で、前述のブレーキキャリパーのオーバーホールにも使い易いとおもいます。

筆者が知る限りでは無溶剤のシリコンオイルではいちばん濃いと感じられる製品です

メーカー希望小売価格:¥2,376(税込み)

あとはヴィプロスの『シリコンルブ』です。

ワコーズに比べるとやや薄いのですが、そのぶん使い易いともいえます。
価格もわずかにですが安価なので、プラスチック外装へも使い易いといえます。
別途、ステンレスノズルも付いているので、細かい個所への使用も可能です。

ヴィプロスの親会社である東洋化学商会の得意分野といえるシリコンなので、性能は折り紙つきといえます

メーカー希望小売価格:¥1,760(税込み)

チェーンのサビ止めと注油タイミング

チェーンも比較的地面に近い位置にあるため、とくに梅雨時期にはサビ易い個所といえます。

梅雨の時期はサビ止めの目的でのチェーンルブを使っておくのは効果的だといえます。
とくにバイク購入時に付いているチェーンにはプレートにコーティングが施されていない物を使っていることが多く、サビ易いので注意が必要です。

ちなみにチェーンルブは実走行距離ではなく、チェーンを見て乾いていると感じたら注油作業をしてください。
ケミカル類全般にいえる事なのかもしれませんが、乗らなくても揮発はしていくものなので、定期的な作業が必要になります。

乗る予定がない場合は”表面だけ”をウエスにチェーンルブを取ったもので拭くだけでもいいとおもいます。筆者の場合はその都度、洗浄をしてチェーンルブを注油しますが…

ドライブチェーンの管理は走行距離ではなく、走行フィーリングと見た目の揮発具合がポイントといえます

サビ止め効果の強いチェーンルブは?

チェーンルブといっても様々な製品があり迷うとおもうのですが、とくにサビに強く使い易いという事であれば概ね定評がある製品があります。

まず、ワコーズの『チェーンルブ』になります。

水置換性があるというのが大きく、水に濡れたとしてもチェーンルブが水と置き換わろうとします。なのでサビ難い製品だといえます。
あとは作業性が非常に良く、サッと作業をしてもチェーンルブが飛び散り辛いというのも良い点です。
筆者としては作業がし辛くなる時期に使う事がある製品です。油膜も長期間残り易いと感じます。

ロードサイクルのチームと共同開発をした製品故、自転車にも使えるくらいの薄さではありますが、サビ止めの効果が非常に強く、作業性にも優れていると感じます

メーカー希望小売価格:¥2,376(税込み)

あと、ヴィプロスの『グレサージュ』です。

『レイキッシュ』の方が知られているかもしれませんが、元々はグレサージュを薄付きにした物になります。
グレサージュの方が油膜としては前述のワコーズの製品よりも濃い目になりますので、揮発のタイミングはこちらの方が遅いと思います。

ちなみに作業性はこちらの製品も良く素早く終えることができますが、チェーンルブの飛び散りは若干あるとおもいます。
ただ使用感はワコーズの物と同じく軽めだとおもいますので、拭き取りに困ることはないです。

この製品もロードサイクルでも定評のある製品でありながらも、モーターサイクルのような強いトルクにも耐えられる油膜の性能を有している点が素晴らしいところです

メーカー希望小売価格:¥2,860(税込み)

リキモリの『チェーンルブ』も比較的サビに強いといえます。

オフロードバイクでもbetaチームとの繋がりがあり使用をしているためか、油膜が強いと感じられます。

飛び散りもどういうわけか少なく長持ちもし易いため、梅雨の時期にも向いているとおもいます。
ただ、作業後に走行で熱が入ると垂れてくることがあるため、拭き取りのタイミングを早めに作業をするのがポイントです。
ちなみに生分解性があるため、地面にチェーンルブが垂れても雨などで消え易いのも野外で作業をする際にはありがたい点です。

あと製品のサイズも比較的小さく、持ち運びにも便利だといえます。

betaチームで使われているという事はオフロード走行のような過酷な状況でも使えるという事でもあるので、雨水や泥などにも一定の強さがあるといえます

メーカー希望小売価格:¥1,980(税込み)

バイクカバーは「適度に換気」がカギ

バイクカバーは通常時の保管にはもっとも必要な物だといえますが、とくに梅雨の時期は湿気が籠ってしまうため、適度にバイクから外し換気をした方が良いコンディションを保てます。
製品によっては通気口のあるバイクカバーもあるのですが、基本的には雨が降っていない時などを見計らって外してください。いちばんいいのはそのまま何処かに乗り出してもらうことですが…

梅雨時でも隙間を見つけて乗る事ができる方はいいのですが、乗るタイミングも掴めない場合、なるべくカバーを外し乾燥させるようにしてください

ラジエター液のチェックも夏に向けての準備!

昨今の夏の暑さは異常といえるので、雨の止み間にラジエター液の液量チェックや交換をしておくことをおススメします。
夏になってからの作業は危険といえる事も増えてくるため、今のうちにできる事はやっておきましょう。

もし作業に不安があるといった場合は迷わずバイク屋さんなどに相談をして、作業依頼などを検討してみてください。
ちなみに通常のラジエター液であれば概ね2年毎に交換となります。

リザーバータンクで液量だけを確認してもいいのですが、稀にリザーバータンクとラジエター側のラジエター液の連携に問題がある事もあるため、ラジエターキャップも外して確認をしておくとトラブルを発見する事もあります

【まとめ】梅雨の時期をいかに乗り切るか?

いかがでしたでしょうか?梅雨の時期はバイクにとって、乗っても乗らなくても影響が出易いといえる時期です。
ですが、ちょっとした手間で良好なコンディションを保ちつつ、作業が困難になり易い真夏を迎える事ができます。梅雨の時期にできる事はやっておいて真夏を迎える事が人にもバイクにとっても大切です。
エアコンがあるようなガレージなどで作業ができる方は事が起きてから対処されてもいいと思うのですが…(笑)

梅雨の隙間に乗れるチャンスがあれば乗り出してしてしまうのがいちばんコンディション維持には良いです

【梅雨時のバイク保管】雨天での野外保管で気をつけておきたいことってナニ? 画像ギャラリー (20枚)

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