
走行中のスピードメーター指針が、ピョコピョコ跳ねる!? ならまだしも、ビンビンハネる!! なんて経験を持つライダーは数多いことだろう。
そんなメーター指針の表示トラブルを経験した際、その原因はどこだろう? なんて考えたことがあるだろうか?
仮に、そのトラブル原因がメーターケーブルにあると、その影響で今度はメーター内部が破壊して不動に……といった不調の連鎖が原因で、メーター破壊!! といった例が、実は数多いのをご存じだろうか?
ここでは、メーターの表示トラブルを追求し、改善してみた。
ドラムブレーキのパネル中央に組み込まれるメーターギヤを分解し、各パーツを単品で点検しよう。また、パーツ同士の組み合わせで、正しく作動&機能するかも点検しなくてはいけない。専用プライヤーで「サークリップ」の取り外しから作業を開始。
分解時は部品の入り組みを忘れずに!!
メーターギヤはサークリップで固定されているケースが多い。そんなサークリップを外したら、ギヤの前後にシムが組み込まれている例が多い(片側だけに複数組み込まれている例もある)。紛失しないように要注意。こんなときにマグネットトレイを利用すると部品を紛失することなく良い。
分解部品やケーブル内部は完全洗浄
このモデル用のメーターギヤはこのような部品で構成されていた。汚いグリスでまみれているときには、ペットボトルの底をカットした容器に灯油を注ぎ、ブラシでしっかり洗浄してからがパーツクリーナーで仕上げるのが経済的だ。
アウターケーブル内側を徹底的にクリーンナップしよう。まずはメーターケーブルを抜き取り、汚れが酷いときにはケーブル下側を指先で閉じて防錆浸透スプレーを吹き込む。しばらく待ってから内部のオイルを流し、その後、パーツクリーナーで内部洗浄しよう。洗浄後にエアーブローすれば完璧だ。
抜き取ったインナーケーブルもしっかりクリーニングしてからグリスアップしよう。汚れたままのインナーケーブルの上からキレイなグリスを塗り込んでも、決して最善の潤滑性を得られるものではない。汚れが酷いときには灯油を入れた容器にケーブルを浸し、汚れを分解洗浄してからパーツクリーナーで洗い流し、エアーブローしてから前記の作業を実践するのが最善だ。
オイルシールは、忘れずに組み込もう!!
ケーブルインナーのメーターギヤの接続部分にはオイルシールが組み込まれるケースもある。メーターギヤ側からケーブルやメーターへ向けて汚れや雨水などが立ち上がらないようにする対策部品だ。オイルシールリップが破壊していたり、そもそもオイルシールが無い場合は、その存在有無を各モデル用のパーツリストやパーツカタログで確認し、必要に応じて組み込もう。
- ポイント1・メーター指針が振れる原因は、メーター本体ではないことが実は多い。
- ポイント2・メーターギヤの変形やグリスにゴミが混ざっているのもメータートラブルの原因になる。
- ポイント3・切れかかったメーターケーブルインナーが原因で、瞬間的に発生するケーブル回転速度の違いでメーター指針がハネることもある。
- ポイント4・ホイールを取り外したときにメーターギヤの組み合わせを間違え、部品破損させることもあるので要注意。
- ポイント5・ケーブルコンディションを保つオイルシールの有無やダメージにも気配りしよう。
スピードメーター指針がヘンに振れたり、明らかに違った速度を示すことに気が付いた際には「スピードメーターが壊れたかな?」なんて思うことがある。メーター表示が不調になったときには、メーター本体を疑う前に「メーターの駆動側に疑いの眼を向ける」ことも重要だ。仮に、単純に新品メーターに交換しても、別の部分にトラブル原因があると、再び同じ症状が発生してしまうことになるだろう。
メーターケーブルのインナーワイヤーは、何本もの細いワイヤーを束ねた構造になっている。その束ねられたワイヤーの1本が切れ、トゲのように飛び出したことが原因で、メーターの作動性は変ってしまうことを知っておこう。そのトゲのようなインナーワイヤーが、アウターの内側に引っかかったり外れたりする瞬間にケーブルの回転速度に変化が生じ、メーター指針がハネる現象も発生するのだ。だからこそ、スピードメーターが「正しく作動しているから大丈夫!!」ではなく定期的にケーブルを外し、インナー及びアウターの内側をしっかり洗浄し、クリーンナップ後にグリスアップするように心掛けよう。
ブレーキパネルやホイールハブサイドに組み込むメーターギヤに関しても、組み込む際には「凸凹組み合わせ」をしっかり確認してからホイールを復元しないといけない。ディスクブレーキ車でもドラムブレーキ車でも、ギヤを回すリテーナーと呼ばれる部品我正しく組み込まれないと、リテーナーが部品に押されて乗り上げたり、ベアリングにダメージを与えるなどのトラブルが発生する。また、変形したメーターギヤのリテーナー先端がギヤハウジングと干渉し、ホイール回転と同時に部品を削り、メーターギヤが金属粉で最悪の状況になってしまうことも多々ある。そんなことにならないためにも、メーターギヤがあるホイール(おもに前輪)を取り外した際には、メーターギヤのコンディションと、正しい組み込みを理解しながら復元するように心掛けよい。
この記事にいいねする