試運転から帰るとオイルポンプカバーの中からエンジンオイルが………
DT-1
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YAMAHA Trail 250 DT-1 1969 Vol.12
ベース車の分解バラバラ作業から始まったヤマハ250DT-1のフルレストア企画。組み立て部品が揃っていたので、手際良く作業を進めることができたのはラッキーだった。ナンバー登録も完了し、たまに走っては、いわゆる「ウミ出し」を進めている真っ最中なのが現在の進行状況です。試運転から戻って一服して、エンジン下を見ると、案の定、オイル溜まりが……。
目次
ビンテージトレール用のリフトスタンドが使い易い！
エンジン真下にリフトスタンドを差し込み、ダウンチューブ下のフレーム左右へナローテーブルを当てながら足でひと踏み！この使い易さは他にありません。ダートフリークのunitブランド製リフトスタンドは、ビンテージトレール専用設計の商品。
ナロータイプの天板がビンテージトレールや現代の旧車タイプトレールモデルにバッチリ会う。フルリフト時に高く上がり過ぎないので、安定した中で前後足周りのメンテナンスが可能になった!!
どんなバイクをメンテナンスするにも、サイドスタンドよりはメインスタンドの方が勝手が良い。ドライブチェーン調整するさいにも、チェーングリスを吹き付けるにも、浮いたタイヤを手で回しながらスプレーできれば、作業性が良いうえに、ドライブチェーンへのグリスの塗布も要所へ確実に行うことができる。そんな作業性の良さを追求したビンテージトレール用のリフトアップスタンドがダートフリークのunitブランドから販売されている。前後ホイールトラベルが多い現代のモトクロッサー用リフトアップスタンドとは異なり、ビンテージトレールのホイールトラベルやサスペンションストロークを考慮している点が嬉しい商品だ。使い勝手がとにかく良い！
この時代のヤマハ2ストオイルポンプは分解メンテナンス可能！
ポンプ本体からのオイル漏れを発見。回転シャフトエンドのオイルシールがダメージかな!? と思ったが、よく見ると、スピンドルエンドのコンディションがイマイチな様子？
何度か分解して、慣れれば決して難しくないし、指先で作動させて構造と仕組みを理解すれば、間違い無く修理することができるヤマハオートルーブのオイルポンプ。
回転シャフトエンドはサビで虫食い状態だった。分解履歴が無いオイルポンプをオーバーホールすることにしたが、こんな虫食いでは、オイルシールが新品でも漏れてしまう。
すべての純正新品部品か揃ったわけではなかったが……
想像はしていたが、すべてのオイルシールを純正新品で入手できなかった。他のモデル用でも流用できるパーツがありそうなので、手持ちにあった空冷ツインYDS3やHS1用シールも流用してみた。
分解前には「スマホ撮影」を忘れることなく行おう
「見た目は良くないけどオーバーホール済だから」と聞いていた左側。確かに新しいオイルシールが組み込まれていたが、シャフトが虫食いでは、どうにもなりません。
バイク仲間がスペアで持っていたオイルポンプを分解して、オイルシールの交換と同時に作動確認を行った。スピンドルエンドに入る真鍮ワッシャの厚さでエンジンオイルの吐出量が決まる。
この手のオイルポンプのオーバーホール時には、オイルシールが3種類、ガスケットが1枚、さらに回転軸に入る小さなオイルシールが必要だが、機種毎にサイズが異なっている。
分解時には、バスタオルサイズのウエスを敷いた上で行うのが良い。リングギヤを外す時にストッパーピンと小さなスプリングを紛失しやすいのと回転方向には要注意！
ワンウェイ回転するリングギヤは組み付け向きに要注意
リングギヤには裏表の向きがあり、間違えて組み込んでしまうと、ギヤがワンウェイのため正規の作動ができなくなってしまう。HS90の組み立て時に間違えてしまい作動不能に気が付いた。
ワンウェイシャフトを指で回してオイル通路のエアー抜きを行うことができるオートルーブのオイルポンプ。クランク回転に合わせてリングギヤが回るようにセットしよう。
同一モデルでも国内と輸出でパーツ供給が異なっている
- フルレストアのポイント・フルレストアや旧車メンテナンスに於いて何よりも重要なのが部品の存在。旧車でも機能部品である純正部品を入手できるのは実に嬉しいことだろう。このDT-1をメンテナンスしていた段階では、オイルポンプ用ショートパーツの一部はまだ販売中止でなく、入手できたので良かったが、今はわからない。将来的なメンテナンスを考えている時には、機種を問わず部品は先行入手しておこう。
エンジン組み立ての終盤でオイルポンプを探していたら、「オーバーホール済だからこれを使ってみて。見た目は悪いけど、内部は大丈夫だから……」と前オーナーさんから部品を受け取った。過去に水没歴がありそうで、ボディが汚れたオイルポンプだった。疑わずに組み込み、エアー抜きを行ってエンジン始動。念のために混合ガソリンで始動し、オートルーブの二次側チューブを外して、キャブ側バンジョーボルトの締付け孔を指先で閉じてエンジン回転を高めてみた。するとオイルラインからは、ピチョピチョとエンジンオイルが溢れ出てきて、空吹かしを繰り返してエンジン回転を高めると、明らかにオイルの吐出量は増えていた。確かに見た目は汚いけど、オイルポンプとしての機能は確認できた。
何度か試運転を繰り返した数日後、ガレージへ帰還した後のエンジン下にオイル溜まりを発見………。その出所を確認すると、オイルポンプ本体だとわかった。患部を特定するためには、パーツクリーナーなどでポンプ周辺を洗い流してはいけない。現状を保持したままでオイルポンプを取り外してみた。そして、エアー抜き用の樹脂ダイヤル、ヤマハ純正部品名では「スタータープレート」を固定する割ピンを抜き取り、樹脂ダイヤルを抜き取ると、ダイヤルの裏にあるオイルシール部分からエンジンオイルが溢れていた。確かにオイルシールは新しいが、回転シャフトがサビによる虫食い状態。このサビの凸凹を伝って、エンジンオイルが外部へ漏れ出てしまったようだ。
オーバーホール歴が無く、程度が良さそうなオイルポンプをバイク仲間が提供して下さったので、念のためにオイルシールをすべて交換しつつ組み立て復元した（手持ち在庫のYDS3やHS1用で寸法的な辻褄が合う部品もあった）。以前、分解時に、ワンウェイのリングギヤの組み込み向きを間違え、ポンプシャフトが回転方向に回らなかったことがあった。そんな部分を含め、部品の入り組みを間違わなければ、オートルーブのオイルポンプ構造は決して難しいものではない。
オイルポンプを分解し、オイルシールを交換したら機能改善でオイル漏れも皆無になった。今回は部品取りのオイルポンプをベースにオーバーホールしたが、仮に、虫食いシャフトを再利用しないといけないときには、虫食い部分を旋盤で削り落とし、ブッシュを圧入して寸法を合せつつ研磨すれば復活できると思う。
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オイルポンプ以前にその肘ピーンとした運転姿勢で運転しにくくないか？