
大切な愛車なのだから、いつでも「キレイにしておきたい!」というのがサンデーメカニックにとっては理想だろう。バイクいじり好きが磨くと「こうも違うのか!」といった現実も実は多い。さりげなく輝きを見せたい、輝きを披露したいと思っているマシンオーナーは、数多いと思う。ここでは、「磨きケミカル」を利用し、その実力を再確認してみよう。よくぞここまで「カサカサ肌」になりました……。ツヤ感がまったく無くなったガソリンタンクでも、美しさは蘇る。現状最善の輝きを取り戻そう。
ワックス磨きの前に下地作りから始めよう

地肌があまりにもカサカサなところに花さかGワックスを利用しても時間が無駄なので、ここでは極細目のフィニッシュペーパーを使い、まずは水研ぎで地肌作りから行なった。最初に1600番、次に3000番を使って水研した。

バケツにキレイな水を汲んで作業開始。1600番のフィニッシングペーパーを利用して水研していくと、クリア層が削れて白濁した水が出てくる。クリア層までの磨き込みに留めることにした。一般の耐水ペーパーで大丈夫だ。
超カサカサの塗膜表面で、潤いの「う」の字が、まったく感じられなかったCB750Fc用ガソリンタンク。1980年代の旧車とは言え、大切な愛車なら輝きを保ちたいものだ。すでに何十年も経過した純正ペイントだが、この状態では酷すぎるし、仕上げたくなるものだろう。タイトル画像の右半分が、地肌作り後に花さかGワックスで磨いた直後の仕上がりである。撮影ストロボの傘が、映り込むようになったのがわかる。
敢えて磨き仕上げ箇所をマスキングで比較してみた
文明の利器「ポリッシャー」でさらに効率良く磨ける
ポリッシャーを利用する際には、取り付けるバフの種類によって研磨能力が異なることも知っておこう。深くしっかり研磨できるウールバフに対して、スポンジバフは研磨能力が低く、一気に磨き進むには不向きな印象だ。我々素人にとって、磨け過ぎるのが逆に問題で、気が付いた時には「地肌が出てしまって大失敗……」といったことがある。したがって、研磨能力がウールバフと比べて高くないスポンジバフを利用するのがよいだろう。液体コンパウンドを利用する際にも、粗い番手から始めるのではなく、細かな番手で様子を見てから、徐々に番手を粗くしながら確認し、細かな番手に戻りながら仕上げていくのが良い。ただし、この際には、同じバフを利用するのではなく、粗い番手で使ったバフスポンジは洗浄し、仕上げでは新品のスポンジバフを使うなど気を配ろう。洗浄時は中性洗剤でしっかり洗ってから乾燥させれば良い。ウールバフも同じく洗浄しながら利用しよう。
高級ワックスの輝きは「深み」が異なる……
- ポイント1・何より大切な「現状把握」から始めよう
- ポイント2・ザラつきを感じる時には鉄粉除去ねんどを利用しよう
- ポイント3・ケミカルは使い分けによって高い効果を発揮する
正直なお話し「バイク磨き」という作業は面倒ですよね……。しかし、作業後の輝きに驚き、思いも寄らなかった結果を目の当たりにした経験で、その後は「磨き魔」と呼ばれるライダーやサンデーメカニックになってしまった者は少なくない。輝きや艶は、人の心を揺さぶる魔物のようなものでもある。ここで使った花さかGワックスは、いわゆるバフ掛けの仕上げ用研磨剤でもあり、ワックスとしても使えるのが大きな特長である。ポリッシュされたエンジンカバーなどのアルミ製パーツでも、地肌の復活や輝きの保護にも利用することができる。絶版旧車やハーレーに多いクロームメッキに関しても、その輝きを保ち、汚れの付着防止に効果的なのだ。さらには、カウリングのスクリーン磨きにも使うことができる。磨き剤によっては、スクラッチと呼ばれる小傷が付いてしまうケースもあったが、樹脂部品や柔らかい素材の部品でも、輝きを増せるオールマイティなケミカルとして高い人気を得ている。
ここでは、長年に渡る露天保管(エンジンコンディションが良いだけにたいへん残念な車両です)によって、外装パーツに信じ難いスクラッチキズが入っていたCB750Fをトライマシンに、磨き込みによる輝きの復活を行なってみた。フィニッシングペーパーによる下地作りから行なったため、劇的なビフォー&アフターを得ることができた。花さかGワックスには、ワックス保護成分が含有されているので、一般的な輝きを持つ部品なら、大満足の仕上がりを得られたはず。しかし、地肌が極端に悪く、スクラッチキズが深いガソリンタンクだったので、ここでは磨き込みの後に液体ワックス仕上げとガラスコーティング仕上げを意図的に分けて行い、その輝きを比べてみた。結果としては、ガラスコーティング液がスクラッチキズの奥深くまで浸透し、よりクリアで深みのある艶と輝きを得ることができた。このCB750Fのような状態にならないように、日頃から「輝き」には、十分気を配りたいものだ。
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