
様々な用品を比較して「長所・短所」を忖度なしで徹底比較する企画、それが「Webikeパーツガチ比較」! 第一回目はウェビックプラスでメンテナンス系記事を手掛ける佐久間則夫氏による、3種類の“ペーパーウエス”のガチ比較をお届けしよう。
DIYメンテナンスで重要なペーパーウエス
DIYメンテナンスで必要なものといえば? 「工具!」「ケミカル!」。もちろんそれらも欠かせません。でも実際手を動かしてみると、バイクに付いた汚れや、作業時に出てきたオイルや液体をどうにかしなければならない場面に出くわすはず。そんな時にパーツクリーナーとともに活躍してくれるのが拭き取り用のペーパーウエスです。拭き取りならトイレットペーパーやティッシュペーパーでもいいのでは?と思うかもしれませんが、それは人の柔らかな皮膚に使うことを前提としたもので、メンテで少しでも手荒に扱うとすぐ破れる上に細かなカスとなって余計な手間すら生んでしまうので、一度でもペーパーウエスを使えばその丈夫さ、便利さに感激するはずです。しかし一口にペーパーウエスといってもいくつもの製品があり、どれを選んだらいいか迷ってしまうもの。そこで入手しやすい3つの製品をピックアップ。忖度なしのガチテストを通じて各製品の長所短所を明らかにしていくので、製品選びの参考にしてください。
テストするペーパーウエス
SCOTT ショップタオル(ペーパーウエス)
ホームセンターで見かけることも多いペーパーウエスの定番製品。ミシン目で繋げられた1ロール形態での販売で、1ロールは55枚で1枚のサイズは279mm✕239mm。価格:1ロール¥566
破れにくいペーパータオル (ペーパーウエス)
パルプ(紙)とポリプロピレンを混ぜて作られた、破れにくさが売りのペーパーウエス。水も油もしっかり吸収してくれます。ロール形態での販売で、1ロール60枚、1枚のサイズは275mm✕240mm。価格:1ロール ¥430
MET メカタオル
プロ御用達の各種整備用ケミカルで知られるワコーズのペーパーウエス。吸水性、吸油性に優れ、特に油の拭き取りに最適。ソフトなタッチで毛羽立たず、洗濯して繰り返し使えるのも特徴です。1箱に4つ折りで40枚入っていて、1枚のサイズは335mm✕290mm。価格:¥1,848
質感チェック
テストの前に、各ペーパーウエスの素材感をチェックしていきます。
破れにくいペーパータオル
破れにくいペーパータオルはエンボス加工されているためか、触ったり、くしゃくしゃに潰した時の感触は硬め。厚さはティッシュペーパー+α程度の印象です。
SCOTTショップタオル
SCOTTショップタオルは唯一青色となっており、質感で触った感じは柔らかく細かな凹凸に対するフィット感があります。ロールのミシン目と平行な繊維の目があります。
METメカタオル
METメカタオルも触った感じは柔らかく、SCOTTショップタオルと同じく繊維の目があります。またどちらも薄い2枚を張り合わせた構造なので、破れにくいペーパータオルより厚くなっています。
横に引っ張るとMETメカタオルとSCOTTショップタオルはすぐちぎることができますが(繊維の目と垂直方向の方がより切れにくいです)、破れにくいペーパータオルはかなり強く引っ張っても繊維の目と平行な方向へは少し、垂直方向だとわずかに伸びるだけで切れることはありません。丈夫すぎるがゆえロールからミシン目に沿って切る時も想像より力が必要で、1枚取り出すのに少し手間がかかります。
丈夫さテスト
丈夫さをテストするため、チェーン掃除での必須作業である拭き上げで使用してみることに。具体的には二つ折りした状態でチェーンを上下に挟んで、指で押し付けつつ前後に5回、やや強めに擦るという方法。汚れや余分なチェーンオイルを拭き取るという本来の目的からすれば力加減も回数も過剰ですが、ここはガチテスト、忖度なしでいきます!
破れにくいペーパータオル
順位付けすると破れにくいペーパータオルが圧倒的1位で、破れる気配は微塵も感じさせません。
チェーンのプレート内側を磨くべく、細くカットしてプレートの間に通し、上下に動かし拭き上げるという使い方も試しましたが切れることなく見事役割を果たしてくれました。一般的なペーパーウエスではとても耐えられない使い方です。
MET メカタオル
2位はMET メカタオル。テスト後はわずかに破れが発生し始めていました。
SCOTTショップタオル
3位はSCOTTショップタオル。破れが進行し2層あるうち1層目は穴が空いていました。
とはいえダメージが見られた2つも、ティッシュペーパーやキッチンペーパーのように役目を果たせないほどすぐボロボロになったわけではなく、使用面を変えながら一般的な方法で作業すればどれも1枚でチェーン1周を拭き上げることができます。また丈夫さでは劣る一方、すぐちぎってサイズを変えることができるので(破れにくいペーパータオルでは刃物が必要)、小さなこよりを作って穴の中の液体を吸い取るといった多様な使い方に対応できるメリットがあります。
吸水性テスト
洗浄時の水やこぼした冷却水はサっと拭き取りたいもの。素材にもよりますが布は意外と水の吸収が悪いこともあり、ペーパーウエスの出番となります。今回の製品はいずれも高い吸水性をうたっていますが、その違いはいかに?ということで、水を入れたトレイに10cm四方に切ったペーパーウエスを投入。1分経過後に水から取り出し、どれだけ水を吸い取ったのかを、取り出し後のトレイ+水の重さがどれだけ減ったかで判断しました。
MET メカタオル
SCOTTショップタオル
破れにくいペーパータオル
厚みのあるMET メカタオル、SCOTTショップタオルが1位、2位となり、薄い破れにくいペーパータオルが最下位という結果となりましたが、見た目からの予想よりは差が出なかった印象です。吸水量には差は出ましたがそれは僅かで、いずれもトレイに入れた直後ピース全体に水が吸い込まれ、布ウエスと比べ物にならない吸水性を持つことを証明してくれました。こういう用途は吸水性もそうですが物量が大切。ペーパーウエスの在庫はたっぷり用意しておくと安心です。
吸油性テスト
メンテナンス作業で拭き取らせる場合が多いオイルの場合でも吸収性をテストしてみました。テスト方法は水の場合と同じで、オイルはホンダG1(10W-30)を使用しています。
いずれも水に比べるとさすがに吸収スピードは遅かったですが、それでもオイルに漬けてすぐ吸収がスタート。十分な性能を見せてくれました。この吸収スピードは油の種類(粘度)によって大きく変わってくると推測されます。
SCOTTショップタオル
MET メカタオル
破れにくいペーパータオル
水の場合と同様、SCOTTショップタオルとMET メカタオルが上位となりましたが順位は逆転。しかしその差は測定誤差レベルで同等の性能と言えるでしょう。最下位はまたしても破れにくいペーパータオルとなり水の場合より差が出た印象です。
ただテスト後、オイルを別に移しうっすらオイルが残ったトレイの掃除というありがちなシチュエーションの使い方を破れにくいペーパーウエスで行いましたが、しっかり拭い取ることができたので一般的な使用で不具合を感じる可能性はまず無いでしょう。大量のオイルを吸わせる機会があるエンジンの分解といった場面であれば、SCOTTショップタオル、MET メカオイルをおすすめします。
摺動テスト
最後のテストは「当たりの強さ」チェック。光沢のある硬質塩化ビニール板(PVC)をデリケートな部品や塗装面に見立て、2枚重ねにし指一本で10回強めに擦った後の具合を比較してみました。
MET メカタオル
圧巻だったのがMETメカタオル(C)で肉眼で確認できる傷は無し。傷を探そうとしてもホコリのほうに目が行くほどです。
SCOTTショップタオル
SCOTTショップタオル(A)では、写真で見ると白いくもり程度ですが、肉眼では明らかな擦り傷が認められます。
破れにくいペーパータオル
破れにくいペーパータオル(B)ではSCOTTショップタオルより目立つ擦り傷が見られました。
破れにくいペーパータオルはそもそも繊細な部品では目立たない場所で試し問題がないことを確認してからの使用を推奨しているので、外装部品への使用には気をつけましょう。本来、繊細な塗装面等の拭き上げはペーパーウエスではなく柔らかいマイクロファイバークロス等を使うべき、という元も子もないことを最後に付け加えておきますが。
まとめ
コスパで言えば値段と枚数だけ見ても、破れにくいペーパータイルの圧勝は揺るぎありません。凹凸のある部品に使う時の耐久性は他を圧倒していて1枚を長く使え、チェーン掃除に代表されるハマった場面での便利さは他では得られません。
値段の面では断然不利なMET メカタオルですが、1枚のサイズが大きい点、汚れても洗濯して再利用できる点、水や油の吸収性が高く、当たりの柔らかさで多くの対象物に使えるというパフォーマンス面で大きな長所があることを考えると、コスパ面で十分魅力があります。プロメカニックが愛用するのも納得です。
SCCOTメカタオルは2つに比べ中庸な製品といえますが、世界で愛された製品だけあって比較的安価でありながら吸水性、吸油性は高価なMET メカタオルに匹敵する優秀さ。丈夫さも及第点が確保されておりコスパ面は十分。選んで後悔することはないはずです。ホームセンターで取り扱われていることも多く、他の2つに比べ入手性が段違いに優れる点は見逃せないメリットです。
メンテナンスにおいてペーパーウエスが無いと困ることばかり。お気に入りを見つけて快適メンテライフを過ごしましょう。
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