YAMAHA Trail 250 DT-1 1969 Vol.11

ベース車の分解バラバラ作業から始まったヤマハ250DT-1のフルレストア企画。欠品していた部品は、将来の仕上げを目指してすでに集めてあったので、部品探しに費やした時間は少なかった。旧車のレストアでは、何よりも大変なのが部品調達なので、これは本当にラッキーだった。エンジンの組み立てが完了したので、車体に搭載し、いよいよエンジン始動の段取りに入った。

何も調整せずにあっさりエンジン始動できた!!しかし……

ギヤオイルを確認後に空キックを踏み込み、プラグから火花がバシバシ出ていることを確認できたので、ガソリン20対エンジンオイル1で混ぜた混合ガソリンを点滴タンクへ入れてキャブへ流し込み、キック数発!!元気良くエンジンは始動できた。しかし、ハイテンションコードにクランプしてタイミングランプ(タイミングストロボ)をフライホイールのポインター付近に当てると、ご覧の通り点火時期が遅れている!? フライホイールは反時計方向に回転するので、ポインターマークを過ぎてから着火していることがわかる……。

シリンダーヘッドを外し「正しいピストン位置」で調整開始  

スパークプラグ孔を利用してピストン上死点を確認できないことも無いが、プラグ孔が傾斜しているヘッドデザインなので、正しい測定ができないと判断した。まずはシリンダーヘッドを外してピストンを上死点付近へ移動し、ピストン頭部にダイヤルゲージ測定子を当て、フライホイールをゆっくり動かして上死点を見つけようと思う。

ダイヤルゲージを利用して上死点確認から開始

ダイヤルゲージをマグネットスタンドにセットしたら、フライホイールをゆっくり回して上死点を見つけ、ダイヤルゲージの指針を「0」にセットする。その位置からクランクシャフトを逆回転させるようにフライホイールを回し、メーカー純正サービスマニュアルのデータをもとに、上死点前3.2ミリで停止させる。

ポインターを合わせて点火時期を明確にする

上死点前3.2ミリの位置をキープしつつ、フライホイール内側にあるポインター(合わせマーク金具)をラジオペンチで曲げてフライホイール刻線を合せた。エンジン始動後にタイミングストロボ(点火ストロボ)を当てた時に、このポインターと刻線が一致していれば点火時期は標準位置になる。着火タイミングはポイント接点が開いた瞬間なので、ポイントギャップを調整しながらポインターとフライホイールの刻線が一致するように調整する。

クラッチレリーズアームからケーブルエンドが抜けている……

点火時期調整後に各部を点検していたら、クラッチケーブル下側のタイコが抜けてしまい、クラッチレバーがフラフラになってしまった。ドライブカバーを外すと、金具からケーブルエンドが抜けていたのでよく見ると、タイコの抜け止め金具がDT-1には無い!?仕方ないので、結束バンドを使ってタイコの抜けを防止した。

POINT

  • フルレストアのポイント・各種部品やボルト1点1点を仕上げてから組み立てていくのがフルレストアの醍醐味。仕上がったエンジンを搭載し、エンジン始動するタイミングに至ったが、こんな時こそ慌てずに作業進行しよう。ギヤオイルの注入。2ストエンジンの始動時は、オイルポンプを信用せずに、まずは混合ガソリンを利用してエンジン始動に取り掛かろう。

DT1をフルレトアするために、オーナーさんは時間をかけて欠品部品(新旧部品)を探し準備していた。フルレストアの作業進行は、部品の有無に大きく左右されてしまうが、やはり欠品部品が無いのはありがたい。これまでの作業手順を振り返ると、ローリングシャシーの状態でフレーム修正業者へ持込み、フレームの歪みを修正。その後、サイドスタンドヒールやエンジンガードの歪みを補修し、車体は完全分解してペイントへ依頼した。ペイント仕上げとなる鈑金部品の修正は、ペイント依頼前にしっかり仕上げておかないと後々面倒なことになるので心得ておこう。
愛知県豊田市のパウダーコーティングカトーさんでフレーム及び関連部品のペイントを終え、その直後には、埼玉県寄居町のドリーム商會さんへ依頼していた外装パーツのペイントも仕上がってきた。部品が揃い始めたので、夜な夜な組み立て作業を開始した。ボルトの再クロームメッキや再ユニクロメッキも終え、ゴム部品も納品されたので、組み立て作業へ移行することができた。この段階で、明らかに欠品していると思われる部品は、わずか数点になった。

おおよそ組み上がった車体に、組み立て完了したエンジンを搭載。各種ケーブルを取り回してエンジン始動前のスパークチェックを実施した。実は、エンジンレスの車体にバッテリーを接続し、エンジン関連以外の通電確認は先行で終えていた。エンジンを搭載すれば、キックを踏み込むことでスパーク確認、エンジン始動後は、夜間走行用各種ランプや充電系を点検する段取りになる。ところが、肝心の火花が出ない……「そういえば!?」と思い、フライホイールを取り外してポイント接点をサンドペーパー(800番)で磨いてみた。ペーパーを短冊状に切って表向きの2つ折りにしてからポイントに挟み、引き抜くこと数回。これでポイント接点はクリーニングできる。さらに接点付近をパーツクリーナーで脱脂して作業完了。フライホイールを復元してキックを踏み降ろすと、プラグの電極には力強い火花がバチバチッと飛んでいることを確認できた。
次に、シリンダーヘッドを外して点火時期を厳密に調整。点火時期がやや遅れていると、実にスムーズにエンジン始動できるが、正規の位置に合せると、ケッチンしやすい傾向なのは、さすがのスポーツモデルである。エンジン始動とポイントギャップの微調整を繰り返し、最終的には上死点前3.2ミリのサービスマニュアルデータ通りに調整した。
エンジン始動後、ギヤを入れようとクラッチレバーを握ると、クラッチワイヤーがすっぽ抜ける感覚が……。ドライブスプロケットカバーを取り外すと、レリーズ金具からケーブル端部が外れていた。よく見ると、レリーズアーム金具にワイヤーの抜け止めがありません。仕方ないのでレリーズアームからケーブルエンドが抜けないように、結束バンドを使って固定して万事OK。いよいよ公道復帰になりますが、まだまだ色々問題が出てくるのでしょうね~

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