
HONDA Trail CT110(型式CT110B)1981年型のセミレストア物語 Vol.09
一部のファンに愛されるモデルに過ぎなかったCT110の時代だが、CT125の登場によって、ハンターカブシリーズの人気は不動のものとなり、歴史を遡ってCT110やさらにCT90の中古車を探し求めるファンが多い昨今。ここでは、先代CT110の1981年型国内モデルをベースに、セミレストアを楽しむ企画を展開中。今回は、電気系では主要部品でもある、メインハーネスのクリーニングと張り替え済みシートへのロゴ入れをリポートしよう。
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みるからにボロなメインハーネスだった
保護テープを剥がしてから洗剤+ウエスで各部を拭き取り、クリーニングしようと思うメインハーネス。かんたんマイペットなどの家庭用洗剤をウエスに染み込ませ、コード1本1本を丁寧に拭き取りながらコンディション確認するのが良い。コード各色の両端端子間で導通があるか、サーキットテスターで確認点検するのが良い。まずは、汚れた保護テープを剥がして、クリーンナップから開始しよう。
汚れと腐食したギボシ端子はクリーニング
メスギボシ端子の保護チューブは本来ならクリアなのに、ギボシ端子の腐食に反応して緑色の緑青(ろくしょう)で覆われている部分があった。パーツクリーナーや接点復活ケミカルを綿棒へ吹き付けて擦り、緑青を徹底的にクリーニングしよう。洗浄用のクエン酸に浸して待つことでも、除去することができる。いずれにしても洗浄後はしっかり脱脂しておこう。
ビニールテープではなくハーネステープを利用
普通のビニールテープではなく、ハーネスにはハーネスを巻く専用の「ハーネステープ」を利用しないと後々大変になる。ベト付かない自己融着テープも良いが、薄いタイプがなかなか無いのとコストも高い。各部をクリーニングし終えたら、ハーネステープでしっかり巻こう。水が染み込みにくいように、外(端部)から骨格線へ向けて巻くことで、テープの重なり具合で水除になり剥がれにくい。
始動前にはエアークリーナー周辺を点検!!
車体部品を洗浄し、磨き作業を進めていたら、気が付くと時計の針は頂上をすでに超えていた……。そんな経験、ありませんか? エアークリーナー周りの部品構成はCT110シリーズの特徴でもある。水路走行対応の高い防水性を備えた部品だが、ガスケットラバーはもはやひび割れていた。スポンジタイプのフィルターは、灯油で洗浄した後にしっかり乾燥させ、エアークリーナー用オイルを無駄なく少量染み込ませておこう。
張り替え済みシートの仕上げはロゴ入れ
専門ショップへ依頼し張り替え済みのサドル型シート。標準タイプのロゴなら張り替えと同時依頼することもできるが、ここは、こだわりのロゴ仕様にしてみた。字体は1958~1959年前期モデルのスーパーカブC100仕様にしてみた。単純な白ではなく白にシルバーを加えたホンダ純正っぽいロゴ色にもこだわってみた。
- スーパーカブ×メンテの世界・新品純正部品もしくは信頼できる社外メインハーネスに交換することで、電気系の流れ=「血流」が良くなり、ユニット機能の減衰症状を避けることもできる。例えば、ヘッドライトが暗い、ホーンが鳴りにくい、ウインカーの反応が今ひとつ…… などなどといった症状の原因が、実はメインハーネスにあった、という例を過去に何度も経験している。気にとめておくのが良い。
作業時間が取れずに長机の上でしばらく鎮座していた、バラバラCT110用部品。前後サスペンションを組み付けてからは、あれよあれよと組み立て作業が進むが、やっぱり作業スペースの確保が大切だと思う。作業進行していても、終了する時に場所を移動し、片付けないといけないのは大変。増してや、部品を移動すると、置いた場所を忘れてしまうこともあるので、尚更、その後の組み立て作業に時間が掛かってしまう。そんな経験、ありませんか?
さて、電装系部品を車体に取り付ける前に、電装部品の要であり、極めて重要なメインハーネスの確認点検を行うことにした。特に、長年乗り込まれた車両用メインハーネスの場合は、ステアリング周辺の「断線」には要注意である。特に、CT110の場合は、一般モデルに対してステアリングの切れ角が大きいので、ハーネスのステアリング周辺がグルグル回って引っ張られている可能性もある。そんなモデルだけに、より一層、注意深く点検しておきたいものだ。突然エンジンが止まるとか、何らかの電気操作が不安定になるなどのトラブルが起こる車両の場合は、テープや被服チューブを剥がし、伸びているコードや断線しかけているコードが無いか、確認してみよう。怪しい配線を見つけた時には、患部を接続補修したり、部分的につなぎ変えるなどの修理を行おう。
今回は、メインハーネスの保護テープをすべて剥がし、内部コードのクリーニングを行った後に、腐食しているギボシ端子のクリーニングを徹底的に行った。また、電気系の各スイッチ類も同様にクリーニングを行った。ウインカーに関しては、レンズもボディも磨き込みで仕上げることができた。転倒などでレンズやボディが破壊していなかったのはラッキーだった。すべての電装部品を単品でクリーニングし終えてから車体に復元した。
その後、別のスーパーカブから6ボルトバッテリーを取り外し、バッテリー端子と接続。エンジン関係以外の電気的作動状況をすべて確認した。ホーンの響き、左右ウインカーの点滅、ブレーキランプの点灯は、ブレーキレバーとブレーキペダルそれぞれで確認し、すべてOKになった。作業当初、リアウインカーが今ひとつ不安定だったので、ウインカーステ締め付け部分の塗膜を目立たないように剥がし、ボディアースの接続をしっかり取ったことで、その後は問題なくスムーズに作動するようになった。その他の電気系としては、エンジンを仕上げてから夜間走行系の電気の流れを確認するのみとなった。コンプリートになる前に、電気系の点検を進めておくと後々気が楽だ。
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