バッテリーへのありがとう。足りてますか?

近年、オートバイの電子制御化はめまぐるしく進化をしています。
バイクにおけるバッテリーの仕事量もそれに合わせてぐんぐん増える!
ひと昔のオートバイのバッテリーの仕事はヘッドライトを点灯させるのとセルモーターを回す事くらいなもんでした。

現在のバイクは始動ひとつとっても、インジェクション化によって電気が不可欠。
イモビライザーだ電子制御だで、キーをオフにしていても微流な電流が流れていたりもします。バッテリーの置かれている環境はまさしく“荒れたオフロード”。

そんなバッテリーは管理を怠ると灯火類の電圧が安定せず切れやすくなったり、セルモーターのブラシを減らしたりと大きな故障の原因にもなりかねません。

皆様にささやかな幸せとバイクの知識をお送りするWebiQ(ウェビキュー)
今回はそんな偉大なバッテリーの充電事情で、たまーに登場する“サルフェーション除去機能”とは何なのかを解説していきます。

サルフェーションとはゴミである


”除去機能”の説明に入る前にまず、サルフェーションとは何なのかについて解説していきます。
簡単に言うと、サルフェーションとは、バッテリー内の極端子に付着するゴミです。

バッテリーは、あの大きく重たい箱の中に6個のセル(お部屋)がありこの中に希硫酸が満たされています。
6個のセルそれぞれにプラスとマイナスの極板が入っているというのが大まかな構造です。

使用を重ねたバッテリーはこの”極板”にサルフェーション現象が起きます。
サルフェーションとは化学反応に失敗した希硫酸たちが、電気を通さない鉛となり結晶化、それがマイナス極板(負極板)表面にこべりつくことを言います。
こうなると、極板と電解液の接触面積が減り、充電スピードが鈍化してしまうのです。

ちなみに、国産バッテリーが優れていると感じるのはセルを構成する金型の精度が優れているためです。
粗悪なバッテリーで細かなバリがあったりするとそこからリークを起こし昇圧不良を起こしたりします。

サルフェーション現象でバッテリーは寿命を迎える


健康なバッテリーの電圧はおよそ12.4V前後と言われています。
鉛バッテリーは1セルにつき起電力はおよそ2.1Vそれが6個あるので12Vバッテリーと呼ばれているのです。

さて、サルフェーション現象によって生まれた鉛が仕切りに1割くっつくとどうなるかというと……。
1セル2.1Vの起電力が90%になり、それが6本で11.34Vと、セルモーターも回らないくらいの電圧にまで落ち込んでしまうのです。
さらに状況が悪化し、6セルあわせて10.5V程度以下になると放電能力を失います。これが放電終止電圧です。

通常であれば、このサルフェーションによって必要な電力が得られない状態が交換時期と言われています。
一般的に言われるバッテリーは2~3年で交換時期というような話の裏側にはこういう事情があったんですね。

サルフェーションが急速に進む状況


前述の通り、バッテリーの放電時に精製される鉛(硫酸鉛)が時間の経過と共に結晶化することで生まれるのがサルフェーションです。

このサルフェーションが起きやすい環境が、低充電状態です。
バッテリーは、使用しなくても勝手に自己放電してしまう性質があり、保管すればするほど低充電状態に近づき、サルフェーションは進行するのです。
長期保管によって、完全にバッテリーが放電し、再び充電しても使用できなくなってしまうのもこれが原因です。

現代の最新バイクは、自然の放電のほかにも、イモビライザーなど電子機器への電力供給で放電する機会が増えています。
乗らなくても、定期的にバッテリーのコンディションを正しくしてあげることが長持ちの秘訣です。

サルフェーションは充電器で取り除ける

この厄介なサルフェーションを取り除く術があります。それがパルス電流!
バルスじゃないよパルス。

高周波のパルス電流を流し、電気的振動を与えることで、電極にくっついているサルフェーションを分解することができるというわけです。
雑に申し上げると水にぬれた犬がブルブル頭を振ることで水を飛ばす。イメージとしてはそのような感じです。


この方式のメリットは電気の流れを使っているので、極板を傷つけないこと。間違ってもバッテリーを叩いたり振ったりしないように。

ちなみに分解されたサルフェーションはまた電解液に溶けるのでご心配なく。

パルス電流を流す方法として、安全かつ一般的なのが、サルフェーション除去機能付き充電器で充電することです。
世の中には自作する猛者もいますが、市販の充電機でも同様の機能が搭載されている物を選ぶのが近道です!
通常の充電機より高価なのは事実ですが、その分バッテリーを長持ちさせるには効果的。

使い方も簡単で今回紹介してきたサルフェーションとは何ぞや。はすべて忘れていても問題ナシ。
いつも通り端子を繋ぎ、ボタンを押すだけであとは機械が自動で行ってくれるというものがほとんどです。

バッテリー長持ちでエコなバイクライフを

鉛バッテリーを実際にバイクに使用した際の寿命は、多くの場合およそ2~3年と言われてますが、実際のところもっと使ってるよという声はよく聞きます。
多くの四輪車にも鉛バッテリーを使用していますが、原因に覚えのないバッテリー上りという経験はなかなかないかと思います。

しかし、明確な弱点もあってそれが今回紹介したサルフェーション。そしてそれを引き起こすのが低充電状態。つまり放置してしまうことなのです。

正しい使い方とバッテリーへのありがとう(充電)を忘れなければ、鉛バッテリーの寿命は伸ばすことができます。日ごろから気を付けて地球にもお財布にもエコなバイクライフを!

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