
普段ならゴミ箱行きで、捨ててしまう廃材を利用した特殊工具作りを提案しよう。ガスケットを剥がしたりバリ除去する際に大変重宝するスクレパーの「自作」にチャレンジしてみよう。使い勝手を考慮した専用形状スクレパーは、マジで「使える工具」なのです。
目次
切れが悪い、折れてしまった「金ノコ」が大変身
バリを発見したときでも、簡単には除去できそうにないこともある。そんなときに実践してみたいのが自作スクレパー作りだ。金ノコのように素材がハガネだと、チャープな切れ味からダルな切れ味まで、鋭さを調整しながら自作することもできる。部品形状に合わせて刃先形状を自在に変更できるのも嬉しいところだ。
本来の刃先除去をグラインダーで行おう
小型スクレパーを簡単に作ることができるのも、このような素晴らしい素材があるからだ。しかも「使用済み」で切れ味が鈍ったものや、折れてしまった金ノコを使うのがベスト。まさに「エコ」、廃物利用による使えるツール作りの典型とも言える。まずは本来の刃の部分をグラインダーで削り落とした。万力にクランプしてディスクグラインダーで削り落とすのが、手っ取り早く安全である。
粗削りのあとは包丁研ぎの要領で刃先を鋭くしよう
カット後に刃としたい部分を削り、その後、包丁用の砥石やオイルストーン、耐水ペーパーなどで刃先を整えて仕上げる。完成した金ノコスクレパーを見れば、切れ味が良さそうだと誰にも理解できそうだ。刃先はしっかり砥ぎ込みシャープな印象である。狭い部分にこびり付いたガスケットの除去には最適なスクレパーだろう。先端を丸刃にすれば、また違った箇所にも使えそうだ。指でグイッと強く握り、ガスケット剥がしを続けてしまうと、握った指先に跡が付き、後々痛くなってしまいそうなので、適当なサイズのホースに差し込み利用すると良さそうだ。
ブレーキパッドのバリ取りも可能
シャープなスクレパーはガスケット剥がし以外にも様々な場面で利用できる。ブレーキパッドの交換時にバリ取りや面取りでの使い勝手が良く、粉塵が飛び散らないメンテナンスも可能になる。完成手前まで準備しておけば、使いたい箇所の形状に合わせて、新たなスクレパーを段取りよく作ることができる。プラスチック部品を削いでクリーニングしたり、バリ取りしたい際には刃先を尖らせるのではなく、90度のエッジをシャープに砥ぐことで使い易くなる。
初期馴染みが高まるピストン加工にも使えるスクレパー
シャープな刃先のスクレパーではなく、ダルな刃先でもエッジがシャープなら専用スクレパーとして活躍してくれる。例えば、ピストンピンクリップ溝に発生したバリが原因でピンの抜き差しが渋いケースがあるが、そんなときにこそ、このようなスクレパーが使える。純正&アフターを問わずピストンを組み込む際にはスカート部や各エッジの面取りを行うことが多い。特に、4ストエンジン用ピストンのバルブリセス部分には、バリが残っていることが多いので、このようなスクレパーがあれば作業性が圧倒的に良くなるはずだ。
- ポイント1・廃品利用だから、してやったり!!
- ポイント2・怪我しないように残り刃は削り落とそう
- ポイント3・仕上げ形状に合わせて刃先形状も自由自在!!
切れ味が鈍くなったり、刃こぼれしたので「ゴミ箱」へ。本来はそうなるはずだった使えないスクレパーでも、刃作りと刃研ぎによって、その性能は確実に蘇る。性能回帰どころか、市販時よりも使い易く、しかもシャープなスクレパーに変貌することもある。これぞまさしく「刃研ぎマジック」だろう。ここでは、スクレパーを「もっと使いやすくする」ためのカスタマイズをリポートしよう。市販品のスクレパーを加工改造=カスタマイズすることでも、より使いやすく変身できる。しかしここでは、本来ならゴミ箱行きになるようなものにスポットを当て、自作スクレパーを作ってみよう。利用する素材は、使えなくなった「金ノコ」である。刃が丸まって切れ味が悪くなったり、バキッと折れてしまったものを素材に「新たなる世界」を楽しんでみよう。
本来のノコ刃部分の削り落としで注意しなくてはいけないのが、切削加工中に刃を吹っ飛ばして、怪我などしないようにすることだ。削る時にはノコ刃を万力などで固定しながら、ディスクサンダーで削り落とすのがベストだろう。L字型やカギのような形状のクスレパーを作る際には、ディスクサンダーの刃先を使ってノコ刃を削り、狙った形状に具現化すれば良い。また、新形状の刃を削り出すと、切削部にはバリが発生するので、小型の平ヤスリでバリを除去し、その後に刃先を整えるのが良いようだ。
このようにして作ったカギ型スクレパーは、ピストンピンクリップ部のバリやスカート部分、バルブリセス周辺の面取りなどで便利に使うことができる。ピストンピンクリップの組み込み時や抜き取り時には、精密ドライバーなどでこじることがあるが、その際に発生してしまうのがピンクリップ溝のバリである。エンジン分解し、ピストンを抜き取ったら、ピストンとピストンピンを単品で組み合わせてスムーズに抜き差しができるか確認してみよう。渋い時にはバリの有無を確認し、自作スクレパーで除去すれば良い。さらに丸断面のオイルストーンで研磨仕上げすれば、スムーズな作動性は確実だろう。
溝寸法を確認しながらノギスで刃幅を調整し、スクレパーを自作すれば、ブレーキキャリパーのピストンシール溝用「ほじりツール」を自作することもできる。こんな特殊工具があれば、溝に溜まっている不純物は簡単に除去することがきる。人それぞれで、様々なアイデアが思い浮かぶと思うが、メンテナンス中にそんな場面に遭遇したら、自作スクレパーを作ってスマートに問題解決していこう。
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