HONDA Trail CT110(型式CT110B)1981年型のセミレストア物語 Vol.06

バイク仲間からの依頼でセミレストアを楽しませて頂いている、通称ハンターカブこと国内仕様のホンダトレールCT110。このモデルが発売された1981年当時、発売元のメーカーに勤務していたぼくは、このバイクが売れなくて、本当に売れなくて、営業スタッフを困らせていたモデルだったことを知っていた。当時のことをよく知る関係者なら「時代は変ったものだ……」と思うことだろう。今は大人気モデルですからね~♪

前回

分解パーツを仕上げた後に、組み立てるのは楽しい!!

作業開始からようやくここまで進行しました。細部を見回したら、不足部品がいろいろあるのは明確。入手可能な「ゴム部品」は、可能な限り新品部品に交換。ボトムケースは純正のシルバーから半艶ブラックへ変更。インナーチューブは、以前のリポート通り、福岡の東洋硬化さんにお願いして、歪み修正と再硬質クロームメッキ処理を依頼した。フォークシールの機種番号はCS90なので、共用部品となっているようだ。

スナップリングの脱着時はインナーチューブに要注意

ボトムケース内のオイル汚れやゴミを組み立て前に完全洗浄。パーツクリーナーを利用するときには、速乾性よりも、遅乾性と呼ばれる商品の方が使いやすい印象だ。ピカピカに仕上げられたインナーチューブにセットリングを組み込み、フォークブッシュを組み込む。インナーチューブ内や各部品も、しっかり洗浄してから組み込もう。ブッシュを差し込んだらエキスターナルサークリップをセットするが、反発力が強いクリップなので、指先だけで組み立てられる雰囲気ではない。頑丈なサークリップブライヤーがあると作業性は良好だ。

次に、インナーチューブの上側からアッパーブッシュを差込む。インナーチューブは再生されたことによって精度が高まり、分解時とは異なりスムーズに作動する。ボトムケース内にインナーチューブを差込む前に、部品カジリが起こらないように、組み立て用のオイルを軽くスプレーした。こんな作業時にもスーパーゾイルスプレーは使い易くて良い。インナーチューブをボトムケースへ組み込み、アウターブッシュもボトムケース内へ押込み、スムーズにストロークするかまずは確認してみよう。

フォークシールの組み込み時は、リップ切れに要注意

フロントフォークシールにラバーグリスを塗布する。シールリップ部の裏表に指先でしっかり塗りつけることで、組み立てトラブルを回避することができる。オイルシールの外周へも薄く塗布することで、ボトムケースへの組み立て性が高まる。オイルシールリップを痛めないように、インナーチューブ側にもラバーグリスを塗布して、リップをチューブ外周に押し当てながらスムーズに差し込んでいく。この作業時は、ラバーグリスの塗布が重要なポイントになる。無い時にはフォークオイルでも良い。小径インナーチューブに対応したフォークシールドライバーを利用して、オイルシールを叩き込んだ。ウエイト部分が離れると叩きにくいので、結束バンドで縛ってから作業進行した。オイルシールのエッジ部分をボトムケースのサークリップ溝の先まで叩き込んだら、インターナルサークリップを専用プライヤーでセットする。クリップは平面側を上向きにセットすることで、オイルシールの抜けや外れ防止に効果的だ。

ボロボロだったフロントフォークが様変わりの美しさへ 

組み立て完了したフロントフォーク。ノーマル部品はシルバーボトムケースだったが、半ツヤブラックにお色直し。ホイールハブやリムと相まってブラックボトムケースとなり、締まった精悍な印象になったような気がする。フロントフォークのオーバーホール時には、各種専用工具が必要不可欠なので、事前に必ず準備しよう。内掛け、外掛け用サークリッププライヤーはもちろん、フォークシールドライバーが無いと作業性は最悪だ。特殊工具が無いことで、パーツにダメージを与えてしまうこともある。

POINT

  • スーパーカブ×メンテの世界・フルレストアではなく「セミレストア的に仕上げよう」と考えた理由は、ピカピカに仕上げるのではなく、長年乗り続けられてきた雰囲気を残した仕上がりにしたいと、オーナーさんが望んだからだ。正直なお話し、ベースマシンのコンディションがそれなりに良ければ、もっと楽な作業進行だったと思う。仮に、ぼく個人の所有車なら、迷うことなくフルレストア仕上げにしたと思います。

ここで作業している通称ハンターカブ110=国内仕様のホンダトレールCT110B(正式型式)は、バイク仲間から持ち込まれた車両で「気持ち良く走れるように仕上げてほしい」と依頼されて作業開始した。今ひとつ見た目が美しくないので、セミレストア的に仕上げることになった。不安無く走れるようになったら納車しようと思う。そんなこんなで、預かってから早くも数か月が経過しているが、ようやく車体部品を組み立てられる状況だ。修理方法やカスタム内容は「すべてお任せ」との申し送りなので、これほどお気楽なセミレストア作業は経験が無い。そんなことで、セミレストア進行ものんびり作業になってしまいます。とは言いながらも、自分のバイクを仕上げるときと同じ気持ちで取り組み、ある程度以上=納得の完成形にしたいと思う。

ここでは、フロントフォークの組み立て作業をリポートしてますが、やや曲がったインナーチューブは、曲がりの修正と再ハードクロームメッキ仕上げによって、新品部品以上のクオリティを得ることができた。分解当時は、お世辞にもスムーズとは言えない作動性だった。おそらく転倒によって、インナーチューブが曲がっていたようだ(完全な「くの字」に曲がるほどではなく2本のインナーチューフを並べるとO脚の隙間は1.0~1.5ミリ程度の曲がりだった)。再生依頼前と後の作動性とは雲泥の差!! やっぱりサスペンションは、しっかり作動しないとお話しになりませんね。Oリングやオイルシールは新品部品に交換したが、特に、オイルシールを組み込むときにはシールリップにキズを付けたり切ってしまわないように組み立てよう。ゴム部品と金属部品の潤滑性を高めるラバーグリスを塗布することで、インナーチューブの端部エッジでシールリップにダメージを与えることも無くなる。このあたりの作業進行は要注意だろう。

また、オイルシールをボトムケースへセットする際には、インナーチューブ径に合致したオイルシールドライバーが無いと、スムーズかつ正しく押し込むことができない。フォークシールドライバーは、作業開始前に必ず準備しておこう。

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