バイクに跨ろうとして、ブーツのヒールをシートカウルやサイドカバーにぶつけてしまい、外装パーツに傷を付けてしまった経験、ありませんか!? ワックスで磨くだけではキズはなかなか消えないが、前段取りを施すことで、仕上がりが良くなるケースもある。ここでは、外装パーツについてしまった擦りキズを消し、輝きを復活させてみよう。

気が付いた時にはこんなキズ、ありますよね!?

ものを落としてしまったなどは当然、パーキング時に前輪を垣根に突っ込んでしまったことで、いとも簡単に付いてしまうのが擦りキズや小キズだ。仮に、ペイント表面のクリア層についてしまった擦りキズなら、比較的容易に美しく消すことができる。バイクを跨ぐときにブーツやスニーカーで付けてしまう擦りキズも同様だ。何とか、元通りに仕上げたいものだ。

慌てず焦らずに、まずは環境作りから開始

目先に目立つキズがあり、気になってしまうと、ウエスで擦ったり、いきなりコンパウンドを掛けてしまうなどなど、慌てて作業してしまうことがある。それは明らかな間違い!!まずは濡れ雑巾や濡れウエスでキズ部品をやさしく拭き上げ、キズ周辺の汚れ取りを行うのが先決だろう。部品の汚れ落としを終えたら、フィニッシングペーパーとも呼ばれる番手が大きな耐水ペーパーを用意し、作業段取りに取り掛かる。

決して押し付けずに「滑らせる」ように磨こう

用意した耐水ペーパーは1500番と2000番、きれいな水に耐水ペーパーを浸し、まずはガソリンタンク上面の小キズから作業開始した。ホコリが載った上から汚れたウエスで拭き取った時などにできてしまうスクラッチキズ程度なら、2000番の耐水ペーパーで滑らせるように磨く程度で、小キズを慣らし消すための前段取りができる。フロントフェンダー先端のキズは、表面だけではなく明らかにクリア層まで入っているので、ここでは1500番の耐水ペーパーである程度まで研ぎ、仕上げで2000番の耐水ペーパーを利用した。作業中はきれいな水で耐水ペーパーを洗い流し、塗装面にダメージを与えないように要注意。ガソリンタンクもフロントフェンダーも、耐水ペーパーで擦ったところはツヤが引けて白っぽくなった印象である。これならクリア層の磨きだけで、何とか蘇りそう?

粒度の異なるコンパウンドが効果を発揮する

粒度の異なるコンパウンドを準備しよう。メーカーによって粒度呼称が異なるが、例えば細目よりも細かなのが極細目で、さらに細かなものには、仕上げ用との名称もある。いずれにしても、粗いコンパウンドを利用すると逆効果なので、まずは仕上げ用よりも一段階粗い粒度で磨いてみよう。部分的な磨きなら手仕上げで十分だ。このときに利用するウエスにも、キズが付きにくいネル生地やマイクロファイバークロスを利用するのが良い。順序良く磨いたことで、フロントフェンダー先端のキズや汚れは完全に消すことができた。最後の仕上げでワックス掛けを行おう。

POINT

  • ポイント1・表面のクリアペイント膜へのキズなら比較的容易に直せる 
  • ポイント2・深い傷には深い傷の直し方があるので、再考しよう
  • ポイント3・ワックス掛けが効いていると、擦りキズ小キズは付きにくい 

三者三葉、十人十色という言葉があるのと同じで、部品についてしまったキズや擦れは、ひとつひとつがすべて異なっている。同じように見えるキズでも、地色となるペイントコンディションによって、その仕上げ方には違いが出てくる。ペイント色だけで仕上げられている部品か、それとも透明でツヤ出し目的のクリアコートを施された部品か、によっても仕上げ方が異なるのだ。実は、メーカー純正ペイントでも、メーカーの考え方やモデルによって、その仕上がりは異なっている。

ガソリンタンクには、クリアコートを施してある例が圧倒的に多い。ところが、同じようにデカールが貼ってあるカウルでは、地色部分に薄っすらクリアコートが施されていても、よく見ると「デカールは貼ってあるだけ」で、その上からクリアコートされていない例が意外と多い。同じようなデカールが貼られていても、ガソリンタンクとカウル類では、その仕上げ方が異なっているのだ。仮に、粒度が細かい2000番や3000番の耐水ペーパーを使っても、貼っただけのデカールを磨いてしまうと、色が落ちて最悪な状況になってしまうこともあるので注意しよう。

余談になるが、大型スーパースポーツ車のカウリングでも、デカールを貼っただけのモデルのが意外と多い。そんな仕上がりが気に入らず、新車購入と同時にカウルを取り外し、ペイントショップへ持ち込むユーザーも多い。その目的は、クリアコート仕上げの依頼である。ワックス掛けしていくうちに、デカール部分の色が薄れていくのが我慢できないユーザーは、新車購入と同時に、すべての外装パーツをクリアコート仕上げにしているようだ。そうすることで、後々まで気楽にワックス掛けできるようになる。

ここでは、ペイント表面につけてしまった小キズや擦れキズを修復したが、仮に、表面のクリア層についてしまったキズなら、DIYでも美しく仕上げられる。小範囲のキズなら、手磨き作業でも容易に美しくなるようだ。広範囲の場合は、エアーポリッシャーや電動ポリッシャーを利用し、仕上げたいところだ。しかし、機器を使って仕上げる際には、ある程度の経験が無いと、逆に痛い目に合うことも忘れずにおきたい。ポリッシャーを強く押し付け過ぎると、塗膜が削れ過ぎてしまうし、仕上げポリッシュなのに、粒度の粗いコンパウンドがポリッシャーバフに残っていると(使用後のバフはコンパウンドをしっかり洗浄しておくこと)、逆にスクラッチキズを付けてしまうことにもなる。ここでは、敢えて手磨き作業で進行したが、それは小範囲の作業で済ませることができたからだ。

画像には無いが、キズ取り作業の終了後は、必ずワックス掛けやポリマーコーティング、ガラスコーティングなどの処理で塗膜を保護すると良い。保護仕上げは想像以上に効果的で、ツルツルすべすべなことも相まって、擦りキズが付きにくくなるのだ。

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