重曹由来のマジックパウダーと呼ばれるブラストメディアで、打ちっぱなしウエットブラストの如くパーツ洗浄できるのがEZブラストの特徴だ。レストア中のヤマハDT-1は、最低限のエンジンメンテナンスで始動確認まで行う予定だが、そんなエンジンの外観的な美しさを少しでも取り戻そうと、EZブラストで洗浄実践してみた。
コンプリートエンジンでもやり方次第で美しく
マジックパウダーの名称で知られるブラストメディア=重曹由来のメディアを、エンジンに打ち付けることで汚れを洗浄するEZブラスト。ある程度のマスキングで重曹メディアならコンプリートエンジンのまま洗浄処理も可能だ。白い粉状の重曹は、熱めのお湯を掛けたり、部品を温めることで炭酸ガスとして消失する特性がある。DT-1エンジンの排気漏れは、持病とも呼べるらしい。レーシングチャンバーのように、純正マフラーをフローティングマウントする構造のため、固定側フランジの隙間に「ヒモ」のようなガスケットを押し込むが、それが抜けてしまいやすいようだ。
重曹由来のマジックパウダーが良い仕事をしてくれる
直圧式ブラストシステムで重曹メディアを打ち付け、その途中で水道水を混合させてウエットブラスト化するEZブラストのウエットタイプ。基本は直圧式ブラストので、タンク内への水分は大敵。コンプレッサーには水抜き機能やドライヤーを装備するのが理想的だ。ドライブチェーン周り油汚れは、本来なら灯油をスプレーしてからブラシでゴシゴシ擦って汚れを洗浄油やパーツクリーナーで洗い流してからブラストすのがベストな作業手順だが、敢えて汚れたままのエンジンにEZブラストを当ててみた。
撮影協力/EZブラストジャパン https://ezblust.com/
温めることで炭酸ガス化するマジックパウダー
フライホイールはクランクシャフトエンドから取り外して作業実践。マジックパウダーショットのみでも、ある程度の見た目的な美しさを得られる。長年の風合いを残しつつ、クリーンナップできる最善の作業方法だと思う。油汚れでギトギトだったドライブチェーン室は、そのまま洗浄してもきれいになった。しかしながら、直接洗浄だとクリーニング効率が悪いので、事前に油汚れは灯油で洗浄した方が絶対に良いだろう。重曹パウダーを無駄なく有効利用するためにも、油汚れは先行洗浄したほうが良い。
洗浄後にエンジン腰上を分解して状況確認
「エンジン丸ごとクリーニング」で汚れを落とした後に、シリンダーまで分解してスリーブ内壁やピストンコンディションを確認した。その後、要所をガムテープでマスキングしてからアルミナメディアでDIYサンドブラスト。ピストンには025OSが組み込まれていた。いろいろ検討した結果、シリンダーボアを純正STDサイズへ戻し、DT-1でも後期型に採用されたキーストンリング仕様の新品ピストンを組み込むことにした。STDボア戻しと同時にiB井上ボーリングにてICBM®シリンダーをオーダーすることにした。
- フルレストアのポイント・将来的にはエンジン分解してフルレストア、フルリビルドするにしても、現状のエンジンが果たしてどの程度のコンディションなのかを知りたかった。エンジン洗浄を効果的かつ効率良く進行できると考え、EZブラストを利用したが、エンジン分解したくない時には効果的な洗浄方法だと感じられた。
空冷2スト単気筒エンジン、しかもシンプルなピストンバルブ構造なので、正直言って完全バラバラのオーバーホールでも、決して難しくはない構造だと思うのがヤマハ250DT-1エンジン。250cc単気筒と言えば、カワサキF8やホンダエルシノア250エンジンのオーバーホール経験は過去にある。125cc以下の2ストエンジンなら、相当数を実践してきた経験もある。正直、DT1エンジンをフルオーバーホールしてみたい気持ちがあったが、前オーナーさんが以前に河川敷で試運転した際に「すごくエンジンが静かで、ミッションも5速までスムーズに入った。クラッチの切れも良かった」との申し送りがあったので、その言葉を信じて、今回はエンジン腰上のみオーバーホールしてみようと考えた。仮に、エンジン始動後に、腰下特有=クランクシャフト周りから気になるノイズが出ていたり、ギヤシフトに不具合があるようなら、その段階でオーバーホールを検討すれば良いだろう。
試してみたいのは、iB井上ボーリングが取り扱うICBM®である。I=イノウエボーリング、C=シリンダー、B=ボア-フィニッシング、M=メゾットの略称で、この四文字は、正式に登録商標を得ている技術名称。そんな技術を投入するため、オフロード系旧車に強いアメリカの部品ショップから、STDサイズの後期型DT-1用純正ピストンとピストンリングを購入した。初期シリーズのピストンは、フラットタイプの標準型ピストンリングを採用していたが、後期のDT-1には、ピストンリングの上面がテーパー仕様になっている「キーストンタイプ」を採用。これは圧縮漏れしにくいリング形状で、しかもさらなる圧縮逃げを防ぐ、バックアップスプリングを上下2本のピストンリングの奥に組み込む仕様を採用している。このキーストンタイプのピストンと「柱付きICBM®」シリンダー(アルミスリーブに特殊めっき処理を施した高性能シリンダー+ピストンの首振りとポートの偏摩耗を防ぐ柱付き吸排気ポート)を組み合わせれば「最強の組み合わせ」になるのは確実。、おそらく今後一生!?ピストン交換は不要になり、ピストンリングが減ったときに交換すれば良いだろう(希望的観測)。ICBM®技術の信頼性は極めて高い。
現状エンジンをどのように仕上げていくか?まずはコンプリートエンジンのままEZブラストを施し、ある程度の汚れ落としを行うことにした。重曹由来のパウダーなら、仮に、エンジン部品に残留しても、除去しやすい特性もある。お湯を流したりエンジンが温まると、炭酸ガス化してしまうのが重曹ベースの特徴。そこで、コンプリートエンジンのままEZブラストを施すことにした。
本来なら、油汚れをしっかり洗浄した後に、EZブラストを施した方が良いが、油汚れに対するEZブラストの洗浄性能を知りたかったので、敢えて試してみることにした。結果としては悪くなく、かなりの油汚れでも時間を掛ければキレイに仕上げることはできた。しかし、ブラスト時間が無用に長くなってしまうので、油汚れや油まじりのドロ汚れは、EZブラスト前に灯油で洗浄しながらブラッシングして、仕上げに灯油やパーツクリーナーで汚れを洗い流した後にEZブラストの利用が良いだろう。車体に搭載されているエンジンをキレイにしたり、中古車仕上げの手段として、EZブラストは想像以上に良い仕事をしてくれるはずだ。
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