HONDA Trail CT110(型式CT110B)1981年型のセミレストア物語 Vol.05
コンプリートバイクをバラバラに分解して、各部品を磨き仕上げ後に組み立てるプランで作業進行しているCT110復活プロジェクトだが、多くの部品を分解バラバラにしたのだから、組み立てるにしても「一味違った完成形にしてみよう!!」と軌道修正。そこで、クロームメッキ部品は、アイコンとなる一部を残して、ブラックアウトに仕上げてみることになった。足周り部品に関しても、ブラックアウトによって引き締まった印象へと軌道修正。一見では、ノーマル車のように見えても、実はノーマル車と並べて比較すると「あれっ!? ずいぶん違うね~♪」といった感じに仕上げることになりました。
前回
目次
「赤色×黒色」コントラストへと軌道修正
メーカー純正と同じ仕上がりを目指すのなら、前後ハブは洗浄後に軽くポリッシュ仕上げにすれば良いが、カスタム要素を考えた時には、前後ブレーキハブとリムのカラーリング変更はインパクトが大きい。しかもペイント仕上げにすることで、完成後の維持やクリーニングが圧倒的に楽になるはずだ。ペイント仕上げはやり方次第だと思う。
パウダーコートの「半ツヤブラック」仕上げに!!
前後鉄リムとブレーキハブはパウダーコートの半ツヤブラックで仕上げることにした。前後ハブを磨きポリッシュ仕上げのアルミリムに組み換えるのなら、カーベックの三次元バレル練磨を依頼して、アクリルクリアのパウダーコートで仕上げることで、後々の腐食進行に対する心配も無くなる。アルミポリッシュ=磨き込み仕上げの場合は、後々の白サビが懸念材料になるが、いずれにしても頑強な塗膜のパウダーコートで仕上げれば、後々の懸念は払拭することができる。
半ツヤブラック仕上げの落ち着きに感激
点サビがあるなど、擦れの影響で輝きがくすんでいたクロームメッキ部品でも、サンドブラストによる下処理後に半ツヤ黒のパウダーコート仕上げによって、これまでの薄汚かった風合いとは一変、もはや激変と呼べる美しい仕上がりとなった前後リムとブレーキハブ。最近流行ODカラー(オリーブドラブ)でペイントし、それに合わせた車体仕上げにすれば、ミリタリー系のカスタム仕様にすることもできる。
クロームメッキ部品は徹底して半ツヤブラック仕上げに
メーカー純正仕上げのCT110はクロームメッキ仕上げの部品が数多く、その分、パウダーコートの半ツヤブラックに仕上げる部品点数は想像した以上に数多くなった。ハンドルやトップブリッジ、ブレーキやチェンジペダルなどなども半ツヤブラック仕上げになり、これまでの微妙な輝き以上に精悍な印象となっている。カラーリングベースのフルカスタムなら、フレームやカバーなどの外装パーツも含めて、すべてODカラーで仕上げても悪くなさそうだ。
もっとも大きく目立つ部品も半ツヤブラック仕上げに
実は、ペイント仕上げと比べ、再クロームメッキ仕上げのコストは想像以上に高値な現実がある。頑強な仕上がりで高い評価を得ているパウダーコートペイントの半ツヤブラック仕様にした理由には、そんな経緯もあった。クロームメッキ部品は輝きを失うと薄汚く見えてしまうものだが、ここまで半ツヤブラック仕上げに徹底すると、組み立て完了後の変貌ぶりが実に楽しみになってきた。
取材協力/カーベック www.carvek.jp
- スーパーカブ×メンテの世界・せっかくセミレストア的に作業進行するのだから、美しく仕上げたいとは誰もが考えることだと思う。ペイント仕上げとメンテナンスには直接的な関係はないが、美しいバイクに仕上がれば、オーナーさんもその後のメンテナンスに気を配るようになるはず。やっぱりバイクは美しくありたいものだ。
車体を完全バラバラに分解してから磨き込み、仕上げ組み立てするのなら、ゴム部品や小物部品などは可能な限り新品部品に交換して、将来的な輝きやキレイさを長持ちさせたいと誰もが考えるはずだ。CT110やその後の系列モデルであるPOST110など、海外向け輸出モデルが生産終了になって、もう少しで20年が経過する。部品によっては、すでに「ゴソウダン」扱いになっているメーカー純正部品も増えているし、将来的にはエンジンモデルの生産を終えると宣言済のホンダだから、現存する純正補修部品が、いつゴソウダンという名の販売中止部品になっても不思議ではない。CT110シリーズの人気や生存台数を考えると、今後は在庫切れと同時にゴソウダン扱いになる部品が増えていくはずだ。
そうなると、インターネットのオークションサイトで、流通在庫部品が高値取引されるようになる。CT110に限らず、機械遺産としてもファンが多いモデルの希少な純正部品は、今後すべてがそのような扱いになってしまう可能性が高い。それは致し方ないことだと思うが、そんな現実を鑑みると、現在の愛車を末永く乗り続けたいと考えるのなら、最低限でも「消耗部品」の確保は確実に行っておきたい。
セミレストア仕上げに始まったこのプロジェクトだが、紆余曲折を経てカスタム要素を含めたお化粧直し+セミレストアで作業進行することになった。分解した部品を部位ごとに明確に仕分け、さらに再利用するか否かを仕分け、部品購入しなくてはいけないものはオーダーを進めている。クロームメッキ部品は、ごく一部を除き、ほぼすべての部品をパウダーコートの「半ツヤブラック」で仕上げることにした。これらの作業は。愛知県のカーベックへ依頼した。仮に、純正調のポリッシュ仕上げを望むのなら、三次元バレル研磨でピカピカに仕上げることもできるのがカーベックである。また、ポリッシュ仕上げ後の手入れが容易になる表面仕上げとして、アクリルパウダーを使ったパウダーコートのクリア仕上げもあるので、純正仕上げ派には、間違いなくこちらがお勧めだろう。
半ツヤブラックに仕上がってきた大物部品を見て、改めて感じたのは、見るからにパウダーコート仕上げは頑強だと感じられた。組み込んだ時には締め付けられてしまう、座面部分にドリルの刃を当てて、ガリガリ擦ってみたが、一般のスプレーペイントとは違い、キズは付けられるものの、ペイント膜がパリパリと剥がれてしまうことは無かった。こんな頑強なペイントなら、組み立て作業時に起こりがちなペイント剥がれにも、気を使うことは無さそうだ。
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