キットパーツのビッグキャブや純正流用でビッグキャブを取り付けるときに、必ず見ておきたいのが、マニホールドの「ポート孔の内径確認」だ。僅かな違いでも大きな違いでも、エンジン始動できないことは無く、走れないことも無いが、ポート孔径を加工して一致させておくことで、よりスムーズな混合気の吸入を得られ、本来のエンジン性能を引き出すことができる。ここでは、マニホールド交換した際に実践した、ポート孔の「内径合わせ」に注目しよう。

メーカー純正流用でマニホールド変更してみたが……

ダックスホンダのキャブレターをマウントするマニホールドを交換しようと思い、何用(適合モデル)がわからない純正部品を購入した。これは、4ミニカスタムファンのバイク仲間から教えてもらった部品番号で、純正マニホールドとガスケットとOリングを購入した。ボルトオンで取り付けられたとしても、必ずしも性能を発揮できるとは限らないので、加工すべきポイントを確認し、実践することにした。

装着予定のマニホールドとシリンダーヘッド側を比較

モデルによっても異なるが、6V時代の横型4ミニエンジンの旧排気ポートは大きく、このダックス用純正シリンダーヘッドの吸入ポート孔も大きかった。購入したマニホールドのポート孔系は見るからに小さいので、12Vエンジンに進化してからの高年式モデル用の部品だと思われる(12Vエンジンは出力規制のためポート孔径が小さい)。ノギスでポート孔内径を測定すると、エンジン側でΦ5ミリ以上の違いがあり、キャブレター側は現在利用しているキャブベンチュリに対してΦ3ミリほど小さかった。

ポートグラインダーで孔サイズ(内径寸法)の一致加工 

Φ6ミリ軸のポートグラインダー(エアーリューターなど呼び名はいろいろ)に、軸が長いロングシャンク仕様のポート加工専用の超硬バーを取り付け、光明丹で記したポートサイズに合わせて切削加工を行った。刃先の形状や粗さによって切削能力や仕上がりが異なるのが超硬バーなので、エンジンチューナーの多くは様々な種類を所持している。キャブレター側は、断熱ガスケットのポート孔径をキャブベンチュリ径に合わせ、そのガスケット穴径にマニホールド側の孔径を併せて、ポートスムーズ化加工を行った。

キャブ本体がエンジンとやや離れる仕様へ変更

マニホールド形状の変更によって、キャブボディのフロートチャンバーとクランクケースの隙間寸法が拡がった。これにより走行風がスムーズに通過するようになり(あくまで想像に過ぎません……)、フロートチャンバー内ガソリンのパーコレーション対策を狙った。純正流用やキットパーツ装着でも、キャブ本体を交換する際には、ジェット類のセッティング変更やジェットニードル針の高さ変更や針の太さ変更は必要不可欠。楽しく走るためにはトータルセッティングが大切である。

高性能フィルター装着時の注意点

キャブボディの吸入側外径(エアーインレット側径)寸法と一致したK&N製高性能エアーフィルターを購入して取り付けた。同梱商品にオイルが入っているが、オイルノズルの先端をニッパで小さくカットして、フィルターの濾過紙に満遍なくオイルを塗布して吸い込ませた。フィルター濾紙ヘのゴミや砂利の吸着を促進するのと同時に、アフターファイヤーの吹き返しで火が出た時、フィルターへの着火を防止するのがこのオイルだ。

POINT

  • ポイント1・適合部品外で部品交換する際には細部仕様寸法を必ず確認しよう 
  • ポイント2・部品交換後は、試運転レベルの実走行を必ず実施しよう
  • ポイント3・高性能エアーフィルターに同梱されるオイルは濾紙材に必ず塗布しよう 

モンキーやゴリラ、スーパーカブにダックス等々,ホンダ4ミニでもキャブレター時代エンジンチューニングファンなら、一度や二度はキットパーツを装着したことがあると思う。例えば、吸入系の要であるビッグキャブキットの完全コンプリート仕様なら、キャブ本体以外に、マニホールドやガスケット、Oリング、エアーフィルターもしくはエアーファンネルが一式揃ったパーツの販売例も数多くあった。もちろん、キャブ本体のみやマニホールドのみの販売もあり、4ミニチューニングの経験が豊富になると、メーカーの垣根を超えた部品の組み合わせで、独自の仕様を構築する例も数多くあった。そんなチューニングファンにとって、他モデル用の純正指定キャブレターの流用は、常套手段となっている。

このダックスの場合は、そもそも海外生産のカブ系キャブレターを取り付けていたが、マニホールド形状と長さを変更したく、他モデル用の純正マニホールドを購入して取り付けようと考えた。キャブ本体下部のフロートチャンバーがクランクケースに近いためか、渋滞路走行でオーバーヒート気味になりやすく、アイドリングが安定しにくい症状が発生。フロートチャンバーがエンジンに近いことから、パーコレーション気味!?なのかもしれないと妄想し、少しでもエンジンとの隙間が拡がるマニホールドへ交換したのだ。具体的には、4ミニチューニング好きのバイク仲間から教えてもらったマニホールドを購入し「純正流用改造」にチャレンジした。

購入した純正部品は、マニホールド本体とガスケット+Oリングの3点。肝心のマニホールドとシリンダーヘッドのポート孔径を比較すると、エンジン側もキャブ側も孔寸法に違いがあった。そこで、エンジン側、キャブレター側、双方ともに新規装着するマニホールド側のポート孔径を加工拡大し、効率良く吸入できるようにマニホールドのスムーズ化を行った。単純に取り付けてしまう、段差ができてしまうが、この程度ならエンジン始動は可能で、走ることもできる。しかし、本来のエンジン性能を引き出すには程遠いので、マニホールド加工を行うことにした。

今回のケースとは逆に、シリンダーヘッド側の吸入ポート孔径が小さい時には、エンジン腰上を分解し、シリンダーヘッドを単体にして、吸入ポート加工を施さないといけない。しかし、チューニングパーツの中には、マニホールドのポート孔径が極端に大きなものがあるので、エンジン排気量やキャブサイズとのバランスを考えたパーツチョイスも心掛けないといけない。

高性能エアーフィルターには、キャブインテイクにバンド固定するタイプと、エアーファンネルの上から被せるスポンジタイプ、また、純正エアーフィルターの代わりに装着するリプレイスタイプがあるが、同梱部品にオイルがあるときには、濾過紙やスポンジにオイルを満遍なく塗布し、古新聞の上に置いてしばらく待ち、不要なオイルを古新聞で吸い取り除去してから装着しよう。オイルのベトツキを嫌がり、オイル塗布しないでいるユーザーもいるが、これは大間違い。吸入の吹き返しで火が出た時に、オイル塗布されていないと濾紙へ引火することがあるので、付属オイルは必ず塗布しよう。

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