ガソリンタンクは、サビ取り前の「汚れ取り」が大切！

ガソリンタンク内部のサビ除去には段取りが何よりも大切。

また、作業手順や作業方法、はサビの発生状況によって異なるため様々なケースを体験し、知ることで様々な応用が生きるようになる。

必ず知っておきたいのが、サビ鉄板を覆うタールなど汚れを除去しない限り発生したサビを「根こそぎ除去」することなんかできない!!

ここでも、サビ取りケミカル利用前の「段取り」を徹底しよう。

物理的にサビ取りできるものは徹底的に!!

タンクキャップ穴からタンク内部を覗き込むと、そこには汚れやサビが、こんもりと……。そんな場合は、前回の記事「ガソリンタンクのサビ取りを成功させるコツ！作業前の”汚れ取り”が大切！！」でも紹介した「番線」を利用して、キャップ口金からゴリゴリやることで、物理的にサビや汚れをこそぎ落とすことができる。タンク内を擦って剥がれるようなサビは、高性能ケミカルを使う前に、可能な限り除去したいものだ。

「作業開始前の判断」が、実は、かなり重要になるガソリンタンク内部の汚れ取りやサビ落とし。LEDライトを使ってタンク内部を覗き見たときに、タンク内部が「乾燥している？」もしくは、腐敗ガソリンで「湿っている？」まずは現状把握が重要なのだ。

仮に、乾燥していてサビが発生している場合は、ロングノズルのエアーガンで内部をブローしたり、番線でコリコリやってみて、内部の汚れやサビをできる限り外部で出そう。見た感じでサビだけの場合なら、この段階から高性能サビ取りケミカルを利用して作業進行しても良い。

しかし、タンク内部からガソリンの腐敗臭があったり、明らかに湿気がある場合は、段階を追って作業を進めよう。まずはガソリン系の汚れを徹底的に除去する。前回のリポートで記した「中性洗剤＝ママレモン」によるタンク内洗浄や高圧洗浄が効果的だ。

それでも除去できない「しつこい汚れ」がある際には、ここで実践する作業に取りかかろう。かなり高度なタンク内洗浄が可能になるはずだ。

燃料コックの金具がパイプネジのフィッティングタイプなら、ホームセンターで購入できるパイプキャップやテーブルの脚ゴムを利用することでフタができ、液漏れを防止できる。

モトメカニックのスタッフが好んで利用しているワイズギアの「スーパーキャブレタークリーナー(原液タイプ)」。説明書に従いクリーナー原液３対ガソリン７で希釈して、カーボン汚れを徹底分解。本来はキャブ洗浄用だが、これが実に効果的!!キャブ洗浄後の廃液を再利用しても良い。

ワイズギアの業務用キャブクリーナーが凄い!!

業務用キャブクリーナーを混ぜたガソリンで満タンにしたら、汚れの落ち具合を確認しながら(処理液を出し入れして内部確認するのがベスト)、処理液ガソリンをポンプで出す。一斗缶に溜めて、パーツ洗浄用として再々利用(してます)。

脱脂洗浄液か中性洗剤でリフレッシュ

中性洗剤や市販の脱脂洗浄剤(ここでも中古液を再利用)でタンク内部のガソリン系を除去する。変質ガソリンのタールやワニスがまだ残っているようなときは、再度洗浄しよう。

いよいよ本格的なタンク内のサビ取り実践を高性能ケミカルで行う。その前に、再度、タンク内部を水道水で洗浄して、ライトを照らして内部の状況を確認しよう。大切なことは、サビの上に載った「油やタール」の汚れ落としだ。

タンクのサビ取りは「事前段取り」が何よりも重要である。以前の段取り解説でも記したが、特に、(1)腐敗ガソリンの排出。(2)変質ガソリンによる汚れなどは、サビ取り実践以前に徹底的に除去するのが重要である。

キャブレター内の汚れはエンジンコンディションを大きく左右するもの。何故、キャブが汚れるのかと言えば、その原因は「残留ガソリンの変質」によって起こる例がほとんどだ。つまり、ガソリンタンク内部の汚れも「変質ガソリンによるもの」がほとんど。このタンク内部の洗浄段階でも、極めて有効なのが「キャブレタークリーナー」である。

特に、われわれモトメカニック編集部がイチオシなのは、ヤマハ純正指定でもあるワイズギアから発売されている『業務用スーパーキャブレタークリーナー(原液タイプ)』である。この商品は、高性能ケミカルの原液を、指定の希釈＝ガソリンで希釈して漬け込むことで、ネバネバ、ネチョネチョに変質したガソリンやタールやワニスを溶かして分解し、汚れを落とす高性能商品なのだ。そのキャブクリーナーを本来の使い方だけではなく、キャブレターの上流にある「ガソリンタンクの洗浄」にも使ってしまうのだ。

大量に出る洗浄後の廃ガソリンは、携行缶や一斗缶で保管し、エンジン部品やドライブチェーン周りの油汚れ落としとして利用することができる。洗浄能力は極めて高い。是非、お試しいただきたい。