エンジン部品のペイントやラジエターのペイントには、機能ペイントとしても知られている「ガンコートペイント」がベスト!!というのが、ぼくの考え。決してオーバークールではないBMW製バイク初の水冷エンジンシリーズだから、間違いなくオーバーヒート気味になるはずだ。K75Sのカラーリング仕上げでは、カーベックさんの技術を頼って、適材適所で機能性ペイントで知られるガンコートペイントにて、仕上げて頂くことにした。締まりのあるカラーリングになったら嬉しいですね!!
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半ツヤブラック仕上げのパウダーコーティングで強靭塗膜をゲット
ステッププレートやバッテリー台、バンパー周辺パーツなどなどは、そもそもアルミ地肌仕上げやクロームメッキ仕上げがBMW純正の仕様だが、それらのパーツや各種小物金属部品はすべて、パウダーコーティングの「半艶ブラック」で仕上げて頂くことにした。パウダーコーティングは、乾燥機に入れてから指定乾燥温度の180℃に達してから、1時間以上乾燥させるのが基本のようだ。
塗料だけでは仕上げられない。インフラも重要な高機能ペイント
バイクショップやコンストラクター、さらにはバイクメーカーへも様々な設備や機器を納品しているのがカーベック。ガンコートやパウダーコーティングには、乾燥設備が必要不可欠だが、誰もが知るコンストラクターやバイクメーカーの開発部門などにも、同社製各種設備が導入されている。今回は、分解した部品を洗浄後にサンドブラスト処理を実施。その後、パウダーコーティングやガンコートを施していただいた。
樹脂部品にも施工できるガンコートがある!!
ガンコートペイントの発売元である、アメリカKG社の日本総代理店が愛知県のカーベック。アメリカ本国市場に次いで、世界的に2番目の販売力を誇るのが、日本のカーベックだそう。ラジエターは樹脂とアルミのハイブリッド仕様なので、特殊な添加剤を混ぜたガンコートで仕上げて頂いた。機能ペイントのガンコートは、塗膜自体に放熱性を高める特性があり、一般のペイントと比べて、圧倒的に放熱効果が高いペイント=よく冷えるペイントとしても知られている。パニアケース用のZ型樹脂ステーも、同ペイントの半艶ブラックで仕上げて頂いた。パニアケースの樹脂ステーは、ぼくの希望でお願いした、あくまでテストケースでのペイント施工になる。
話題のセラミックペイントは「セラトップ」
ステンレス製マフラーなので、サビで朽ち果てることが無いのがKシリーズ用マフラーの特徴でもある。サンドブラストで表面を梨地にしてから、カーベックが取り扱う耐熱ペイントの「セラトップ」で、マフラーを仕上げて頂いた。施工後、1週間以上はそのまま乾燥放置するのが基本のペイント乾燥手順のようだ。完全乾燥後は、圧倒的な耐熱性能を誇る仕上がりになる。
ちぢみペイントこと「結晶塗装」で雰囲気重視!!
ツインカムのヘッドカバーは赤結晶ペイントで仕上げて頂き、クランクカバーは、パウダーコーティングの半ツヤブラックで仕上げて頂いた。結晶ペイントは、完全乾燥硬化に時間が掛かるので、取り付け直後にエンジン暖機したときには、強く擦れると塗膜にキズが付いてしまうので要注意。何度か暖機運転した後に、完全硬化すると塗膜が落ち着くようだ。
- バイクを美しく仕上げるポイント・赤サビなどが浮いているのではなく、車体全体のツヤが引けて、輝きを失っているような際には、細部に至る部品の磨き込みと同時に、外装パーツやフレーム骨格をペイント(状況に応じたペイント)によって、トータル的な美しさや輝きを復活させることができる。可能な限り部品を単品にしてから磨き込むのが良い
撮影協力/カーベック www.carvek.jp
シリンダーヘッドカバーやクランクカバー、車体周りの金属部品などなどは、愛知県東海市のカーベックにペイント作業を依頼した。あまりにも部品点数が多いながら、個人的にもDIYペイントを楽しみたかったので、寝かせた縦置きエンジンのフロントカバーやウォーター&オイルポンプ関連部品、さらにオイルパンなどなどは、ガンコートのサテンブラックおよび黄金色が美しい「ブライトブラス」でDIYペイント仕上げを行った。
耐熱仕様のエンジン部品は、冷却機能ペイントのガンコートを利用した。車体周りは、頑強に仕上げたいので、パウダーコーティングの半ツヤブラックをチョイスした。ただし、クランクカバーは出っ張りが大きく、熱くはなるものの、決して高温になる部品ではないので、パウダーコーティングの半ツヤブラックで仕上げて頂くことにした。
1液溶剤のガンコートペイントは、一般のペイントガンで塗ることができる。ガンのカップに塗料が余ったときは、ペイント容器に戻すことができる1液タイプなのも大きな特徴で、とにかく歩留まりが良い。重要な「焼き付け乾燥工程」は、専用の高温乾燥機を利用して、180℃に達してから、最低でも1時間以上は乾燥させる必要がある。今回は、他の作業を行いながら、1時間焼いてから冷めるのを待ち、再び同じように焼く工程を2回繰り返して行った(自家製DIYガンコートペイントでの作業工程です)。
そのようなペイント工程によって、耐ガソリン性、耐溶剤性が抜群に良くなり、汚れ落としのつもりでパーツクリーナーを吹き付けても、エンジン塗膜が弱ること無く圧倒的な頑強さを誇るのだ。カーベックでは、サンメカユーザー向けにCVジュニア(小物部品用の高温乾燥機)をラインナップしているので、DIYペイント好きなら、是非ともガンコートの素晴らしさを体感して頂きたい。
目立つ大物部品は失敗したくないので、ラジエターなどの特殊ガンコートペイント、パウダーコーティング、結晶ペイントなどなどは、迷うことなくカーベックへ依頼した。同社では、ネタ缶での販売はもちろん、缶スプレータイプの「結晶塗装エアーゾール」も販売し、好評を得ている。サンドブラストで下処理した部品は、塗装面に600番前後の耐水ペーパーで、まずは足付け処理を行う。足付けを施したら、乾燥器でしっかり水分を飛ばし、そり後は、一般の缶スプレーと同じように「重ね塗り」で結晶塗装エアーゾールを吹き付けていた。薄く何度も重ね塗りし、特に、塗り損ねが無いように、部品の各エッジ部分はしっかり吹き付けよう。そんな重ね塗りを繰り返し行い、やや厚めにペイント仕上げするのがキレイに仕上がるコツのようだ。15~20分程度、自然乾燥させた後に、120℃の温度設定で、設定温度に達してから20分も経過すれば「結晶=ちぢみ塗装」になる。焼いては冷やし、また焼いては冷やしを何度か繰り返し数時間乾燥させることで、結晶塗膜硬度がどんどん強まっていく。缶スプレーのエアーゾール仕様でも、驚きの仕上がりを得ることができるので、DIY結晶塗装にチャレンジしてみよう。
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