
雨ざらしにされたバイクなら数年、しっかり保管していたつもりでも、コンディションによっては、意外と早くタンク内部にサビは発生する。
そんなサビの除去は必須だが、サビの除去前に必要不可欠なのがガソリンタンク内部のゴミや古い変質ガソリン汚膜の徹底除去なのだ。
ガソリンタンク内部は高圧洗浄がベスト!!
中性洗剤や市販の脱脂洗浄剤でタンク内部の汚れをおおよそ除去したら、タンク内に水道水を注いでロングノズルのエアーガンを差し込み、内部を徹底的にエアーブロー。つまり、派手にタンク内部をうがいさせるのだ。水が噴き出すので透明傘で跳ね返そう。
タンクの奥底まで届くエアーガンは有効アイテム

ガソリンタンクの汚れやサビは、タンクの溶接部分(シーム溶接ライン)となる溝に溜まっていることが多い。汚れが堆積していると、その汚れを除去しない限り、下に隠れているサビはサビ取りケミカルに反応しない。だからサビ取り前の汚れ落としが重要なのだ。

市販の高圧洗浄機のノズルを交換して、オプションの「先細ノズル(アンダーランスと呼ばれる)」に交換すると作業性が良くなる。高圧洗浄機が無い場合は、水道ホースの先端50mm手前に穴を開けてエアーガンのノズルを差し込むことで高圧洗浄のような噴射圧になる。
ファイバースコープで津々浦々まで目視可能!!

工具ショップで購入できるファイバースコープは、プラグ穴から内部を覗き見てピストントップに堆積したカーボンを目視するのに便利だが、ここではタンク内部の汚れをしっかり確認できる。古い変質ガソリンのスラッジがシーム溶接部分の溝に堆積していた。
「番線」の束で見える部分の汚れは擦り落とせる

建築現場や外壁塗装現場などで足場を組むときにパイプを縛るが、その際に利用されるのが番線だ。柔らかく太い針金状なのが特徴。ホームセンターで購入できる。ふたつ折になって販売されているものが使いやすく、タンクキャップ直下の汚れは束になった先端で磨くのが良い。
- ポイント1・タンク内のサビ取りが目的でも、その前に必ず汚れ落とし。
- ポイント2・サビた内壁を覆う汚れを落とさないとサビに届かない。
- ポイント3・サビを露出しないとサビ取りケミカルが反応しない。
- ポイント4・汚れ落としに高圧洗浄が威力を発揮。
しばらく放置されていたバイクのガソリンタンク内部は、驚くほど酷いコンディションになっていることが多い。ガソリンを入れっぱなしで放置すると、ガソリンが変質してタール状になったり、ワニス化してしまう。そんな状況では、サビ取り作業以前に、その汚れの除去が大変な作業になってしまうのだ。
腐って異臭を放つガソリンを排出しただけで、サビ取りケミカルを投入。しかし、思い通りに「タンク内部がキレイにならない……」といった経験をしたことがあるサンデーメカニックもいることだろう。いくら高性能なサビ取りケミカルを利用しても、タンク内部の腐敗したガソリン汚れを落とさない限り、決して思い通りの結果を得ることができない。
キャブレターからのオーバーフローの原因が、タンク内部のサビではなく、単純にタンク内部の汚れにあることも多い。そんな状況でも、ここで解説するタンク内部の洗浄方法は、おおいに役立つはずだ。
- 腐敗したガソリンの排出
- 燃料コックを取り付けたままの場合はレバーがOFFポジション。コックが無い場合は、コックの取り付け部分に栓をする
- ママレモンなどの中性洗剤を50ccほど投入し、そこに60度前後のお湯をタンク容量の半分程度流し入れる(やかんでお湯を沸かし温度調整)
- キャップを閉じてタンクをよく揺する
- 揺すり終えたらさらにぬるま湯を注ぎ、口切り満タンにしてキャップを閉じる
- ぬるま湯が冷えないように不要になった毛布などでタンクを包み込んで24時間待つ
以上のような手順でタンク内部の汚れを中性洗剤のぬるま湯で溶解してから、写真解説の作業に取りかかるのが良い。
単なるタンク内部の汚れ取りなら、この作業でタンク内部はキレイになるはずだ。水道水で濯ぎを終えたら、コックや栓とタンクキャップを取り外し、天日干しもしくはヘアードライヤーの温風でタンク内部を乾燥させよう。また、キャップとコックを取り外したまま、クルマのトランクや荷室置いて乾燥待ちしてもよい(臭いが無ければですが)。
作業後、内壁にサビが発生しているようなら、高性能なタンクのサビ取りケミカルを使って処理作業を続けよう。
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