CBR1000F(SC21)のレストア日記も終盤戦。いよいよ外装(カウル)を綺麗にします。
前回の作業
目次
はじめに
フルカウルというよりもフルカバードといわれるくらい機械部分が見えなくなっているデザインで、カウルの部品点数も多いのですが、幸いなことに自分のSC21の部品はすべて揃っており、割れ欠けも数か所のみという比較的良好な状態でした。ならば、少し磨くだけでもよいのでは?と思い、詳しく部品を見ていくと一部の部品が脆くなっていたり、ステッカーが剥げていたりしてさすがにそのまま使用するのは厳しい。それに中身をしっかり綺麗にしても外装に気になることがあるとそれが第一印象になってしまいそうです。あとで後悔したくないので、すべてのカウルを塗りなおし、せっかくなので自分が好きだった白系に変更することにしました。
それによってカウルの割れた部分や脆い部分は補修や補強ができる反面、すべてのステッカー類を一旦はがすことになるため、純正同様のデザインにするためには当時のステッカーを全て入手する必要があります。残念なことにSC21のステッカー類はすべて廃番なだけでなく、ネットを探しても見つけることが出来なかったため、今回は自分のバイクのボディに残っているステッカーを測定、転写し、カッティングシートを同じ形状に切り出して復元をすることにしました。(この作業はオリジナルの雰囲気を復元するために自己責任で行っています。)
カウルの補修、補強
メータ周辺のインナーカウルのクリーニングをしていたところ、経年劣化で割れがどんどん進んでしまう状態だったため、ガラス繊維をパネルボンドとプラリペアで固めて復元する作業を行いました。もともと欠けていたカウルナットを止める箇所は金属のワッシャーを使って形状を再現。じわじわ割れ始めている箇所は裏側にFRPを張り込んで補強しています。
マフラーガードの補修
マフラーの遮熱版を兼ねる鉄製のマフラーガードはアンダーカウルとの接合部が錆で朽ち果てていたので、多少状態が良い中古部品を購入、傷んだ塗装と錆をグラインダーで落として、ハイブリッドプライマーを塗ったのち、缶の白色耐熱塗料をスプレーしました。
ステッカーの測定と転写
カウルの塗装をはがし始める前に全ての純正ステッカーの形状を転写、貼られている位置を測定、写真も様々な角度から撮っておきます。これらはステッカーを再現するときの貴重な資料になります。
タンクの塗装はがしと白塗装
タンクの塗装は錆取りの作業中に結構傷つけてしまったのと、純正のホンダロゴやストライプのステッカーはクリア塗装の下に貼られていて簡単にははがせないため、グラインダーに塗装はがしディスクを付けてすべてはがしていきます。金属むき出しの状態にするとすぐに錆が発生するため、研磨完了後すぐにプラサフを吹いて保護したのち、カウル塗装に使用する二液ウレタン塗料の白を塗りました。研磨作業中についてしまった磨き傷が結構深かったため、乾燥後800番の耐水ペーパーで中砥ぎを行い、かなり厚めに塗り重ねました。
カウルの塗装はがしと割れ補修
メインのカウル類の塗装もグラインダーを使って剥がしていきます。その際、カウルの裏側にある防音、断熱スポンジも剥がしてきれいにしています。きれいにはがし終わった後、カウルの割れているところを半田ごてで溶かして溶着。表裏両方からプラリペアをパテ代わりに使用してへこみを埋め、耐水ペーパーで150番から800番まで順番にかけて表面の凸凹をなくしていきました。
リアフェンダー類の塗装
SC21はリアフェンダーやフレームカバなど黒い部品も多数存在し、いずれも紫外線で白くなってきていたため、二液ウレタン塗料の黒を塗って中砥ぎを行うことを3回繰り返したのち、最終的には艶消しの黒を塗って仕上げました。
インナーカウルの赤塗装
メータカウルやインナーカウルは赤く塗ります。今回赤や白の塗料はホンダの純正色ではなく、調色不要で容易に手に入る関西ペイントの標準的な赤と白を使用しました。乾燥後、タンクの塗分けのラインを決めるためにインナーカウルを一度装着し、目視でタンクにマスキングテープを貼って塗分けラインを確定させます。
ステッカーデザインの作成と切り出し
本格的な塗装を始める前に、剥がしてしまったステッカーを再現できるように転写したデータをパソコンに取り込み、カッティングマシンで利用できるデータに加工します。また、カッティングシートサンプルを塗装面に並べて一番近い色を探し、通販で注文して入手したのちにカッティングマシンでカットします。
メインカウルの白塗装
いよいよ黒いカウルを白くしていきます。塗料の食いつきをよくするためにプライマーを塗ってから塗装します。今回の塗装に合わせメインのスプレーガンを上級者用のものに変更し、2液ウレタン塗料を3回塗り重ねました。
タンクの赤塗装
マスキングをしてあるタンクの上部を赤く塗ります。ガソリンキャップ周辺が剥げないようにこちらも4回ほど塗り重ねました。
ストライプとステッカーの貼り込み
タンクの塗装が乾いてからマスキングをはがし、実際の車体に取り付けてフロントカウルからのつながりを確認した後、タンクにある3本の白いストライプをカッティングシートから切り出し、保存しておいた写真を見ながら目分量で貼っていきます。純正のストライプは赤白のストライプがセットになったものを貼っているのですが、タンク側が3D曲面のため今回は白い細いストライプを一本ずつ貼って現物合わせをしています。
ストライプを貼り込み終わったら、各ロゴや文字を純正と同じ場所に貼っていきます。平面ではない場所は各文字の間の台座シートに切り込みを入れて周辺のアールに合うように弓型に貼っています。細かい部分で失敗してもカッティングマシンで再度自動切り出しするだけなのが救いです。
クリア塗装
ステッカーの貼り込みも完了し、いよいよクリアを塗装していきます。実は2液ウレタン塗装でクリア仕上げにしてコンパウンドで磨くのは初めての経験なので結構ドキドキでしました。貼り込んだステッカーの段差がそれなりにあるので研磨時に下地が出ないよう5回以上塗り重ねています。ゴミが付着したり、垂れてしまった場所は乾燥後800番から2000番の耐水ペーパーを使って取り除き、中砥ぎを行ってから再度クリアを吹くようにしました。
クリア研磨
クリア塗装の表面を1000番、2000番の耐水ペーパー、4種類のコンパウンドを付けたポリッシャーで磨いて艶を出す作業を行います。ポリッシャーの回転でコンパウンドや水が四方に飛び散るので、カーポート内にシートを吊り下げて飛散を防ぐようにしたところ快適に作業をすることが出来ました。
まとめ
SC21のカウル類のリフレッシュを行いました。カウルの割れや賭けはできるだけ補修、補強を行い、貼られているステッカー類を作り直し、各色に再塗装を施した上に貼り込み、その上からクリアを吹いて、研磨して仕上げました。初めて行う作業ばかりなので何度か失敗していますし、時間もかかってしまいました。自分自身で作業を全て行っている以上、仕上がりも耐久性もすべて自分次第。暑かったり、雨が降ったり、風でカウルが飛んで傷がついてしまったりもしましたが、何とかやり切ることが出来ました。完成に向けてかなり大きなハードルは超えることが出来たような気がします。特に自分が欲しいステッカーを自分で作れるのはなんかわくわくしますね。
次回はいよいよレストア作業の最終局面である電装品のリフレッシュと組み上げを行いたいと思います。
■使用した工具、備品■
グラインダー
塗装はがしディスク
プラサフ
プラリペア一式
JBウェルド、二液型エポキシ接着剤
エポキシ系接着材
ペーパーブロック
耐水ペーパー(150番、800番、1000番、2000番)
脱脂用スプレー
カッティングシート(赤、白、カーボン柄)
カッティングマシン (ブラザーカッティングマシン)
PC
ハサミ
カッター
カッター台座
ハイブリッドプライマー(白)
耐熱塗料(白)
2液ウレタン塗料 (黒)
艶消し剤(フラットベース)
2液ウレタン塗料 (赤)
2液ウレタン塗料 (白)
2液ウレタン塗料 (クリア)
ウレタン塗料用シンナー(遅延)
塗装研磨用コンパウンド(4種類)
電動ポリッシャー
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