バイクの性能を語るうえで極めて重要な三要素が「走る・曲がる・止まる」。その中でも、特に重要なのが「止まる」を司るブレーキシステムである。フロントブレーキをコントロールするブレーキレバー周辺だけでも、実に様々なメンテナンス・ノウハウがある。ここでは、実践後の満足感が極めて高い「ブレーキレバー周辺メンテナンス」をリポートしよう。

ブレーキレバーを「思い切り強く握ったこと」ありますか!?

使い込まれたブレーキマスターシリンダーは、レバーホルダー部分の磨耗やピボットボルトのコンディション、締め付け具合によって作動性に変化が出る。まずはブレーキレバーを取り外してメンテナンス実践してみよう。ブレーキレバーを取り外したら、レバーホルダー部にパーツクリーナーを吹き付け、固着したグリス汚れの洗い流しから始めよう。 グリス切れに見えなくても、ゴミや汚れなどの不純物が混ざったグリスが原因で、作動性を著しく低下させている例は数多い。また、ピボットボルト部が磨耗してしまうと、ボルトを締め付けてもガタが出てしまう。そうなるとブレーキング時の右手指に違和感が伝わるはずだ。そうならないためにも、定期的な洗浄とグリスアップが重要なのだ。

ブレーキピストンの偏り摺動は絶対に良くない!! 

ブレーキマスターシリンダー部に汚れが入らないように組み込まれているのがダストカバー。このカバーが切れてヨレヨレになるとレバータッチが悪くなるので注意しよう。この部品だけでは購入できないケースもあるが、切れに気が付いた時には要交換だろう。ブレーキレバーを握り込んだときの指先にビビリ感やゴツゴツ感があるときには、マスターシリンダーが偏磨耗している可能性もある。 手っ取り早い対処法のひとつにピストンのローテーションがある。ピストンエッジを洗浄脱脂後にマーキングして、先細ラジオペンチやプライヤーでマスターピストンをゆっくり回してみよう。90~180度回して作動状況を確認してみるのが良い。たったこれだけの作業で、レバータッチや握りフィーリングが激変することもある。これが効果大なのです!!

可動部、作動部にはグリスアップが基本 

ブレーキレバー側ヒボット部の磨耗状況を確認しながら、パーツクリーナーで部品洗浄してみよう。砲金ブッシュが編磨耗しているときには、本来なら部品交換だが、工作機械があれば、自家製ブッシュへ入れ換えも可能だ。ピボットボルトは乾燥していて無残なコンディションだった。油っけがまったく無く、しばらく放置されていた車両なのか?表面には薄っすらサビも出始めていた。真鍮のワイヤーブラシを利用し、まずはサビ落しから始めた。さらに不織布シートで磨き込めば良いだろう。クリーンナップ後は、グリスを塗布して、作動性を確認してみよう。

プレーキピストンプッシュ部の重要性

ブレーキレバーピボットのブッシュ部分にもグリスアップを忘れてはいけない。さらにブレーキマスターシリンダーの「ピストンを押し込む突起部分」にもグリスアップを施そう。特に、この押し部へのグリスアップは、レバーの操作フィーリングが向上する効果的なメンテナンスだ。
POINT
  • ポイント1・ブレーキレバー周りは日常メンテナンスを行い、レバーの作動摺動性を高めよう。乾燥状態はもっての外だ!! 
  • ポイント2・ ダストブーツの破れ発見時には即部品交換しよう
  • ポイント3・ブレーキピストンのローテーションで激変するのがレバータッチだ
ディスクブレーキ車のマスターシリンダーはもちろん、ドラムブレーキ車でも、ブレーキレバーホルダー周辺のメンテナンスは重要だ。定期的にメンテナンス実践しなくてはいけないポイントでもある。特に、雨天走行後やツーリングから帰還したときなどには、ブレーキレバーやクラッチレバー周面のクリーンナップとメンテナンスが重要で、やり方次第では、これまで以上にレバータッチが改善されることが多い。レバータッチが良くなると、走りに集中でき、何よりバイクに乗るのが楽しくなる。 レバーエンドが折れてしまったり、転倒や立ちゴケでレバーが大きく曲がってしまった時には、ブレーキレバーを交換しなくてはいけないが、そのような時でも、単純に新品部品への交換ではなく、周辺環境も徹底的にメンテナンスしてみよう。メンテナンスによって、作動性の向上やレバータッチが想像以上に良くなるものだ。特に、雨天走行後は、ディスクローター&キャリパー周辺の水洗いと同時に、マスターシリンダー周りの洗浄とグリスアップも必須項目だと考えるべきである。 ブレーキレバーを握ったときに、指先にビビリ感やキシミ感があるときには、ブレーキマスターピストンの偏磨耗が考えられる。こんなときには、ダストブーツを取り外し(ブーツが切れているときには新品部品に迷わず交換しよう)、ピストンを回す=ローテーションしてみよう。ほんの僅かな作業で振動やキシミ感が消え、実にスムーズなレバータッチが蘇るケースが多々ある。グリスアップ実践と同時に、ブレーキマスターピストンの「ローテーション」も定期的に実施し、常にレバータッチが良くありたいものだ。 ブレーキレバー☆身近な部品だから「作動性を高めて」タッチを改善!! ギャラリーへ (9枚)

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