バイクを構成する部品の中で、もっとも点数が多いのが各種「ボルト」類。言わずと知れた、これらのボルト類が美しく輝いていないと、美しくペイントしていたり、磨いたパーツを取り付けたとしても、その部品の輝きがくすんでしまうことになりかねない。ここでは、各種メッキ部品の重要性に触れておこう。

作業者自身が下磨きすることで変わることも……



通称「ユニクロメッキ部品」と言えば、防錆効果の高い表面処理技術として知れらている。バイクの場合は、装飾クロームメッキ以外の各種ボルト。例えば、クランクケースカバーを締め付ける各種パンスクリューなどは、白色と呼ばれるユニクロメッキで仕上げられることが多い。また、大物部品では、ドリブンスプロケットやブレーキロッドやブレーキアームなどに白色ユニクロメッキ処理を施すことが多い。個人的に、白色ユニクロや黄色クロメートの再メッキに依頼する時には、ベンチタイプの双頭グラインダーにステンレスのワイヤーバフをセットして、再処理したい部品の汚れやサビを磨き込み、金属地肌をしっかり出してから業者へ依頼している(バイク仲間を経由してお願いしている)。クロームメッキもユニクロメッキも、環境問題の関係で、業者の数が年々減りつつある。それでも、インターネットで探すと引き受けて下さる業者もあるので、お願いしてみよう。

装飾系のクロームメッキはすべて業者へお願いした



すべてのボルトが白色ユニクロではなく、部分的にクロームメッキを採用していることが多いオートバイ。DT1の場合も、アクスルシャフトの頭やチェーン引き、ハンドルクランプの上などは(クランプ下側は白色ユニクロだった)、クロームメッキを採用していた。 クロームメッキの下処理は、ユニクロやクロメートのようにワイヤーバフで仕上げるのではなく、しっかり磨き込んでピカピカに輝かせることで、仕上がり後の輝きに違いが出る。DT1のフルレストアでは、すべて業者に依頼したのがクロームメッキ仕上げだった(Web検索で調べました)。サビだらけでボロボロな部品は、磨き仕上げによって形状変化し、エッジが丸くなってしまうこともあるが、今回のベース部品は程度が大変良かったので、納得の仕上がりで納品された。この撮影画像は、再クロームメッキ処理前の、磨き仕上げ完了時のものだ。

輝くべき部品が輝いていると仕上がりが決まる!!



下処理磨きから仕上げまで、すべてを業者に依頼した再クロームメッキ。オフロード車なので部品点数が少ないが、例えばこれがカワサキW1Sシリーズともなると、大きな前後フェンダーやガソリンタンクも再クロームメッキになるため、コストも数倍になってしまう。昔は個人的な趣味の世界で楽しまれていたのがフルレストアだが、作業コストの高騰によって、現在は「お金持ちの道楽」と認識されることが多い。それが現実だから、致し方ないだろう。筒状の再メッキ部品は、フロントフォークのボトムケースに締め付けるフロントフォークシールホルダーだ。

1969年型のヤマハDT1。新車当時からモトクロス仕様で楽しまれていたらしく、その痕跡を車体各部から見て取ることができた。ガレージへやってきたときはこの姿だった。果たして、美しく仕上がるのでしょうか……
POINT
  • ポイント1・業者に一式お任せした再クロームメッキ。フルレストア作業の中で、もっともコスト高なのが、この再クロームメッキ処理だろう
  • ポイント2・装飾部品へのクロームメッキと防錆メインになるニユクロメッキやクロメート処理を、しっかり分けて理解しよう


その昔、昭和の時代のフルレストアと言えば、マニアや新車購入資金が無いバイク好きにとって「趣味の世界」として認識されていた。そんな当時と現代事情を比較すると様変わりしていて、令和の今では「金持ちの道楽」と呼ばれているのがフルレストアの世界である。昔と今を比べると、ひとつひとつの技術に関して高度化していて、例えば、自動車ボディのレストアでは、板金処理から仕上げまで、レストア専門工場が手掛けるようになり、新たに板金金型を起こしてまで、往年の姿を忠実に再現している例もある。
バイクの世界も同じで、様々な新技術が登場しているものの、人気モデルは昔も今も変わらないのが現実である。例えば、1960年に発売されたモデルを25年後の1985年代にフルレストアするのと、令和の今、2024年にフルレストアするのでは、その作業タイミングだけですでに40年近くのギャップがある。それ故に、入手可能な純正部品の数も減っていて、さらには様々な委託技術に対するコストも昔とは比較にならない。フルレストア車といっても、年式相応の純正部品を数多く組み込んである車両と、複製部品をメインに組み立てられた車両とでは、例えば、ショップ側、ユーザー側のそれぞれで、価値観に違いがあるのも事実。その価値観が必ずしも一致しないことがあるから、同じベースモデルのフルレストア車でも、販売価格に違いが出てしまうのだろう。
そんなレストア作業を自分自身の手で楽しむ際に、高い壁のひとつとして立ちはだかるのが「金属部品の再生クロームメッキや通称ユニクロメッキ」だろう。ぼく自身、バイク仲間経由で業者へお願いしたり、Web検索で請け負ってくださる業者を探して依頼しているが(何年もお付き合いしていた業者さんが廃業してしまう例が、ここ数年は特に多くあります)、同じクロームメッキでも、業者によって依頼段取りには違いがあるので、その都度、自分なりに最善の方法を模索してお願いしている。
白色ユニクロメッキ仕上げと黄色クロメート仕上げは、ワイヤーバフで部品をしっかり磨いてから、バイク仲間経由で作業依頼している(キャブレターのケーブルアジャストボルトやチョークレバーなどは純正と同じく黄色クロメート仕上げで依頼した)。欠品部品が多い車両だったが、装飾系のクロームメッキは保管状況に助けられ、ベースコンディションが良くラッキーだった。サビ腐れ部品が皆無だったことは、再生メッキを施すうえで極めて重要なことなのだ。
金属部品は「再メッキ」で美しさが様変わり!!フルレストアはロマン!! ギャラリーへ (7枚)

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