ライダー+バイク=人車一体化は大切なことだ。そんな人車一体化におれる基本三要素と呼ばれる部品には、「脚を載せる/ステップ」、「座る/シート」、そして「ハンドルを握って操る/グリップ」がある。中でも、文字通り「手に取って、感覚や感触を知ることができるハンドルグリップ」は、常に良いコンディションでありたい部品の筆頭だろう。ここでは、すり減っていたり、転倒などで切れてしまったハンドルグリップを、新品部品に交換する様子をご覧いただこう。

「純正部品vsカスタム部品」チョイスはライダーが決めよう

ハンドルグリップが擦り減っていたり切れていると、見た目にも決して良い印象ではない。走行距離が進んだ中古車はもちろん、さほど乗り込んでいない車両でも、滑り止め付の業務用手袋などでバイクに乗る機会が多いと、ラバービニール系のグリップは、思いの外、擦り減ってしまうものだ。ここでは、中古車購入したバイクのグリップエンドが切れていたので交換することにした。ここで新たに組み込むグリップには、当該モデル用の純正部品をチョイスしたが、デザインやタイプなどなど、数多くラインナップされているカスタムグリップをチョイスするのも楽しい。グリップ感覚が様変わりするカスタムグリップは、人気商品でもある。目に見えてコンディションがわかるハンドルグリップを交換して、リフレッシュしてみよう。

旧グリップが不要ならカット除去してしまおう 

ライダーの中にはグリップフェチ!?と呼ばれるファンもいて、様々なメーカーのカスタムグリップを定期的に交換して、その感覚を楽しんでいる者もいる。実は、そのようなファンが意外にも多いらしい。仮に、取り外したグリップを再利用したい際には、ここで実践する方法ではなく、別のやり方=グリップ脱着方法がある。また、近年の大型モデルに多い「グリップヒーター機能付き」になると、より一層、部品の脱着には慎重な作業が必要になることも覚えておこう。ここでは、取り外したグリップを再利用しない前提で交換作業を進めてみた。左右の不要グリップは切れ味が良いカッターの刃で切り開いて取り外すのが手っ取り早い。この際には、一気に切り込むのではなく、グリップ表面をなぞるようにカッターの刃を徐々に立て、何度かに分けてグリップを切り開こう。一気に刃を立ててしまったことで、スロットルパイプにダメージを与えてしまうことがあるからだ。グリップを外したら残留接着剤をカッター刃の背中で擦って除去し、最後はウエスでグリップを包みながらパーツクリーナーを吹き付け、接着剤の汚れを完全除去しよう。

「グリップ専用接着剤」を利用するのがポイント 

世の中には様々な接着剤、高性能商品もあるが、ハンドルグリップとハンドルバーやスロットルパイプの固定接着には、グリップ専用の接着剤を利用しよう。ここではデイトナから発売されているグリップボンドを利用した。似た感じの通称「ゴムのり」は数多く市販されているが、この商品は、グリップの固定に特化した商品性となっているので、完全接着後の安定性が優れている。一般のゴムのりを利用すると、冬場は特に不具合を感じなかったが、酷暑な夏ともなると、熱で接着剤が緩み、気が付くとグリップがねじれているケースも多々ある。そんなことにならないためにも、グリップ固定専用接着剤の利用がお勧めだ。スロットルパイプもハンドルバーも、グリップ取り付け時には接着剤を適量塗布し、ヘラなどを使ってグリップが被る全面を薄く伸ばそう。塗り過ぎるとグリップを差し込んだ時にはみ出してしまい汚い。また、接着剤を塗布したら、表面が乾燥してしまう前に手際良く作業進行するのもポイントだ。

要注意なのは「スロットルグリップ」側の押し込み量

接着剤を満遍なく塗り広げたら、表面が乾かないうちにグリップエンドにグリップフランジ側を差し込み、パイプを握るように滑らせて押し込むのではなく、グリップエンドの端面(貫通グリップでも同様)を、手のひらで「パンパンッ」と叩くのが良い。この作業を繰り返し行うことで、グリップエンドがスロットルパイプエンドに当たる。しかし、接着剤とグリップの粘りでフランジ側端面とスイッチボックス端面には大きな隙間ができてしまうので、このときにパイプを握ってグリップを横に滑らせて、フランジをスイッチボックスに寄せよう。作業ポイントは、接着剤の初期硬化が始まる前に手早く作業することと、フランジ側端面をスイッチボックスに押し付けてしまうと、スロットル操作の抵抗となってしまうため、フランジ端面とスイッチボックス端面の間には「1ミリ程度の隙間」 を開けておこう。作業完了後は、完全硬化までには時間が掛かるので、バイクに乗るのは控えること。
POINT
  • ポイント1・旧グリップが不要なら、カッターで切り取り除去するのが手っ取り早い。ただし一気に切り込まずに、徐々にグリップ表面からカットしよう
  • ポイント2・ グリップ専用接着剤を利用し、表面が乾き始める前に作業完了させよう。のんびり作業は失敗のもと
  • ポイント3・スロットルグリップは押し込み過ぎに要注意!!グリップのフランジ側端面とスイッチボックス端面は接触しないように隙間を作ろう 
現代のバイクのほぼすべてが「巻き取り式スロットル」を採用している。原付モデルと大型モデルを比較すると、スロットルグリップの長さが異なるケースが多いので、カスタムグリップを購入する際には、現状バイクのグリップ長を採寸し、購入予定のグリップの全長と必ず比較しなくてはいけない。モデルによっては、原付クラスでも大型モデルと同じ長さのグリップを採用する例もあるので(実用車にはそのようなモデルもあった)、大切なのは寸法確認である。一般的にハンドルグリップの内径=ハンドルバーの太さはΦ7/8インチ=Φ22.2mmで、パイプより若干太いスロットルパイプ外径はΦ1インチ=Φ25.4mmを採用している。しかし、ハーレー・ダビッドソンや一部の国産車でも「インチパイプ」を採用している例もあるので、何しろ部品購入時、特にカスタムグリップへ交換する際には、長さと太さは必ず確認するように心掛けよう。 メーカー純正グリップとは言っても、当該年式の適合純正部品ではない限り、必ずしも寸法一致しないので、部品購入時はそのあたりも心得ておこう。例えば、ノーマル車両のように見えても、実はカスタムされていて「純正部品を購入したのに寸法合致しなかった……」といった例は過去に何度も聴いたことがある。単純明快なようなハンドルグリップでも、実は、微妙に寸法が違うと使えないケースもあるので注意が必要だ。 ここでは、旧グリップは廃棄予定だったので、カットしてグリップ交換を行った。取り外したグリップを他車で利用したいとか、保管しておきたいという場合は、旧グリップの取り外し方法が異なる。ここでは、そんなケースに於けるグリップ脱着方法にも触れておこう。 旧グリップはしっかり接着されていて、なかなか抜けないことが多いが、そんなときにあると便利なのが、コンプレッサーの圧縮空気とエアーガン、細いノズル付のパーツクリーナースプレー、そして、意外なほどに良い仕事をしてくれるのが、不要になった自動車用の「ワイパーブレードの芯金具」だ。完全硬化した接着剤はなかなか剥がれないが、細長のマイナスドライバーをグリップとパイプの間に差し込み、そこにできた隙間に向けてパーツクリーナーの先細ノズルを差し込み吹き付ける(オイラーにガソリンを入れてノズルから流し込んでも良い)、その後、薄くて強いワイパーブレードの芯金具を差し入れ、接着剤をこそぐようにグリグリとパイプ外周に沿って金具を動かすのだ。そして、エアーガンのノズルを隙間に押し付けてエアーブローすると、パコッとグリップが膨らみながら、パイプから剝がれるのだ。なかなか剥がれない時でも、繰り返しその方法で作業進行すれば、グリップにダメージを与えることなく取り外すことができる。機会がある時には、是非、お試し頂ければと思います。 難易度的には圧倒的にハンドルグリップの方が高いが、やはり擦り減っていたり、転倒などでエンドが削れているステップゴムも同様に交換することで、路面からのショックを吸収し、乗り心地が様変わりすることもある。ステップゴムはグイッと握って回すことで引き抜くことができるが、やはり劣化していると抜けないので、そんなときにはパイプレンチを利用すれば容易に取り外すことができる。新品ステップを組み込む際にも、グリップボンドが役立つので利用してみよう。 新品グリップ交換でリフレッシュ!! 滑り対策のステップ交換も効果的 ギャラリーへ (10枚)

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