大型バイクならともかく、小排気量モデル、特に、原付クラスのタイヤ交換なら、自分自身の手で何とかできるのではないか!?と思えますよね。ホイールの取り外しからタイヤ入れ換えまでは順調に進んだものの「チューブの組み込み」で、実は失敗してしまうことが多いのがこの作業。簡単なように感じる小排気量モデルの「細いタイヤチューブ」ほど、実は、組み込みにはコツと言うか、組み込む事前にやるべき段取りがあるのをご存じだろうか!?ここでは、タイヤチューブの組み込み段取り、そして、知っていて得する作業テクニックをリポートしよう。

ひび割れタイヤに気が付いたら交換しよう



左右のリムを一対で組み立てる、通称「合わせホイール」でチューブを噛み込んでしまう失敗は少ないが、スーパーカブクラスのスポークホイールは、組み立て復元時にチューブへキズをほ付けてしまうことも多く、それが原因でパンクやスローパンクを巻き起こしてしまうことがある。タイヤ交換時には当然に同時交換、スペアとしても適合サイズの商品を手元に持っていたいのがタイヤチューブだろう。ここでは18インチサイズの原付二種用タイヤを交換するが、しばらく倉庫で眠っていた不動車なので、前後タイヤはサイドウォールのみならず、トレッド山の隙間にもひび割れが入っていた。問答無用で要交換!!

手元にあると便利、持っていて楽できる各種便利工具







チューブタイヤの交換時に、手元に所有していたい工具は複数あります。タイヤレバーとリムプロテクター、バルブコアツールなどなどですが、タイヤレバーにも種類がありますので、様々なタイプ(大型モデル用にはクランク型など)を所有していると臨機応変な対応が可能になります。小排気量の原付用で、意外と使えるのが「自転車用」です。起こしたビードをフック付きタイヤレバーで保持できます(スポークにレバー反対側を引っ掛けるタイプ)。リムプロテクターもメーカーによって硬さが異なり、使い勝手にも違いがあります。すべて利用者の判断と使い勝手でチョイスすればよいでしょう。知り合いから工具を借りたら、驚くほど使い易かった!!なんてこともあります。いつもタイヤ交換の作業台には木製イゲタを使ってますが、これはバイク仲間の大工さんに作っていただいたものです。プラスチックのブロー成型品で作れないことも無いと思いますので、コンストラクターさんには是非、製作検討いただければと思います。商品化しましょう!!タイヤの滑野を良くするタイヤクリームやビードワックスと呼ばれる商品もお勧めです。できる限り避けたいのが中性洗剤を水道水で割ったスプレーです。何故なら、水分でリム内がサビてしまうことがあるからです。これら以外にもあると便利な工具はありますが、これらがあるだけでも作業性は圧倒的に良くなります。

ちょっとした「コツ」を覚えるだけで楽々作業 





ケミカルは積極的に利用してゴムの滑りを良くしよう!!  



ビードを起こすときには、手前側のサイドウォールを両膝で押し込み、ビード落としをキープしながら反対側にタイヤレバーを差し込み、ビードを起こすと作業性が圧倒的に楽になります。大型モデル用ホイールの場合は、ビードキーパーと呼ばれる工具が2~3個あると膝を使わなくて済みます。写真にはありませんが、ホイールからタイヤを外す前に、ビードクリームをスポンジに取り、タイヤビード両面に塗布することで、ホイールから取り外す旧タイヤが滑りやすくなり作業性が高まります。金属とゴムの滑り抵抗は想像以上に大きいので、タイヤの脱着時にビードクリームを利用することで、驚くほど滑りが良くなり作業性が高まります。タイヤを外したらリムバンドを外して必ず点検しよう。特に、バルブ金具を通す穴部分で切れてしまうことが多いので、タイヤ交換+チューブ交換と同時に、リムバンドも新品に交換するのがベスト。バンド切れが原因で、スポークニップルとチューブが擦れてパンクしてしまう現実を目の当たりにしたことも……

タイヤレバーの利用時にはヒザの使い方で作業性が変わる  







ホイールにタイヤ片側を組み込んだらチューブを挿入するが、このときにあると便利なのが、エアーバルブの差し込みガイドとなるエアーバルブプーラーだ。このアイデア工具は一度でも使ってそのありがたさを知ると、絶対に欲しい工具となる。リム穴からガイドを差し込み、エアーバルブのコア部分にガイドをねじ込んでからワイヤーを引っ張ることで、バルブ金具がスーッとリム穴を通る仕組みだ。バルブ金具を通したら、ナットを仮締めして抜け止めとするが、その際には、薄ナットを数回転回すだけで金具はフリーにしておこう。バルブ部分のチューブはタイやビードに挟まれやすいので、バルブを可動できるフリー状態にしておくことで、挟まれたチューブを復元しやすくなる。タイヤビードを組み込む前に、チューブにエアーを少しだけ入れて、タイヤ内に押し込んだチューブがヨジレていないか指先でかくにんしよう。タイヤを組み込むときには、分解時とは逆の手順で、手前のビードを両膝で押し込みながらタイヤレバーで反対側のビードを組み込もう。エアーを入れる前には、再度、ビードワックスをタイヤビードやリムエッジに塗布し、滑りを良くしてからエアー注入し、両面のビード全周がしっかり上がっていることを確認してから、規定のエアー圧に調整しよう。

POINT

  • ポイント1・山があるから、溝が残っているから大丈夫ではなく、一定期間経過したタイヤは積極的に交換しよう!! 
  • ポイント2・ スポークホイールの場合は、タイヤだけではなく「チューブ」と「リムバンド」の交換をお忘れなく!!購入忘れにも要注意
  • ポイント3・新品チューブは一度自立する程度に空気を入れて、折りたたみのクセを取り、シリコンスプレーやビードクリームで磨いて滑りを良くしよう 
  • ポイント4・エアー圧チェック時にはエアーバルブ金具の倒れに要注意。斜めっていたらエアーを抜いてチューブの組み込み位置をフリーにして、再度エアー注入しよう

「パンクで困ってしまうこと」は、誰にでも起こり得るトラブルだと思う。その修理や復旧時には(特に、新品タイヤやチューブを組み込み復元するときには)、様々なノウハウがあるので知っておくと良いだろう。ここでは、新品タイヤとチューブを、スポークホイールに組み込む際の手順を写真解説しているが、ちょっとした気遣いで、作業性は大きく大きく変わるものだ。過去に何度もこのような作業を実践し、実は、何度も失敗したことがあるが(今でも失敗することがあります)、手抜き作業というわけではなく、ちょっとした気配りひとつで、作業性には大きな違いが出てしまうのが、新品タイヤとタイヤチューブの組み込み作業だと思う。

滑り止めに使われることが多いゴム部品なので、乾燥状態のゴム部品と金属部品は、摺動性が極めて良くない。タイヤ自体が、路面との滑りを防止する大切な部品なので、路面と直接触れていない部分でも、滑りは決して良いものではない。タイヤビードとリムの滑りは決して良くないので、その潤滑性を高めるのがビードワックスやタイヤクリーム。潤滑摺動性を高めることで、タイヤの滑りが良くなりタイヤレバーをクルッと返しやすくなる。タイヤの組み込み作業を終えた後は、エアー圧でビードを持ち上げてリム壁へ食い付かせる作業を行うが、その際にもタイヤの滑りが良くないと、スムーズなビード上げができなくなってしまうのだ。

タイヤチューブとタイヤレバーの関係性も同じと言えるだろう。特に、新品チューブをタイヤレバーで挟んでしまい、ダメージ=パンクさせてしまうことがある。パッケージからチューブを出したら、軽くエアーを入れて、折りたたみのクセを伸ばし、チューブ表面をシリコンスプレーで磨くことで驚くほど滑りが良くなり、チューブの組み込み作業性が良くなるのだ。

ちょっとした部分に気を使って作業進行することで、確実かつ間違いなく手際良く作業進行できるのが、タイヤ&タイヤチューブ交換でもある。次の機会には是非ともお試しください。作業性の良さにはきっと誰もが驚くはずだ。

「タイヤチューブ交換のコツ」を覚えておけばタイヤ交換は楽々可能? ギャラリーへ (15枚)

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