
初期型ホンダ・グロム125(2013~2017年)に、キタコの「164ccNEOボアアップKIT」を取り付ける手順を解説する連載の第6回目。前回シリンダーとシリンダーヘッドを組み付けたので、今回はカムスプロケットを組み付け、バルブクリアランスを調整する。カムスプロケットはクランクケースの合マークとフライホイールにあるTマークの位置が合っているかをタイミングホールで確認してから、カムスプロケットの「⚪︎」合わせマークと、シリンダーヘッド側にある合マークを合わせて組み付ける。バルブクリアランスはタペットアジャストレンチとシックネスゲージを使用し、確実に指定のバルブクリアランスに調整する必要がある。
組み込んでいくのはキタコ製「164cc NEO ボアアップキット」だ。今回はカムチェーンスプロケットを取り付け、バルブクリアランスを調整してエンジン本体を完成させる。
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目次
カムチェーンスプロケットの組み付け
カムシャフトを駆動するためのカムチェーンスプロケットを組み付けていく。カムチェーンスプロケットを取り付ける際はタイミングホールの合マークとTマークが合った状態にして、ピストンを上死点位置にした状態で組み付ける必要がある。
フランジボルトの組み付け
カムチェーンスプロケットを外す際に、クランクケースの左下にあるフランジボルトを外してカムチェーンの張りを弱めている。このボルトは外す時にオイルが出てくるため、組み付ける際には4ccのエンジンオイルを入れてから組み付ける必要がある。
(23)フランジボルトを締めた状態。周りにオイルが付着していることがあるので、フランジボルトを締め終わったらウエスで拭き取っておく。
カムチェーンガイドローラーピンボルトの本締め
シリンダーを組み付ける際に、仮締めの状態にしておいたカムチェーンガイドローラーピンボルトを本締めする。必ずトルクレンチを使用して、指定の10N・mで締め付けること。締め忘れて走行してしまうと、走行中に緩んでエンジンを破損する恐れがあるので注意する。
(24)次に、仮締めの状態にしてある、シリンダーの左側にあるカムチェーンガイドローラーピンボルトを本締めする。
油温センサーの本締め
油温センサーもシリンダーの組み付け時に仮締めにしておいた部品だ。この油温センサーには直接ネジ山が切られているので、トルクレンチを使用する際はディープソケットが必要になる。指定の締め付けトルクは14.5N・mなので、締めすぎないように注意する。
(27)シリンダーに取り付けられる油温センサーは、仮締めの状態になっているので本締めする。
バルブクリアランスの調整
インテークとエキゾーストのバルブクリアランスは異なっているので、数値を間違えないように注意すること。バルブクリアランスの指定値は、インテークが0.10±0.02mm、エキゾースト側が0.17mm±0.02mmなので、必ずシックネスゲージを使って調整すること。
(30)バルブクリアランスの調整は、いわゆるタペットの調整だ。上側はインテーク側になる。
(39)シックネスゲージをアジャストスクリューとバルブステムの間に差し込んだ状態で、タペットアジャストレンチをセットする。
(52)エキゾースト側も同様に指定トルクで締め付けた後、再度シックネスゲージを抜き差ししてバルブクリアランスを確認する。エキゾースト側は0.17mm±0.02mmだ。
タペットキャップとLサイドカバーの組み付け
バルブクリアランスの調整を終えたら、タペットキャップとLサイドカバーを組み付ける。キャップにはOリングがセットされているので、Oリングがきちんと取り付けられていることを確認してからキャップをセットすること。固定ボルトの締め付けトルクは、全て12N・mに指定されている。
(53)インテーク側のタペットキャップを組み付ける。Oリングが正しくセットされていることを確認したら、穴位置を合わせてタペットホールにセットする。
(64)2本のLサイドカバーボルトはどちらかを先に締めきらず、均等に締め付けていくようにすること。締め付けトルクは12N・mだ。
クランクシャフトホールとタイミングホールのキャップ組み付け
最後にクランクシャフトホールとタイミングホールのキャップを組み付ける。このキャップはどちらもアルミでできており、締め付けすぎるとナメてしまうので注意すること。このふたつのキャップを組みつけたら、エンジン本体の組み込みは終了となる。次回、補機類を組み付けて完成させる。
(71)これでエンジン本体の組み付け作業は終了。最後にもう一度、締め忘れたボルトが無いかを確認しておく。
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