電装品の修理や電気系アクセサリーの取付作業など、いわゆる「電気いじり」で不可欠なのが配線の被覆剥きです。ビニール製の被覆をきれいにカットしながら内部の芯線は傷をつけたくない、そんな時に重宝するのが「ワイヤーストリッパー」。ここではワイヤーストリッパーの役割や種類、便利な使い方に注目します。

皮剥き機能がついたニッパーもある

電気配線をつなぐにはハンダづけやギボシ端子、カプラー接続などいくつかの方法がありますが、どんな場合でも配線の被覆を剥いて新鮮を露出させる作業が必要です。
その際に最も重要なのは「芯線に傷をつけない」ことです。自動車やバイクの電気系統で使用されている配線は、細い銅線を何本もまとめた「より線」が一般的です。これは家庭用の電気配線で使用する、一本の太い銅線で構成された「単線」と違って、柔軟性が高いためフレームやエンジンルームなど狭い場所に配置する際に重宝します。
しかし細い芯線をより合わせているため、被覆を剥く際に被覆と一緒に切断してしまうリスクがあります。何十本もあるうちの1本や2本なら大して問題にならないと軽く考えがちですが、切断までには至らないものの傷ついた芯線が残ることで、芯線の強度低下や抵抗増加、発熱など様々なトラブルにつながることもあります。
配線から被覆だけを剥き取る工具は「皮剥き器」「ワイヤーストリッパー」などと呼ばれ、配線を切断するニッパーの中にも皮剥き機能が付属した製品があります。刃の根元部分が小さく丸くくり抜かれていれば、それが皮剥き器です。
ただ、一般的なニッパーの皮剥き器は一種類の配線サイズにしか対応しておらず(複数サイズに対応する製品もあります)、穴径より太い配線の被覆を剥こうとすると芯線を傷つけてしまう場合もあります。
そのような場合に重宝するのがワイヤーストリッパーです。

刃物で切断? 引っ張って切断? 正面から剥くか、横から剥くか。ワイヤーストリッパーを構造から分類してみる

ワイヤーストリッパーは配線から被覆を剥くだけの単機能工具ですが、構造や作動原理にはいくつかの種類があります。
まず最初に紹介するのは、鋭い刃で被覆をカットする動作と被覆を剥く動作を一連の流れの中でできるワイヤーストリッパーです。

ギボシ端子のカシメに使用する電工ペンチのような形状で、カッター部分に加えた配線を手で引き抜く製品に対して、このストリッパーはグリップを握るだけで済むので作業が容易にできます。
また刃の部分に適用電線のサイズが明記されているので「芯線まで切ってしまった」「被覆の表面を削るだけで剥けなかった」といったミスやトラブルも防止できます。
なお、ここで紹介しているベッセル製のワイヤーストリッパーは、芯線が単線かより線かで刃の種類が異なります。画像の刃は本来は単線用で、より線にも使えないわけではありませんが、より線用の刃を使用すれば配線の太さにピッタリ適合したガイド穴径を選択できます。

次に紹介するのは、カッターのような鋭い刃を使わず被覆を剥き取るタイプのワイヤーストリッパーです。

このデザインのストリッパーは100均ショップなどでも購入でき、グリップを握ると掴み刃が被覆に圧力を加えながら引っ張って剥き取ります。この掴み刃には切断機能はなく、あくまで被覆を掴むだけというのが特長です。
先に紹介した刃物を使用するストリッパーは配線の太さに応じて適切なカッターを選択しなくてはなりませんが、こちらのタイプは工具によって設定された範囲内であれば配線の太さに関係なく使用できるため、より簡単に作業できます。
被覆を物理的に切断しないため芯線に傷をつける恐れがないのが利点である一方、配線を固定する押さえ刃と被覆を剥き取る掴み刃の圧力バランスが悪いと、配線が滑ったり被覆の切れ具合が悪くなることもあるため、配線を掴む圧力を調整できる製品もあります。

配線の先端だけなく中間を剥けるストリッパーもある

最後に紹介するのは、配線の先端にある被覆だけでなく、中間の被覆も剥くことができるストリッパーです。

被覆を剥く動作は2番目の製品と同様に掴んで引き剥がすものですが、押さえ刃と掴み刃がカニの爪のようなアクションで作動します。またこの構造により、配線の先端だけでなく中間部分を爪の間に配置できるため、既存配線の途中に新規配線を割り込ませる際に、既存配線を切断することなく被覆を剥くことができます。
ただ中間部分の被覆剥きは作業では、被覆を切断して除去しているわけではありません。被覆の一方を押さえ刃で固定しておき、掴み刃でギューッと引っ張って芯線を露出させた際の被覆は、長袖Tシャツの袖をまくる時のようにシワが寄った状態になっています。芯線と被覆の滑りが良い場合はスムーズに剥けますが、配線の種類によってはグリップを強く握って掴み刃のストロークを充分に取っても剥き取りが期待したほど多くならないこともあります。

なお今回紹介した三種類の製品は、いずれもストリップゲージが備わっています。ストリップゲージがあることで、複数の配線を連続的に作業を行う際の被覆剥き量を揃えることができ、DIYで延長ハーネスを製作する際のクオリティ向上に役立ちます。
電気いじりで使用するワイヤーストリッパーの出番は、バイクいじりで使用するドライバーやメガネレンチに比べて遥かに少ないのは確かです。
被覆剥き作業を皮剥き機能のないニッパーやカッターナイフでしかやったことがなければ、ワイヤーストリッパーの機能や利点もピンとこないかもしれません。しかし冒頭でふれたとおり、芯線を切断したり傷つける被覆剥きは百害あって一利なしの避けるべき行為であることは間違いありません。
ハンダづけやカシメなどの結線作業の確実に行うためにも、ワイヤーストリッパーの活用をお勧めします。

POINT

  • ポイント1・配線の被覆を剥く際は芯線の切断や傷つけないよう注意が必要
  • ポイント2・ワイヤーストリッパーには刃物で被覆を切断するタイプと被覆を引っ張って切断するタイプがある
  • ポイント3・配線の割り込ませに便利な中間部分の被覆剥きが可能なワイヤーストリッパーもある
電気いじりの必需品!! ワイヤーストリッパーの種類と使いこなし術 ギャラリーへ (18枚)

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