
チューブタイヤがパンクしたときには、パンク修理もしくはチューブ交換が必要だ。また、減ってしまったり、古くなったタイヤの交換時には、そのついでにチューブやリムバンドを交換する機会がある。そんな作業時に「あれっ!?またパンク……」なんて経験をしたことがあるサンデーメカニックは少なくないはずだ。注意深く作業進行することで、つまらないトラブルを巻き起こさないで済む。パンクを再発させないテクニックに注目してみよう。
目次
山が残っているから大丈夫!?それは間違い


中古車購入からの再登録時には、様々な部分のメンテナンスが必要になる。「山が残っているから」とか「溝があるから……」との理由だけで、古タイヤを使い続けるのは絶対にやめた方が良い。まるまる山は残っていても、山がカチカチに硬かったり、サイドウォールにヒビが入っているようなタイヤも、早めに交換しなくてはいけない。タイヤが原因で転倒することもあるからだ。また、タイヤの中に隠れていて、普段は見えないタイヤチューブやリムバンドの存在も忘れてはいけない。タイヤ交換毎にインナーパーツを交換するのが理想的だが、タイヤ交換2回に1回は、チューブ&リムバンドも交換するように心掛けよう。
使い易い工具を揃えて効率良く作業進行しよう



タイヤの脱着やパンク修理の際にも、作業性が良くなる専用工具はたくさんある。タイヤレバーひとつにしても、様々なメーカーから様々な商品が発売されていて「これが絶対に使い易い」といった商品は、人それぞれ。タイヤサイズやリム径によっても、タイヤレバーの使い易さが異なるからだ。アルミリムはもちろん、鉄リムでも、リムプロテクターがあると思い切って作業することができる。エアーバルブを取り外すバルブツールも必ず必要な専用工具のひとつである。タイヤ脱着作業時には、井桁作業台があると圧倒的に作業性が良くなる。木枠などが手元に無い時には、ほぼ同サイズの古タイヤを台にして作業するのが良いだろう。
しっかりビードを落としてからタイヤを取り外そう



エアーバルブを抜き取る時には、一気にバルブを緩めるとバルブ本体を吹き飛ばしてしまうことがあるので、抜き取り直前で少々待ち、充填されたエアー圧が低くなってからバルブを取り外そう。タイヤレバーを掛けてビードを返す時には、そのレバーを掛けた箇所と真反対側(180度反対側)を両ヒザで押し込むことで、レバー側のビードに余裕が生まれてビードを返しやすくなる。このヒザを使った段取り作業は極めて重要だ。タイヤをリムから外す際にも、スプレーボトルに石鹸水を入れてタイヤビードに吹き付けることで、驚くほど作業性は良くなる。
意外と忘れがちなリムバンド交換とケミカル塗布



旧タイヤを取り外したら、リムバンドのコンディションも確認しよう。特に、バルブ金具を通す穴部分でバンドが切れかけていることが多く、走行用中にリムバンドが切れてしまうと、バンドがタイヤ内でズレてしまい、チューブとスポークのニップルが直接的に擦れてパンクの原因に至ることがある。タイヤ脱着時には、リムバンドのコンディションも必ず確認しよう。チューブ交換時には、バンドもセットで交換するように心掛けよう。ニュータイヤをリムにセットする際には、タイヤビードに専用クリームもしくは専用ケミカルを吹き付けて、作業性を高めよう。組み立て時に石鹸水を使うと「サビの発生元」になってしまうので、利用時には注意深く作業進行しよう。
タイヤチューブ組み込み前に実施する「お約束」ごと

実は、大切な作業でありながら、意外と忘れてしまうのが、組み込み事前の「チューブへのエアー入れ」である。大量に注入する必要は無く、タイヤチューブがドーナッツ状に形状維持する程度にエアー注入すれば良い。その後、キレイなウエスでチューブ表面を拭き取ったのちに、ウエスにシリコンスプレーを吹き付け、そのウエスでチューブを磨くように拭こう。こうすることで、後々の組み立て時に、タイヤレバーとチューブが振れても滑って逃げやすくなる。チューブを挟まなければ「組み立てパンク」は回避できる。
バルブ金具の引き込みツールがあると超便利!!



チューブのエアーバルブ金具をリム穴へ引き込む専用ツールがあると、組み立て作業性は圧倒的に良くなる。バルブリーダーを穴に通し、タイヤビードとリムの間からリーダーを引き出してから、チューブのバルブ金具と接続する。バルブ金具をタイヤ内部に向けて押し込みつつツールのハンドルを引っ張ることで、金具がリム穴を通りやすくなる。タイヤサイズに関係なく、原付クラスからリッタークラスでも、スポークホイール車には使い勝手が良好な特殊工具だ。
- ポイント1・溝があるから、山が残っているから大丈夫、ではなく定期的に交換するべき部品がタイヤとチューブとリムバンド
- ポイント2・作業台が無い時には古タイヤの上でも作業可能。材木を材料に木枠を作ることで作業台になる
- ポイント3・チューブを組み込む際には、一度軽くエアーを入れてシリコン系ケミカルでチューブを磨き、滑りを良くしておこう。これは大切な段取りだ!!
チューブタイヤのパンク修理、タイヤ交換、チューブ交換には、様々なノウハウや段取りがある。注意深く作業進行したつもりでも、組み立て完成後にエアー注入すると、エアーバルブの穴から小さな音で「シューッ……」と聴こえた時にはガッカリしますよね。決して、いい加減な作業をしたつもりは無くても、現実的に「作業中に新品チューブをパンクさせてしまった!!」などなど、ベテランサンメカならそんな経験、一度や二度はありますよね!?ここでは、タイヤチューブを組み込む際に「やっちまった!!」を無くすためのテクニックや段取りの一部を解説している。とはいえ、それでも失敗してしまうことは多々あるので、作業は慎重かつ丁寧に実践しよう。それが一番大切なことです!!
【ここでもう一度〝要チェック!!″】
①タイヤ脱着時には、タイヤレバーを掛ける反対側(180度反対側)のビードを両ひざで落とし込んだままを、維持することでビードを返しやすくなる。
②ドーナツ形状を維持できる程度まで、新品チューブにエアー注入し、折りたたみのクセを無くそう。また、汚れの無いウエスにシリコンスプレーを吹き付け、そのウエスでチューブ全体を乾拭きしてツヤツヤ表面にしよう。
③新品タイヤの「ビードサイド」「ビードエッジ」「ビードの内側」には、組み立て時に、それぞれの部品がスムーズに動くように「ビードクリームを塗布」しよう。
④タイヤをホイールに半分組み込んだら、タイヤチューブのエアーバルブガイドツールを利用して、チューブをタイヤの内側へ招き入れよう。
⑤タイヤの内側へチューブをセットし終えたら、エアーガンを使ってバルブからチューブ内へエアーを送り込み、タイヤの内側で軽くチューブを膨らませてみよう。この作業を行うことで、チューブがタイヤ内で「ねじれていないか?」明確に確認できる。
⑥タイヤを組み込む際には、再度、リムエッジとタイヤビードにビードクリームを塗布して作業進行しよう。丁寧かつ慎重な作業で失敗しないように!!
パンク修理後またパンク!? タイヤチューブの交換時は噛み込みに注意!! ギャラリーへ (15枚)
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