
文:後藤 秀之
初期型ホンダ・グロム125(2013~2017年)に、キタコの「164ccNEOボアアップKIT」を取り付ける手順を解説する連載の第5回目。前回ピストンにピストンリングを組み込み、ピストンをコネクティングロッドに組みつけた。今回はシリンダーとシリンダーヘッドを組み付けていくのだが、シリンダーにピストンを収める際にはいくつかの注意点がある。ひとつずつ気をつけて作業していけば問題ないとは思うが、やはりコツがあるのではじめて作業するというのであればあせらずに落ち着いて作業を進めてほしい。また、シリンダーヘッドの固定はトルク管理されているので、必ずトルクレンチを使って指定のトルクで締め付けることが重要だ。
組み込んでいくのはキタコ製「164cc NEO ボアアップキット」だ。今回はシリンダーとシリンダーヘッドの取り付けを行なう。※ノーマル車両の場合はコンロッドの交換が必要になる。
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目次
ノックピンの組み付け
シリンダーとクランクケースの当たり面には、2ヵ所ノックピンが入る。このノックピンは部品同士の位置決めをするために入れられる部品なので、必ず入れる必要がある。入れ忘れてしまうと、シリンダーの位置がずれることになる。
シリンダーベースガスケットのセット
シリンダーとクランクケースの当たり面に入るシリンダーベースガスケットは、紙系の素材でできている。このベースガスケットを入れないと、シリンダーとクランクケースの間からオイル漏れを起こすことになるので正しくセットしたい。
シリンダーの組み付け
いよいシリンダーを組み付けていく。シリンダーを組み付ける際に最も気を使うのは、ピストンをシリンダー内に収める工程だろう。ピストンリングはそのままだとシリンダーの内径よりも大きいため、ピストンリングを縮めながらピストンをシリンダーに入れていくことになる。
カムチェーンガイドローラーの組み付け
カムチェーンガイドローラーは、シリンダーの内部に取り付けられる。このカムチェーンガイドローラーは樹脂製で、シリンダーの左サイドからカムチェーンガイドローラーピンボルトと呼ばれる専用のボルトで固定される。このボルトには銅ワッシャーが入るので、忘れずに入れること。
油温センサーの組み付け
油温センサーはシリンダーの左前に取り付けられる。先端がネジ状になっており、そのままシリンダーの受け穴にねじ込む。この油温センサーは後で本締めするので、ここでは手でねじ込んでおくだけで良い。
(39)油温センサーを手で回してシリンダーにねじ込んでいく。ここでは工具を使わずに、仮組みの状態で良い。
ヘッドガスケットのセット
ヘッドガスケットは金属系の素材でできている。セットする向きを間違えないように、よく確認してからスタッドボルトに通していく。また、折ってしまったりするとオイル漏れの原因になることもあるので、丁寧に扱うこと。
(42)ヘッドガスケットをセットする。4本のスタッドボルト通して奥に入れていき、最後にカムチェーンをガスケットに通して奥までセットする。
シリンダーヘッドの組み付け
シリンダーヘッドの中にはカムシャフトがあり、このカムシャフトはカムチェーンによって駆動するようになっている。シリンダーヘッドを組み付ける際には、カムチェーンを落とさないようにするのがポイント。落としてしまうと再度分解して取り出すことになるので要注意だ。
(47)シリンダーヘッドがシリンダーにしっかり当たるまで押し込む。カムチェーンが落ちないように注意すること。
シリンダーヘッドとシリンダーの固定
シリンダーヘッドは4個のシリンダーヘッドキャップナットと、2本の長いフランジボルトで固定される。左下のシリンダーヘッドキャップナットだけワッシャーが銅製のシーリングワッシャーになっているので、取り付け場所を間違えないように注意する。
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