【KITACO虎の巻】第4回：グロムにボアアップキットを組み付けてみよう！手順詳細解説 【ピストンリング組み付け➤ピストン組み付け】

（1）今回組み込む164cc仕様のピストンとそのピストンリング。ピストンリングは、トップリング、セカンドリング、3本で構成されるオイルリングの計5本が必要。

（2）ピストンのトップに刻まれた刻印を確認。NEO ボアアップキットを表す「NEO」、排気量を表す「164cc」、エキゾーストバルブを意味する「EX」の3つが刻まれている。

（3）ピストンの側面に3本の溝が刻まれている。3本で構成されるオイルリングが入る1番下の溝は、他の2本の溝よりも太くなっている。

（4）オイルリングを構成するサイドレール2本。このサイドレールには表裏はないので、特に確認する必要はない。

（5）オイルリングを構成するエキスパンダ。エキスパンダは柔らかいので、曲げたりしないように取り扱う際は注意する。これも表裏はない。

（6）エキスパンダはこのように2本のサイドレールの間に挟まる形で取り付けられる。一度に3本をセットするのではなく、1本ずつピストンの溝にセットしていく。

（7）まずサイドレールを1本1番下の溝にセットしていく。サイドレールは比較的柔らかいので、合口を開いてピストンにセットしていく。

（8）サイドレールに限らず、ピストンリングをピストンにセットする際には、ピストンに傷をつけないように注意が必要だ。

（9）1本目のサイドレールを1番下の溝に入れたら、その上にエキスパンダをセットします。エキスパンダは非常に柔らかいので、簡単に溝に入れることができる。

（10）サイドレールの上に、エキスパンダをセットした状態。ピストンの全周を確認して、しっかり溝に収まっていることを確認する。

（11）上側のサイドレールをセットしていく。先に2本のリングが入っているので溝が狭く、入れにくいため慎重に作業したいところだ。

（12）オイルリングがセットされた状態。サイドレール、エキスパンダ、サイドレールの順でセットされていることを必ず確認すること。

（13）トップリングとセカンドリングをセットしていく。リングの見分け方は色で、シルバーの方がトップリングで、ブラックの方がセカンドリングだ。

（14）写真では見にくいが、リングの表面には合口の端に刻印がある。この刻印が上側になるようにピストンにセットする。

（15）セカンドリングからセットしていく。サイドレールよりも厚みがあるため硬いので、開く時の力の入れ方に注意する。

（16）セカンドリングをセットした状態。1段目の溝に入ってしまうことが普通なので、入ってしまっても慌てずに引っ張り出して2段目の溝にずらすようにして入れる。

（18）すべてのピストンリングをセットしたら、合口をずらす。合口の位置が同じだと、圧力が抜けたりオイルが燃焼室に上がりやすくなるためだ。

（19）ピストントップの刻印を目印にするなどして、合口の位置を120度ずつずらします。オイルリングはエキスパンダの合口で合わせ、サイドレールはそこから左右に2cmずつずらす。

（21）ピストンクリップをピストンに取り付けていく。新品のピストンの場合、両側ともピストンピンクリップはセットされていないので、2本必要になる。

（22）ピストンはこのように「EX」のあるエキゾーストバルブ側が下になるようにセットされるため、写真奥側（正面から見た時の左側）のピストンピンクリップを先に取り付ける。

（23）ピストンピンクリップを取り付ける前に、ピストンクリップが収まる溝にしっかりエンジンオイルを塗布する。

（24）まず、ラジオペンチでピストンクリップの合口付近をしっかりつかみ、溝に合口の端をセットする。その後、親指をピストンピンクリップの外に出ている部分に当てて押さえながら、クリップを回すようにラジオペンチに力をいれる。

（25）「パチン」という音がして、ピストンピンクリップがピストンの溝に収まる。飛ばしてしまうことが多い部品なので、飛ばさないように注意するのはもちろん、保護メガネなどをかけて作業したい。

（26）ピストンの切り欠きとピストンピンクリップの合口の位置が同じにならないように、クリップを回して位置をずらす。

（27）片側にピストンピンクリップがセットできたら、ピストンをピストンピンでコネクティングロッドに組み付けます。

（28）ピストンのピストンピン穴にしっかりとエンジンオイルを塗布します。穴は左右にあるので、両方の穴に内側と外側から塗布すること。

（29）ピストンピンにもエンジンオイルを塗布します。オイルをピンの表面に垂らしたら、指で全体に塗り広げる。

（30）ピストンピンの先端がピストンの内側に出ないように、ピストンピンクリップをセットしていない側からある程度入れておく。

（32）ピストンをコネクティングロッドの先端位置まで持っていきます。スタッドボルトの間を通すので、ぶつけないように注意すること。

（33）ピストンとコネクティングロッドの穴位置を合わせて、ピストンピンを押し込む。オイルがしっかり塗布されていれば、指で奥まで入れることができるはずだ。

（34）ピストンピンが奥まで入った状態。ピストンピンクリップをセットする溝が、完全に見えていることを確認する。

（35）ピストンピンクリップをセットして、ピストンピンを固定していく。まず、ピストンピンクリップが収まる溝にエンジンオイルを塗布する。

（36）工程（24）〜（26）と同様に、ピストンピンクリップをセットする。コネクティングロッドに負担をかけないように注意。

（37）ピストンピンクリップを取り付けたら、クリップが完全に溝に収まっていることと、合口部分が切り欠きとずれていることを確認する。