メンテナンスや整備に興味のあるライダーにとって、ドライバーやレンチなどのハンドツールは身近な存在で、簡単な作業でも工具がなければ手出しできないこともご存じのはず。そんなライダーにとって昨今のバイクに付属する純正工具はきわめて簡素で「もし出先で何かあったらどうしよう……」と心配になるほど。上質工具でおなじみのファクトリーギアがプロデュースした車載工具セットは「I' ll be back」のキャッチフレーズ通り窮地を脱するための考え抜かれたアイテムが満載されています。

メンテフリー化とロードサービスの普及が車載工具簡素化の主原因

ETCやドライブレコーダー、USB電源にスマホホルダーなど、快適なバイクライフを送るためのアクセサリーは数多くある一方で、寂しい限りなのが純正車載工具です。中には「バイクに工具なんて付いているの?」というユーザーもいるかもしれません。

定期的なコンタクトポイント調整やスパークプラグのクリーニングが欠かせなかった昔のバイクには、ドライバーやスパナやプライヤーなどの車載工具が付属するのが常識でした。
しかし無接点の点火系でポイント調整が不要になり、インジェクション化でプラグかぶりがなくなることで工具のアイテム数は徐々に少なくなり、今では高価格帯のスーパースポーツモデルでも車載工具は六角レンチ1本とリヤサスペンションのプリロード調整用フックレンチ1本だけという例もあります。

それに加えて、昨今はロードサービス特約が付帯する自動車保険も多いため、もしツーリング先や出先で何かアクシデントがあっても、いざとなったら愛車を運んでもらえる安心感もあります。もちろん、スマートフォンでレスキュー手段をいつでも検索できるのも、公衆電話を探して右往左往しなくてはならなかった昔との大きな違いです。

とはいえ、立ちゴケで曲がったレバーやペダルやヒビ割れて宙ぶらりんになったカウルなど、比較的簡単に対応できるトラブルであれば、自らの手で補修して走行することもできます。にもかかわらず純正工具が六角レンチとフックレンチだけではどうすることもできません。

そう考えると、ある程度の作業が可能な工具を搭載しておくことは、バイクいじりが得意か苦手かという問題とは別に、自らの身を守るためにも必要な準備といっても良いでしょう。

車載工具に求められるアイテムとは?

簡素な純正工具に代わる車載工具に必要な機能やアイテムは「回す工具」と「掴む工具」に大別できます。
ドライバーやスパナ、メガネレンチなどの回す工具は、ビスやボルト/ナットを着脱するための必須アイテムです。

バイクの年式が新しくなるほどプラスやマイナスビスの使用箇所は減っていますが、それに代わって六角穴付きボルト(いわゆるヘックスボルト)が台頭しているため、六角ビットドライバーの出番は増えています。
六角頭のボルトやナットを回すスパナやメガネレンチも、ハンドルやレバーホルダーの位置がずれたりミラー調整に欠かせません。ただしボルト/ナットのサイズごとにレンチを揃えるとかさばってしまうので、ラチェットハンドル+ソケットで省スペース化するのも良いでしょう。

さらに開口幅が広めのモンキーレンチがあれば、ソケットだけでは対応できないサイズのボルトを回すこともできます。
掴む工具に関しては曲げる、押さえる、切断できる、ニッパーとラジオペンチの機能を併せ持つスリップジョイントプライヤー一択と言って良いでしょう。これに加えて、実はモンキーレンチも掴む工具として使えます。

スパークプラグレンチやドライブチェーンのたわみ調整で使用するリヤアクスルシャフト用レンチがあれば作業の幅はさらに広がりますが、スパークプラグにたどり着くにはガソリンタンクやエアークリーナーボックスを外さなくてはならない機種も多く、また適切に注油されたシールチェーンであれば数百km程度のツーリングで伸びることは皆無なので、あえて搭載しなくても良いかもしれません。

工具のプロがチョイスしたDEEN「I' ll be back」

バイクに付属する純正工具に代わる車載工具は、部品や用品ブランド、工具メーカーなどからいくつも製品が発売されています。コンセプトや入組内容は製品ごとにまちまちですが、社長自身もバイク乗りである工具ショップ、ファクトリーギアがプロデュースした車載工具セットはアイテム数と工具の品質で一頭地を抜いた存在です。

北海道から沖縄まで全13店舗を展開するファクトリーギアは、国内外の有名メーカー工具の販売を行いながら、自社ブランドである「DEEN」でハンドツールやエアーツール、キャビネット等を開発。工具販売のプロである同社の知見とノウハウを活用して開発された車載工具I' ll be backのセット内容は以下の通りです。

DN-BITRSET2:DEEN ビット&ビットラチェットセット
DNB208W/AH:DEEN 1/4SQ 12角ソケット8PCセット
(サイズ:5.5、6、7、8、10、12、13、14mm)
DNC-10A:DEEN コンビネーションレンチ 10mm
DNP-150J:DEENコンビネーションプライヤー
DNW-150AJ:DEEN モンキーレンチ150mm
TRJ200B:ナイロン結束バンド耐候性タイプ 幅4.8mm長さ188mm 5本
PT731/1P:絶縁テープ
DNJRSL-700LM:DEEN.J 充電式カラビナライト
DNIWBAG:モーターサイクル搭載バッグ
収納布:フリースタイルクロス

上記入組内容を元に、さらにアイテムごとの使い勝手を細かくチェックしましょう。

DEEN ビット&ビットラチェットセット

メタルケースに収納された対辺1/4インチのビットはプラス、マイナス、ヘックス、トルクス(通常タイプといじり止めの2タイプ)、1/4sq用変換アダプターと種類が豊富で、首振りタイプの72歯ギヤラチェットハンドルとエクステンションバーによってソケット工具とドライバーとして機能します。ラチェットハンドルのグリップ後端にも六角穴があり、ここにビットを装着することでドライバーのように早回しできるのも特徴です。

DEEN 1/4SQ 12角ソケット8PCセット

スパナやメガネレンチの代わりに備わるソケットは差込角1/4sqで、ビットセットの1/4sq用変換アダプターとラチェットハンドルを組み合わせてボルト/ナットを回します。1/4sqの差込角とすることで一般的な3/8sqよりソケット外径がスリムになり、狭い場所での使い勝手が向上するとともにコンパクトな収納を両立しています。またソケットの開口部は6角と12角がありますが、このセットはアクセス性の良い12角を採用しています。

DEENコンビネーションプライヤー DEEN モンキーレンチ150mm DEEN コンビネーションレンチ 10mm

掴み系工具のプライヤーとモンキーレンチはどちらも全長150mmです。プライヤーは掴んだ相手が滑りづらいノーズ形状で、ヒンジ部分には結束バンドや針金が切断できるカッターも備えています。
モンキーレンチの開口幅は実測26mmとワイドで、内面は確実にトルクを伝達できボルトやナットの角部を傷めづらい面接触形状となっています。収納性を考慮してこのサイズを選択したのでしょうが、大きなトルクを加えるにはさらに全長が長い方が有利なのは確かです。

ハンドルの両端にスパナとメガネを持つコンビネーションレンチは10mmが1本だけ入っています。他のサイズのボルト/ナットを回すにはソケットレンチ使用し、このレンチはレバーピボットのナットやナンバーボルトの増し締め用として考えられているようです。
裏技的な使い方としては、転倒などでブレーキやクラッチレバーが折れてしまった際に、残った部分に結束バンドで縛り付けることでレバー操作の一助になる場合もあります。

DEEN.J 充電式カラビナライト ナイロン結束バンド耐候性タイプ幅4.8mm長さ188mm(5本) 絶縁テープ 収納布(フリースタイルクロス)

夜間に整備を行う際に頼りになるのが、広範囲とスポット照射が可能な充電式LEDライトです。本体にはマグネットとカラビナが付いているので、車体などに固定して両手で作業することも可能です。
破損部分の補強や脱落防止に役立つのが結束バンドや絶縁テープです。ここにステンレスワイヤーを追加しておけば、緊急整備時の対応性がさらに高まります。

想像以上に使い勝手が良いのが、フリースタイルクロスと呼ばれる収納布です。一見するとマイクロファイバークロスのようですが、黒とグレーの生地を重ねると互いに引きつけ合って簡単には解けないので、工具をたたみ込んでおけばバッグの中でガチャガチャ暴れることはありません。またシート下などのスペースに限りのある機種では、セットの中から選抜したアイテムをクロスで包んで収納用として使うことも可能です。

DNIWBAG:モーターサイクル搭載バッグ

すべてのアイテムを収納する防水バッグは幅250×奥行65×高さ120mmで、ジッパー部分にも止水タイプを採用しています。また背面にはベルトループがあるため、シート下やテールカウルに余裕のない場合はグラブバーやシートレールなどにも固定できます。

非常用としてはもちろん日常整備にも使えるクオリティが魅力

車載工具はあくまでツーリング先などでの非常用工具であり、その場しのぎができれば充分という考え方もあります。そう割り切れば、安価な製品でセットを組むこともできます。
しかし、いざというときに確実にボルト/ナットやビスを回して、目的の作業を行うためには信頼できる工具を使用することが重要です。

I' ll be backというネーミングには、楽しむために出かけたツーリングでアクシデントに遭遇しても、そこから確実に戻ってこられるようにという願いが込められています。
またこのセットは多くのユーザーのニーズに応える内容となっていますが、プラグレンチを追加したりお気に入りのケミカルを加えるなど、バイクやライダーごとに入組を変更してさらに使い勝手を向上させる余地もあります。

まずは愛車の車載工具の内容をチェックして「これじゃあ心配だ……」と気づいたら、工具のプロが厳選したI' ll be backを搭載することをおすすめします。

ギャラリーへ (17枚)

この記事にいいねする

今回紹介した製品はこちら

コメントを残す

今回紹介したブランドはこちら