USB電源やドライブレーコーダー取り付けや、ウインカーが作動しなくなった時などに行う電源取り出しや電気系のメンテナンス。回路図を見てもちんぷんかんぷん、サーキットテスターも難しすぎて自信がない……、というライダーにとってはハードルが高い作業かもしれませんが、そんな人にも分かりやすいのが機能を絞り込んだ検電テスターです。

回路の断線や電源が来ているか否かはサーキットテスターがあれば分かる

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点火系がフライホイールCDIでキック始動車の場合、バッテリー電圧にかかわらずエンジンは始動する。ウインカーやブレーキランプやホーンなどバッテリーを電源とする電装品の作動状況が悪い時は、まず第一にバッテリー電圧を測定してみる。

 

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12Vバッテリーは満充電で12.8V前後まで電圧が上昇する。電圧を測定しながらエンジンを始動して回転数を上げると、バッテリーの充電状況にもよるか14V近くまで上昇するはず。エンジン回転にかかわらず12~13V前半までしか電圧が上がらない場合、バッテリーがフル充電状態にあるかレギュレートレクチファイア、またはオルタネーターの不具合が考えられる。

 

イグニッションキーをONにしてスターターボタンを押してもセルモーターがウンともスンともいわない。インジケーターのニュートラルランプを見たり、ウインカーを作動させたりしてバッテリーの状態を推察して再度スターターボタンを押してもやっぱりダメ。
そんな時、まず第一に確認するのはバッテリー電圧です。鉛バッテリーは満充電で12.8V前後の電圧がありますが、11V台まで低下するとセルモーターの回転が弱々しくなり始動困難になります。さらに低下して10V以下になるとマグネットスイッチが「カチッ」とどうしてもセルモーターは回らないかもしれません。
それとは別に、バッテリーの電圧は充分でも、始動回路のどこかに不具合があってセルモーターに電圧が掛かっていない可能性もあります。
そんな時に持っておくと便利なのがサーキットテスターです。テスターがあればバッテリー電圧が可視化されるので、始動不能の原因がバッテリーなのかそうでないのかを判断できます。バッテリー電圧は直流電圧モードで測定しますが、オルタネーターで発電される際は交流なので、交流電圧モードを使えばオルタネーターコイルの立ち上がる電圧を測定できます(ただしエンジン作動時の測定となります)。
ちなみにバイクや自動車の充電系統は、エンジン回転と連動して作動するオルターネーターで交流を発電し、レギュレートレクチファイアで交流→直流に変換しながらバッテリーの充電に適した電圧に調整します。

クランプメーターがあれば電流も測定できる

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バッテリー端子電圧が12V以上であっても充電電流が少なければ満充電に届かないこともある。そんな時にクランプメーターが役立つ。バッテリーコードをセンサーでクランプしてエンジンを始動すると充電電流と放電電流を測定できる。エンジン回転数が上昇すれば充電電流も大きくなるのが普通だが、ヘッドライトやブレーキランプ、ウインカーなどを作動させた際に放電が過剰だとバッテリー上がりの原因になる。電流の流れを見ればそんなことまで分かるのだ。

 

サーキットテスターの中には、バイクや自動車の電装系に流れる大きな電流を測定できるものもあります。電圧を測定する際は、テスターを測定する回路に対して並列につなぎます。
一方、電流を測定する際は回路に対してテスターを直列につなぎます。これは測定部分で一度回路を切断して電流計を割り込ませることになり、ハロゲンヘッドライトやセルモーターなど大電流が流れる回路では電流計を破損する危険性があります。
そうしたリスクを回避できるのがクランプメーターです。クランプメーターは回路に電流が流れる際に発生する磁界を検出して電流値として表示し、目的の配線をセンサーでクランプするだけで測定できます。回路の切断は不要でテスター内部に電流が流れることはないので大電流も安全に測定できるのが特徴です。
サーキットテスターの中でもクランプメーターは特異な存在ですが、一般的なテスターでも小電流や導通や抵抗値ができます。
ただ、電気に対して苦手意識が強いライダーは、いくつもの測定モードを選択できるファンクションスイッチがあるだけで、難しくて使いこなせそうにない……と尻込みしてしまうかもしれません。

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