
中古のバイクを購入する際の定番チェックポイントでもあるガソリンタンク内部の状態。
自分のCBR1000F(SC21)は初めからタンクキャップが開かないワケあり格安物件?でした。入手後しばらくは怖くて着手できず、ガレージの片隅に置いていましたが、ほかの部品の作業が進んで来ましたので、いよいよ開封~(出来れば)再生に挑戦してみることにしました。
目次
淡い期待と厳しい現実
開かずのタンクキャップと格闘する先人の方々のレポートを参考に、まずは浸透性潤滑油を吹く、加熱する、叩く……から始めてみました。が……現実は厳しく、開く気配はなく、ビクともしませんでした。
タンクを外して振ってみたところ、ガソリンが残っているチャプチャプ音と謎のカサカサ音がするため、先に裏側の燃料センサーを外して腐ったガソリンと錆の塊を廃棄しました。

作業開始直後の燃料タンク

タンクから出てきたガソリンと錆
裏側からタンクの中を覗いてみましたが、キャップのロック部分は普通に汚れが固まっているだけのようにみえました。金属の棒などでロック部分に刺激を与えてみたのですが、変化はなく……結局キーが曲がっても開くことはありませんでした。
幸いタンクキャップとメインスイッチとシートロックを一つのカギで開封できる中古部品を入手することができましたので、今ついているタンクキャップを破壊して開封することにしました。

曲がってしまったキー
タンクキャップ破壊~開封
中古部品のタンクキャップをバラしてロックの構造をあらかじめ理解したうえで、まずは真ん中のキーシリンダー部分をドリルで除去。

キーシリンダーの除去
マイナスドライバーを使ってロックピンを動かそうとしましたが、ロックピンがガチガチに固着して動かなかったため、ピンをスライドさせることを断念。
タンク側を傷つけないようにしながら左右のロックピンを直接ドリルで破壊したところで、ようやくキャップを外すことができました。

ロックピンを破壊して開封
ちなみにキャップのゴム部分はプラ部品のように固まっていて、ちょっと刺激を加えるとパキパキ折れるような状態でした。
タンク内洗浄
錆とりをする前にタンクキャップと燃料センサーと燃料コックを外し、ゴムで蓋をし、内部を中性洗剤で洗浄していきます。
洗浄の際、内部の固着した汚れを落とすために、洗剤と一緒に1m長の金属チェーンをタンクの中に入れてガシャガシャ前後左右に振りました。

チェーンを使用して洗浄
10回ほど繰り返しても、なかなか汚れが無くならないため、作戦を変更、高圧洗浄機をタンク内部にかけてみることにしました。
この際、高圧洗浄機にはL字ノズルを装着、タンク内部に可能な限り差し込んで作業をしました。(錆が深刻な場合は水圧で穴が開いてしまう危険性もありますのでご注意ください)

タンク内を高圧洗浄
タンク内錆とり
タンク内の錆とり剤はいろいろあるようですが、自分は超強力で錆とり後、少し残しておいた原液を使ってコーティングもできる…という「モンキーダンクIII」という製品を試すことにしました。

錆とり剤を投入
説明書の指示通りお湯で希釈、タンクに投入して放置。一日たってから錆とり剤をポリタンクに移して内部を確認。錆が残っていたら、錆とり剤を鍋で温めて、再投入。翌日確認する……という作業を繰り返しました。結局錆が無くなるまで1週間かかりました。

錆び取り前のタンク内部

錆び取り後のタンク内部
最後のコーティングを行う前に、改めてタンク内部を水で高圧洗浄、タンク内部から汚れや錆びた金属片が出なくなるまでゆすぎました。

錆とり後も出てくる金属片
その後、エアダスターとヒーターでタンク内部の水分を完全に除去したのちに錆とり剤の原液を投入し内部を満遍なくコーティング。
これでタンク内錆び取り作業は一旦完了です。
燃料コック再生
燃料コックはソーダブラストをかけ、潤滑油を吹いてみたのですが固着して動かない状態。CBR1000F(SC21)の燃料コックはアッセンブリー交換なので、当然のように廃番になっていました。
カシメ型で内部のシールの交換もできない仕様なのですが、カシメ部分をネジ山加工してオーバーホールする先人の方々の記事を発見。さらに調べると海外の通販サイトでSC21用のネジ山加工リビルトキットが普通に?売られていたため迷わず入手。自分でコック内のシールを交換してみました。

燃料コックリビルトキット
交換にあたって、まず簡易ボール盤を使用してカシメ部を除去したのち垂直に下穴をあけ、タップでネジ山を切ります。この際リビルトセットに同梱されていたインチネジは日本では特殊なので使用せず、入手しやすいJISタイプのものに変更しました。

カシメ部にネジ山を作る
コック内を分解し、金属パーツはメタルクリーンに漬けて洗浄してみたところ、リザーブ側のパイプが朽ちて短くなっているうえに穴が開いていることを発見。

リザーブ側パイプが朽ちて穴が開いていた
そのままにしておくとリザーブの意味がないためパイプを除去。汎用の真鍮パイプをグラインダーでカットし、エポキシ系接着剤で取付けました。

汎用真鍮パイプを加工取付
またタンク内の燃料フィルターもメッシュに穴が開いていため新品に交換したかったのですが残念ながら廃盤。中古部品もびっくりするくらいの値段だったので、今回はフィルター部分を他車種の燃料フィルターとステンレスメッシュを使って再生させることにしました。

燃料フィルターを流用加工
燃料センサー確認からの……
取り外した燃料センサーはソーダブラストを行い、外からの見た目は綺麗にできたのですが、テスターを使って機能しているかを確認したところ、残念ながら内部で断線していて使えない状態でした。

断線していた燃料センサー
CBR1000F(SC21)の燃料センサーも廃盤で、中古部品すら見つけられなかったため悩んでいたところ、センサー取付部分は他車種用のものでもサイズや形状が似ていることに気が付きました。ダメもとで海外通販の激安社外部品を取り寄せたところフロート部分のロッドの形状だけが異なることがわかったのですが、残念ながらロッドは簡単には交換はできない構造…。いろいろ考えた結果フロート部分のロッドの部分をカットしてつなぎ合わせ加工を行うことにしました。

他車種用燃料センサーとの比較
ガソリンにつかる部品のため接合は溶接か銀ろう付けができると良かったのですが、ロッド部分はメッキ加工が施されていて自分には手が出せなかったため、結局エポキシ系接着剤を使用してロッド同士を接着することにしました。

ロッド部分を接着するための準備

加工して完成した燃料センサー
タンクキャップリビルド
破壊したタンクキャップの代替品として入手した中古部品のキャップをチェックしていたところ、こちらもかなり古いもののためゴムの硬化が激しい状態。

ゴムが硬化して割れてしまった中古部品
海外通販で激安社外品があったので入手し、ゴム部品だけを入れ替えることにしました。金属部品は純正中古品のほうがモールドの出来が良いため、サンドブラストをかけガンコート塗装してから再組み上げしています。

社外品のゴムだけを使用してタンクキャップを再組み上げ
まとめ
入手時からの課題であった錆びて開かずのガソリンタンクを利用可能にしました。
タンクキャップを強制開封後、洗浄、錆とりを実施。燃料コックと燃料計の加工、再生を行い各種機能を復活。タンクキャップは中古の部品と社外部品を組み合わせてリビルトしました。
今回の補修も?何度か手詰まりになり、あきらめかけたのですが、リビルトキットや他車種用部品流用で何とか再生することができました。
この後も引き続き作業を続けていきたいと思います。

再生したタンク
使用した工具、備品
ソーダブラスト一式
ガンコート一式
ヒーター
エアダスター
高圧洗浄機(L字ノズル)
グラインダー
簡易ボール盤
電動ドリル
ステンレス用ドリル
タップ
テスター
大型たらい
金属チェーン
針金
ゴムキャップ
タンク用錆とり剤(モンキーダンクⅢ)
ラスペネ
ドライバー
ハンマー
プライヤー
エポキシ系接着剤
中性洗剤
鍋
カセットコンロ
交換した部品
各種Oリング
燃料コック リビルトキット(SC21用)
燃料センサー(他車種用)
真鍮パイプ
燃料フィルター(他車種用)
ステンレスメッシュ
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その諦めない心はどうやって手に入れたのでしょうか。私は自分に自信がなく、やり遂げる気力がないので結構、部品だけ集めて放置してることが多いです。もちろんこんな専門分野なレベルでなく、普通にカーポートの壁や延長工事で停滞してます。4ヶ月も材料放置。なんとかしなきゃと思いながらも失敗したらと思うとやる気がでず、とうとう屋根材が錆びてきてしまいました。職人の人なら数日で終わる作業なのに、材料もあるのに。バカだなー自分。でもやらないと車に日があたってしまうしホコリもつくので頑張るしかないんですが。