
フリクションロス低減やサビを防止するため、ドライブチェーンにとってメンテナンスは不可欠です。付着した汚れを洗浄してチェーンオイルを注油する際は、リヤタイヤに飛び散らないよう注意しなくてはなりませんが、新聞紙や厚紙があれば効果的にガードできるので是非とも活用してみましょう。
チェーンクリーナーやチェーンオイルはたっぷりスプレーしたい

チェーンクリーナーは洗浄成分を浸透させた上でスプレーの圧力で吹き飛ばすため、チェーンの反対側にクリーナー成分が飛散するのは避けられない。クリーナーまみれになったホイールやタイヤをウエスで拭くのは面倒だが、チェーンの裏側に古新聞を一枚挟むだけでしっかり保護できる。

チェーン表面の汚れはスプレー圧だけで落ちるが、過去のチェーンオイルが積み重なり粘度が高くなって汚れと混ざり合うと簡単に取れないこともある。チェーンクリーナーの中には遅乾タイプの製品もあるので、しばらく浸透させる。
ドライブチェーンには原付クラス小排気量車を中心に装着されているノンシールタイプと、潤滑のためのグリスが封入されたシールタイプの2種類があります。シールタイプのグリスはチェーンのリンクをつなぐピンと、ピンが貫通するブッシュの隙間に充填されていて、駆動力やバックトルクによって強い力で擦れ合うピンとブッシュの摩擦力を低減します。
チェーンメーカーでは、500km程度走行後や雨天、悪路走行後のメンテナンスを指定しています。
ノンシールチェーンにはこの部分に潤滑油がないため、チェーンオイルを定期的に注油しなければなりません。一方、シールチェーンもグリスを封入するゴム製のOリングやスプロケットと接するローラー部分は潤滑がないので、メンテナンスフリーというわけではありません。
雨天走行後のチェーンを見れば分かるとおり、チェーンやスプロケットは巻き上げられた砂利が付着し、そのまま走り続ければ砂利が研磨材となってしまいます。チェーンやスプロケットは砂利よりはるかに硬い金属ですが、異物を挟み込みながら回転することが良いわけはありません。
チェーンメーカーはさまざまな走行条件を考慮して定期的なメンテナンスを推奨しています。雨天時は走行しないから、チェーンオイルを注油してもどうせ飛散するからと、あれこれ理由をつけてメンテナンスを行わないライダーもいるようですが、金属同士が接触しながら大きな力が加わる以上、潤滑が必要なのは間違いありません。
チェーンのメンテナンス時は、注油の前にクリーナーで汚れを落とすことが重要です。付着した砂利の上からチェーンオイルを注油すると、ノンシールチェーンであればピンとブッシュの間に汚れを押し込むことになりかねず、シールチェーンの場合でもプレートとシールの接触面に汚れが付着してシールを傷つける原因になりかねません。
チェーンクリーナーやチェーンオイルは手軽に使えるスプレータイプが一般的で、それらの効果を最大限に引き出すには必要充分な量をスプレーすることが必要です。ホイールやタイヤへの飛散を懸念して少量しか使わなければ、汚れの落ちは悪くオイルも行き渡らないからです。
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