今回は自分のCBR1000F(SC21)が不動車になった原因だと思われる水冷システムの再生編です。
後継車のSC24以降水冷パイプの取り回しが大きく変更になっているため、SC21の多くの水冷関連部品は希少で入手しずらく、想像以上に苦戦しました。
見た目だけでなく、機能を回復させることが肝心ですので、今回は組み上げてからの作業も含めご報告をしていきます。

【red_oneのDIYレストア】日記
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もともとの状態

初めてカウルとタンクをはずした際、びっくりしたのが、水冷システムの朽ち果てぶりでした。あちこちに茶色い粘土状の汚れが詰まっておりパイプの一部は裂けていました。

汚れで状態がわからないため、まずは高圧洗浄を実施、その後分解して部品を確認したところ、ラジエーターキャップ周辺の金属パイプが錆びて割れてしまっていました。
ラジエーターとエンジンをつなげているステーは錆びてボルトが固着していたため、やむなく切断。幸いなことにラジエーター本体とファンなどは良好な状態でした。

破裂していたラジエーターキャップ周辺

破裂していたラジエーターキャップ周辺

洗浄

ラジエーターキャップ周辺の部品は国内のオークションで中古品が入手ができました。
とはいえ、かなりの汚れとアルミ錆が目立つ状態だったため、ラジエーターなどと一緒に60℃以上に温めたメタルクリーンαに漬け込んだ後、ソーダブラストを行って部品のリフレッシュを行いました。

ちなみにメタルクリーンαは塗装をやわらかくしてしまうため、ラジエーターなどの塗装ははがすことにしました。

メタルクリーン洗浄中

メタルクリーン洗浄中

また、ウォーターポンプ部分はシールなどが組み込まれているためメタルクリーンには漬けずにソーダブラストのみ、ゴムのパイプ類はオキシクリーンに半日程度漬け込んで綺麗にしていきます。

オキシクリーン洗浄中

オキシクリーン洗浄中

塗装

ラジエーターは剥がれた塗装皮膜を高圧洗浄で落としたのちに乾燥させ、放熱性能を高めるためにも使われるガンコート塗装を実施。
簡易オーブンで焼き付けたところ新品のような見た目にすることができました。

ラジエーター塗装、組み上げ完了

ラジエーター塗装、組み上げ完了

ウォーターポンプもガンコートの低温焼き付けを実施。
中古のラジエーターキャップ周辺の部品やラジエーターファンの取り付け用の部品は亜鉛メッキスプレーを行った後、表面を真鍮ブラシで研磨しています。

中古部品リフレッシュ後

中古部品リフレッシュ後

組み上げ→波乱

部品の洗浄と塗装をしてから半年後
綺麗になった部品を車体に組み上げ、パイプをつなぎ冷却水を入れて復活……と思っていたのですが……まさかの漏水。実はここからが水冷システムレストアの本番でした。

最初に大きな漏れが見つかったのはゴムパイプの接合部です。
特にウォーターポンプにつながる箇所はバンドの取り付けがシビアだったこととゴムがつぶれて弾力が失われていたため補修が必要でした。

冷却水漏れ

冷却水漏れ

複雑な曲げ加工がされているゴムパイプの新品は入手不可能なため、汎用の角度付きゴムパイプを切って継いでゴムがつぶれている箇所を交換することにしました。

ゴムパイプ接合補修

ゴムパイプ接合補修

ほかにも細いゴムパイプの接合部からも冷却水が漏れていたので、同じ太さの汎用のゴムパイプに交換。
金属パイプ側の錆びを落とした結果、若干細くなっている接合部は水道管を補修するときに使用する防水テープを巻いて少し太くし、さらに冷却水用のガスケットを塗布して接合するようにしました。

接合部取付前

接合部取付前

いろいろ手を施した結果一通りゴムパイプの接合部からの漏れは止まったのですが、一晩するとまだ漏れが起きていることを発見。
場所を特定するため漏れていそうな場所にカメラを設置し撮影。特定することにしました。

タイムラプスカメラによる漏れ箇所確認

タイムラプスカメラによる漏れ箇所確認

メカニカルシール不具合発見

撮影した画像を早回しで確認したところ、大丈夫だと思っていたウォーターポンプのメカニカルシールから水が漏れていることが発覚……。

メカニカルシールからの水漏れ

メカニカルシールからの水漏れ

問題のウォーターポンプは調べたところアッセンブリー交換部品で廃盤品で、中古部品も日本では見つけられず。海外を探したところSC21用は送料込みで5万円近くかかるモノばかり……。SC24も同じ部品を使っていることがわかったため、改めて探してみたところ何とか現実的な価格(?)なものが見つかり、入手することができました。おかげさまで(?)絶版中古部品の探し方が少しわかってきたような気がします。
ちなみにメカニカルシール単体の交換は推奨されていないものの、可能だというネットの情報もあり、部品は入手することができましたので、将来のスペアパーツとしていつかリビルトしようと考えています。

数週間後に届いた部品は(塗装はせずに)ソーダブラストを行った後にブラシで磨く程度で使う事にしました。念のため、ボルトなどは新品にしています。

中古ウォーターポンプ

中古ウォーターポンプ

漏水は続くよ、どこまでも……

ポンプは交換したので漏れはなくなっただろう……と考え、ラジエーターの漏れをチェックするテスターを使って確認したところ、結果は不合格。

ラジエーター圧力リークテスター

ラジエーター圧力リークテスター

キッチンペーパーを当てて、漏れている場所を探したところ太いゴムパイプに裂け目を発見。

ゴムパイプの亀裂

ゴムパイプの亀裂

幸いなことに対象のゴムパイプは中古のラジエーターキャップ周辺部品についてきていたのですぐに交換。その後、圧力テストを行ったのですが、まだ漏れが……。

石鹸水を吹きかけて漏れている箇所を探したところ、エンジンに取り付けている以前中古で入手しリフレッシュした金属パイプに穴が開いていることを発見。

金属パイプからの漏れを発見

金属パイプからの漏れを発見

取り付けたとき穴はなかったのですが、圧をかけたところ朽ちて薄くなっていた箇所がパンクして穴が開いてしまった様子……万事休す……です。

金属パイプを外して中を見たところ、全体的に朽ちているため、圧力がかかると別のところに穴が空きそうな気配。とはいえ中古の部品はどれも同じような状態の可能性が高いため、今ある金属パイプを補修、強化を行うことにしました。
溶接やロウ付けも考えたのですが、自分のスキルが不安なのと、パイプ全体を補強したほうが良いので板金補修にも使われる強力なエポキシ系接着剤でパイプ全体を固めることにしました。(耐熱性は求められるものの200℃以上にはならない場所なので……)

金属パイプ補修中

金属パイプ補修中

面圧を逃がすためにもグラスファイバーを巻き付けてから接着剤を全体的に塗っていきました。硬化後は表面の凸凹をやすりで整え、耐熱アルミテープを巻き、最後に熱圧縮チューブで保護しています。

補修後の金属パイプ

補修後の金属パイプ

金属パイプ内部の錆びは一度錆とり剤に漬けた後、錆転換スプレーを吹き付けて再発を防いでいます。

とりあえず完成……

補強した金属パイプを取り付け、ゴムパイプの接続を慎重に行い、ガスケットが固まったのを確認してから冷却水を投入。(何度も抜いたり入れたりしている冷却水はもったいないので塗装用のストレーナーでろ過して再利用しています。)ようやく漏水はなくなりました。圧力テストの結果は数時間で圧が下がる状態…どこか圧が逃げている場所はあるため完全に安心…ではないのですが、冷却水は多少滲んでも蒸発すると思われるので一旦は完成ということにしました。

作業後の水冷システム

作業後の水冷システム

まとめ

SC21の弱点(?)冷却システムの再生に挑戦しました。汚れを落とし、塗装などをして一通り綺麗にしてみましたが、水漏れが複数個所に発生したため対策を実施。結果的にはラジエーター以外の部品は中古部品に交換。交換ができない不具合箇所は修理して何とか漏れないようにすることができました。
今回の補修が正解だったのかどうかはまだわかりませんので、耐久性なども含め今後確認していきたいと思っています。

使用した工具、備品

ソーダブラスト一式
ガンコート一式
簡易オーブン
温度調整機能付きトースター
メタルクリーン
オキシクリーン
高圧洗浄機
ラジエーター圧力リークテスター
強力エポキシ系接着剤
冷却水用液体ガスケット
防水テープ
耐熱アルミテープ
熱収縮チューブ
砥石
トルクレンチ
ヒートガン
亜鉛メッキスプレー
バケツ
クリアケース
各種レンチ、ドライバー
キッチンペーパー

交換した部品

CBR1000F(SC21) 冷却パイプ取付パイプ
CBR1000F(SC21) ラジエーターキャップ周辺部品一式(含むゴムパイプ)
CBR1000F(SC24) ウォーターポンプ

汎用ウォーターパイプ
ウォーターパイプ接続用インナーパイプ
ホースバンド
ウォーターポンプ取付ボルト
クーラント液

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