
ボルトナットやチェーンをガソリンタンクに入れて、ブンブン振り回してサビを取っていたのは昭和の話。今では高性能な中性サビ取りケミカルのおかげで、頑固なサビもタンクを静かに置いておくだけで除去できます。しかし「期待したほど落ちていない!!」ということはないでしょうか?その原因の多くは「サビの上の汚れ」だったりします。サビの前にタンク内の汚れを落としたい。そんな時に最適なのが、台所用の中性洗剤なのです。
腐ったガソリンを抜くだけでは汚れは落ちない

ガソリンが入ったまま10年以上放置されたタンクのサビはひどく、当然ながらガソリンも完全に腐っている。給油口の口金部分は赤サビでボロボロだが、タンク自体は防錆鋼板の効果でサビは皆無。一方でガソリンに浸っている燃料ポンプ内部は赤サビで覆われいた。インジェクション車で長期保管が確実な場合は、タンク内のガソリンを完全に抜いておいた方が良いだろう。
ガソリンタンク内のサビは、長期放置車両のお約束のひとつです。市販車のタンク素材に多いスチール素材の防錆性能向上によって昔のバイクより錆びにくくなっているものの、底面と側面の接合部分は溶接による高温で酸化しやすい状態になっており、保管状況によってはどうしても錆びやすくなります。
また最近ではガソリン自体の劣化によってサビが発生する例も増えているようで、長期間乗らないことが分かっている時はタンク内を空にして防錆潤滑剤をスプレーしておく方が良いという意見もあります。
サビが発生したタンクは、キャップを開けた途端の異臭ですぐに分かります。給油口から腐ったガソリンと茶褐色のタンク内部が見えた時の絶望感と言ったら喩えようがありませんが、穴さえ開いていなければ最近の高性能サビ取りケミカルによって相当深いサビでも取り除くことができます。
しかしサビの前に取り除くべきは、サビの上にヘドロのように堆積した汚れです。サビ取りケミカルを投入するのは、変質したガソリンやタンク内に入り込んだ水分を取り除いてからですが、汚れの中には頑固にこびり付いているものもあり、給油口や燃料コック、インジェクション車なら燃料ポンプを取り外してタンク内部を排出しても落ちきらないこともあります。
サビ取りケミカルを妨害するサビの上のドロドロ、ヌルヌル汚れ
タンク内部のサビは底面や側面のスチール素材の上に発生しますが、ドロドロ、ヌメヌメの汚れがサビの上に付着しているとサビ取りケミカルは反応できません。なぜならサビ取りケミカルは金属のサビに反応するように設計されているからです。
ひと昔前の酸性のサビ取り剤は、サビで酸化したスチール素材にさらに強力な酸化力を持つ液体を反応させることでサビ取りを行っていました。それに対して中性タイプのサビ取りケミカルの成分の主役は界面活性剤です。
界面活性剤は一般的な洗剤にも含まれている成分なので、サビ以外のガソリン汚れにも効果がありそうだと想像するかも知れません。しかし界面活性剤は効果効能によって千差万別で、ガソリンタンクのサビ取り剤に使用されている界面活性剤は金属には反応しますが油汚れは落とせません。
もちろん製品によっては油も落とせるものもあるでしょうが、一般的なサビ取りケミカルの効果を最大限に発揮させるためには、サビを覆う汚れを落とすことが先決です。
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