走りっぱなしで長期間ノーメンテナンスが続いたバイクの多くは、ドライブチェーンを潤滑するグリスが切れて、さらにチェーンが伸び、押し歩きだけでもキコキコ、シャラシャラっとノイズを発してしまうことがよくある。そんなドライブチェーンはグリスアップと張り調整が必要不可欠だが、チェーンの張り方にも、実はコツがあるので忘れずに覚えておこう

第一は「チェーンの現状コンディション確認」 







ドライブチェーンがしっかりグリスアップされ、潤滑された状態でないと、チェーンは理想的かつスムーズに作動してくれなくなる。 調整調整作業へ取り掛かる前に、きれいなウエスを手に持ち、ドライブチェーン外周側を軽く擦ってみよう。ウエスに汚れたグリスが付着するのならまだ良いが(少しは潤滑されている!?)、まったく汚れが付かずに、チェーンは完全ドライ状態……なんてこともある。そうなると間違いなく潤滑不足と言えるだろう。そんなときには専用ケミカルスプレーでグリスアップ、となるが、その前に、ドライブチェーンは洗浄しておきたい。洗浄ケミカル(チェーンクリーナー)を吹き付けて、ブラシでチェーンを擦って汚れを洗い流してから本格作業に取り掛かろう。そんな作業実践によって、後々の潤滑状況はさらに良くなる。

また、チェーン調整しようとアジャスターを動かしてみたが、動きが渋く思い通りに動かないこともある。そんなときには、アジャスター周辺部品のグリスアップが足りていないこともあるので、アクスルシャフトを抜き取って、周辺部品の摺動部分やシャフトにグリスアップを実施。そうすることで、チェーンの調整作業が楽に行えるようになる。

意外と知られていない「ドライバーの噛み込ませ」 







ドライブチェーン調整時は、スイングアームのアクスルシャフト左右調整部にある刻線とアジャスター側の刻みを、左右ともに一致させるのがセオリー。しかし、調整後にアクスルシャフトナットを締め付けたところ、合わせたはずの刻線がズレてしまう!?ことがよくある。そのズレが何故起こるのか……!? そんなズレを防止し、また、しっかり確実な調整作業を行うために、ドリブンスプロケットギヤとチェーンの噛み合い部分に「ドライバーやTレンチハンドルを噛み込ませ」てから、チェーンの突っ張りを保持しつつ、アクスルシャフトナットをに締め付けるのが良い。要するに、ドライブチェーンをしっかり張ることで、チェーンアジャスターを押し付け、その状態をキープしながらアクスルシャフトを固定する、ということだ。この作業が極めて重要なのだ。これは偏芯プレート式のアジャスターでも同様である。

また、スイングアームの左右刻線が無い時や、打刻が薄くて見えにくいときは、スイングアームピボットシャフトの中心からリヤアクスル中心までの寸法を巻き尺(コンベクス)で一致させよう。打刻合わせよりもむしろ、コンベクスで寸法確認した方が調整方法としては確実だと言うことができる。

チェーン調整後は確実にグリスアップ 



ドライブチェーンの遊び調整を終えたら、各締め付け部分に締め忘れが無いか必ず確認しよう。それから、専用ケミカルでグリスアップの実践だ。吹き付け過ぎると走行中に飛び散ってしまい、ホイールやリヤ周りが汚れるからイヤだと言うライダーがいるが、これは大間違い。しっかりグリスを吹き付けてからリヤホイールを手で回して馴染ませる。余分なグリスは、折りたたんだ新聞紙などをチェーン外周に当て、リヤホイールを回して付着させ、除去するのが良い。ホイール回転による遠心力でグリスは「外周側から飛び散る」ので、拭き取り除去する際には、チェーン外側から必ず行い、チェーンの内側へは振れないように心掛けよう。

この記事にいいねする


コメントを残す