ユニクロメッキは装飾クロームメッキと並び、バイクや車で多用されている表面処理のひとつです。ユニクロメッキはクロームメッキより再生コストが安価なわりに効果が明確に現れるため、レストア時に取り入れるいじり好きも多いようですが、依頼前にひと手間掛けるか否かで仕上がり時に大きな差がつくことをご存じでしょうか。

亜鉛メッキ後にクロメート処理を行うとユニクロメッキになる

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1960年代の原付スポーツバイクから取り外したユニクロ仕上げパーツ一式。スポークとニップルは現在入手できる部品を流用する。またエンジンカバーを固定する十字穴のナベ小ネジもホームセンターや通販サイトで手に入る汎用品を使用する。一方で六角頭のボルトは汎用品だと表面に規格表示などが入っていることも多いので、純正部品を再生すると絶版車の雰囲気を維持できる。

 

ホイールリムやフェンダーなど鉄素材のデザインパーツの表面処理に使われるクロームメッキに対して、ボルトやナットやシャフトなどに多用されているのがユニクロメッキです。鉄は生地そのままでは短時間で錆びてしまうため、サビを防ぐために何らかの処理が必要です。塗装もそのひとつであり、メッキもまた見た目を良くすると同時にサビを防ぐという重要な役割があります。
一般的にユニクロメッキと呼ばれるメッキは、鉄素材を亜鉛メッキした後にクロメート処理を行うことで形成されます。下地役となる亜鉛メッキには防錆効果が高いという特長がありますが、時間と共にメッキ表面に白サビが生じます。クロメート処理には白サビ防止、汚れの付着を抑制する役割があり、処理に使用する材料によって光沢クロメート、有色クロメート、黒色クロメートなど複数の色が存在します。

 

ホームセンターのネジ売り場で見かける、ユニクロと書かれたボルトやナットの中に、白っぽいものや黄色っぽいものがあるのは、クロメート処理の違いに由来しています。バイクのパーツも同様で、光沢クロメートと呼ばれる白っぽいものと、有色クロメートと呼ばれる黄色っぽいものが使い分けられています。

亜鉛メッキの膜厚や経年劣化によって鉄素材が酸化すると赤サビが発生する

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汚れでコーティングされたまま再生メッキを依頼すると、クラックなどのトラブルを見落とすリスクがあるため、水溶性のパーツクリーナーで洗浄する。ベンチグラインダーでサビ落としをする際も、オイルやグリスを落としておけばホイールブラシの汚れを軽減できる。

 

サビを防ぐのがユニクロメッキの重要な役割であるにも関わらず、湿気が多い場所で保管期間が長くなれば、サビが発生します。亜鉛は鉄より錆びやすい特性があり、鉄素材と接触している亜鉛は自ら腐食することで防錆効果を発揮します。
しかし亜鉛メッキの膜厚によっては腐食が鉄素材に達することもあり、鉄自体が一度錆びると腐食が一気に進行してしまいます。クロームメッキもユニクロメッキも鉄素材の上に異素材の金属を電気的にコーティングしています(水溶液中で析出させている)が、水分や湿気が金属被膜の下側に入り込んで鉄素材に到達すると、サビを止めることはできないのです。

ユニクロメッキの再メッキはクロームメッキの再メッキより低コストで施工できる

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モーター出力の大きなグラインダーがあれば硬い鉄もガリガリ削れるが、DIY用のベンチグラインダーでも効果は充分。パーツを押しつけた際にグラインダーが動かないよう、作業台などにしっかり固定するのがポイント。

 

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鉄製のホイールブラシに押し当てれば、サビだらけのタンデムステップホルダーがものの数十秒で金属光沢を放つようになる。ここまで磨いておけば、メッキ屋さんで塩酸剥離する際にもサビの根に到達しやすく、仕上がりも良くなる。

 

傷ついた塗装部品を再塗装するのと同様に、サビが発生したメッキパーツは再生メッキによって補修することが可能です。
再生メッキはメッキ屋さんに依頼して行いますが、クロームメッキの再生に比べてユニクロメッキの再生は比較的低コストでできるのが特長です。
クロームメッキとユニクロメッキを比較すると、クロームの方が光沢度が高くフェンダーなどは鏡面仕上げになるためユニクロメッキより見栄えが良いのは確かです。クロームメッキ仕上げの部品の多くは表面が鏡面で、その分下地をバフ掛けして厚いニッケルメッキを施した上にクロームメッキを行うため、手間もコストもかさむのは致し方ありません。
ただ車体全体を見渡した時、ボルトやビスの頭やシャフト類の端部、レバーやアームやステー類のユニクロメッキが輝いていると、バイク全体の印象がグッと良くなるのも事実です。それでいて、ボルトやナットやアクスルシャフトはバフ掛けするほどの鏡面度は不要なので、比較的リーズナブルな再生が可能です。

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