ディスクブレーキのブレーキキャリパーピストンは絶対にブレーキフルードを漏らしてはならず、一方でスムーズに動かなくてはならない矛盾した条件下で作動しています。そのためのメンテナンス項目が「ピストンの揉み出し」ですが、この作業にはもうひとつ、ピストンのサビを予防するという重要な役割もあります。
効きの変化がなくてもフリクションロスの軽減が期待できるピストン揉み出し

スズキGSX250Sカタナのフロンドブレーキキャリパーは異径2ピストン片押しタイプ。片押しなので必然的にピンスライドタイプとなる。

フロントフォークに固定するためのキャリパーサポートにスライドピンが付き、このピンの一部がブレーキパッドを支持するピボットシャフトとなっている。このタイプのトキコ製キャリパーはスズキだけでなくカワサキ車にも多用されている。

キャリパー上下の2本のピンは、一方がゴムブーツに挿入され、もう一方は根元にゴムの蛇腹があってキャリパー自体の穴に挿入されている。ゴムブーツ側はブーツが緩衝帯となってくれるが、ピンがキャリパーボディに直接ささる方は腐食=動作不良となるので潤滑が重要。
市販車向けには1960年代終盤に実用化されて以降、半世紀以上に渡ってブレーキシステムの中心にあるのがディスクブレーキです。現行機種ではABSとの組み合わせで装備されていますが、ブレーキフルードの液圧でキャリパーピストンを作動させて、ブレーキパッドでブレーキローターを挟み込んで速度を調整するという仕組みは50ccのスクーターからMotoGPマシンまで共通しています。
パッドとローターが摩擦することでパッドが摩耗するため、すり減ったら交換するのは当然ですが、ブレーキキャリパーにとってはパッドが削れて発生するパッドバスト(ブレーキダスト)を定期的に清掃することも重要です。
ディスクブレーキのレバーやペダルは、ブレーキパッドの摩耗が進行しても遊びの量が変わらないのが、ワイヤー作動式のドラムブレーキとの違いです。その理由は、パッドの摩耗に伴ってキャリパーピストンが徐々にせり出して行くためです。そして露出したキャリパーピストンにはパッドダストが付着します。
キャリパーとキャリパーピストンは、ゴム製のキャリパーシールとダストシールを介して接しており、キャリパー内部のフルードは漏らさず、ピストンのスムーズな動きを妨げないという絶妙な関係性の上に成り立っています。そのためには、キャリパーシールとダストシールを傷つけず、適度な潤滑状態を保つことが必要です。
メンテ意識の高いバイクユーザーの中には、キャリパーピストンの揉み出しを実践している人もいると思いますが、その具体的な目的とは何か? といえば上記の内容となります。
実際のところ、ブレーキフルードの液圧は高速で走行するバイクを止められるほど高いので、ピストンとシールの接触部分のフリクションロスが大きくても絶対的な制動力が明らかに低下するよなことはまれです。しかしピストンの汚れやシールのフリクションロス増加によって、レバーやペダルを離した際の戻りが悪くなると、パッドの引きずりの原因になることがあります。またレバーやペダルに加える力が弱い領域ではレスポンスが悪化する可能性もあります。
定期的な清掃と潤滑は、そうしたちょっとした違和感を解消するためにも有効です。
パッド交換時はピストンの汚れ落としが必須

パッドが摩耗してキャリパーボディからピストンが露出した状態で長期間放置すると、パッドダストが首輪のように付着する。画像はパッドを外してレバーを数回握ってピストンを押し出した状態で、汚れと硬質クロームメッキ面のコントラストが鮮やか。ダストシールの角部分にブレーキフルードが滲むと水分を呼ぶ原因になる。

柔らかい汚れは中性洗剤と歯ブラシで落ちるが、長年に渡って固着した汚れはワイヤーブラシの方が効果的。キャリパーボディ内部に向かってブラッシングするとダストシールを傷つけるリスクがあるので、レバーやペダルを操作して汚れた部分を押し出してから擦ると良い。

キャリパーボディが邪魔で汚れが取れない裏側は、キャリパーピストン用プライヤーで回転させる。シールがピストンに食いついて回りづらい時は、金属とゴム用潤滑スプレーを吹いてピストンを少しだけキャリパー内に戻し、接触部分に潤滑膜を作ると回しやすくなる。
パッド交換時期以外の定期清掃と別に、パッド交換時にも必ずピストン清掃を行うことが必須です。キャリパーピストンはブレーキパッドが摩耗するとキャリパーからせり出し、ピストン外周部にパッドダストが付着します。
パッド交換時にはせり出したピストンをキャリパー内部に押し戻しますが、付着したダストごと押し戻すとダストシールが汚れをかき落とすことになります。この時、ピストンに硬い汚れがこびり付いていると、柔らかいゴムシールにダメージを与えるリスクがあります。
幸いシールを破損しなかったとしても、ピストンとシールの接触面に巻き込まれた汚れが原因でキャリパー内部のフルード漏れが生じる恐れもあります。
パッドを交換するだけだったのにシールまで交換するハメになるとは……という事態を避けるにためには、ピストンを押し戻す前に必ず汚れを清掃しておくことが肝心です。
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流石にピストンをワイヤブラシで磨くはどうなんですかね……?
せめて、2000番手前後のペーパーか、ピカールでやらないと傷が……
デリケートなパーツにワイヤーブラシで挑むって?、吹いた。ここまでやるならピストンやシールを外してキャリパーの溝をホジ々清掃しピストンは磨きあげた方が良い、シールは爪楊枝とかでそっと外せば再使用しても大概OK。
これは酷い…
ナイロンブラシでダメならもうキャリパーオーバーホールです。
ワイヤーブラシは絶対だめ
参考写真だとしても、真鍮ピストンをステンレスワイヤーブラシで磨いてる絵はマズイのでは?