バイクの中で一番大きいブロックであるエンジン。
現在レストアしているCBR1000F(SC21)のエンジンは外からは見えないのがもったいないくらいカッコいい(……と自分は思っている)のですが、カウルの中は湿気がたまりやすいのか?錆と油と謎の汚れでかなりがっかりの状態でした。

とはいえメーターどおりほとんど走っていないエンジンだった可能性が高いため、エンジン自体の状態を簡単に確認したのち、DIYで可能な限り研磨をしてみることにしました。

【red_oneのDIYレストア】日記

エンジンの状態確認<その1>

最初にエンジンの状態を確認しました。ピストンが焼き付いていたり圧縮漏れをしていたらエンジンブロックをばらしてOHが必要になりますので……。

恐る恐るヘッドカバーを外して各所にベルハンマーを注油。クランクをレンチを使ってゆっくり動かし、まずはピストンやカムが正常に動くことを確認。
その後、プラグを外して圧縮計を接続。用意しておいた新しいバッテリーをつないでセルモーターを動かします。

キーシリンダーの接触不良があってドキッとしましたが、接点復活剤スプレーを吹いたところ問題が無くなり、見た目とは裏腹に(?)4気筒とも規定内の圧縮が出ることが確認できました。とりあえず幸先の良いスタートです。

欲張って(?)エンジンがかかるかキャブレターに外からガソリンを送り込み始動を試みたのですが、さすがにかかりませんでした。
この時はまだキャブの交換部品が入手できていなかったので、研磨を先行させることにしました。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

エンジンヘッド内部

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

エンジン内圧縮測定

エンジン研磨準備

高圧洗浄機をかけて汚れをある程度落とした後、冷却水の経路に詰まっていたヘドロを取り除き、エンジン内部の水路に問題がないことを確認。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

高圧洗浄後

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

洗浄前冷却水パイプの詰まり

その後、車輪やサス、周辺部品を外してエンジンを下します。
とはいえ一人で1000CCのエンジンを下すのは重くて難しいので、エンジンをローダーに乗せたエンジンジャッキで支えた状態にしてフレームを上方向に外すことにしました。
エンジン単体にした後、さっそく磨こうと思ったのですが、ジャッキがエンジンを支えている設置面ははがき1.5枚程度しかなく、雑に扱うと簡単に転倒しそうです。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

自作エンジンスタンド作成前

やはりエンジンスタンドに取り付けないと安心して作業ができなさそうなのですが、初心者の自分がプロが使うような整備用のエンジンスタンドを買うのも身分不相応のような気がしましたので、まずは2×4材とスチールアングルとロングボルトなどを使って現物合わせでエンジンスタンドをDIYで制作することにしました。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

自作エンジンスタンド作成後

エンジン研磨

自作のスタンドで転倒は回避できそうですので、いよいよエンジンを磨く準備に入っていくのですが、まずはエンジンの表面がどんな状態なのかを確認していきます。
エンジンブロックはアルミなので白錆に汚れが付着し、高圧洗浄後も茶色や緑色のままでした。汚れは主に冷却水が漏れた痕跡だということがわかりました。

手で磨いても簡単には落ちそうにない汚れと錆……先人の方々が年季の入ったエンジンをピカピカにする際、電動工具を使っていましたので、自分もできるだけ安価な電動工具を使って試してみることにしました。
CBR1000F(SC21)は水冷なのでエンジンには空冷用のフィンはないので比較的簡単?だとは思うのですが、エンジンブロックはそれなりに凸凹しています。
どんなツールが適切なのか?最初はわからないので、自分の経験値上げも兼ねて様々な道具を試してみました。
(研磨にあたっては粉塵が出るためしっかりした防塵マスクや防護眼鏡を装着して作業しています。)

電動グラインダー

以前購入したモーターが小さく、速さを変えられるものを使用しています。
電動ドリルなどに比べて回転が速く、研磨する力も強いため、短時間で汚れも錆も取り除くことができる半面うっかりすると削りすぎてしまうのと、通常の取付方法ではモーター部分が邪魔で奥まったところは研磨ができません。
研磨パッドやブラシを本体から離して使用できるようにするグラインダーアタッチメントを使用すると研磨できる箇所を増やすことができました。
(このアタッチメントを使用して作業をするときは完全自己責任となりますのでご注意ください。)

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

グラインダーアタッチメント

電動ドリル

有線式で速さを変えられる強力なものを新たに導入、フレキシブルシャフトをつないで使用しました。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

電動ドリル+フレキシブルシャフト

フレキシブルシャフトを使うとドリル本体を床に置いた状態でも使用できるため非常に楽になります。
3mm軸の金属ブラシを付けてペンのような状態にして使用すると誤って狙った場所じゃないところを削ってしまうことが無くなりました。
奥まった箇所も含め、ほとんどの場所を磨くことができるのでお勧めです。特に、アルミの白錆はステンレスのブラシが効果的で、時間はかかりますが無事にきれいにすることができました。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

研磨作業中

ただし3mm軸の金属ブラシの消耗は早く、研磨効率が下がるたびに交換することになりますので、自分は輸入通販で安価なものを箱買いして使用しました。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

3mm軸の金属ブラシ

エンジンの状態確認<その2>

エンジンスタンドを作ったおかげでオイルパンも外せるようになったので、オイルパンセパレーターを使って分解。オイルパン内部は特に気になる金属粉などもなく良好な状態でした。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

オイルパン内部

クラッチカバーも外してクラッチの状態を確認。こちらも気になる傷や摩耗等はなかったのですが、クラッチスプリングだけ自然長が許容範囲以下だったため新品部品に置き換えました。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

クラッチチェック中

外から見える非金属部品のオイルキャップをうっかり研磨してしまい……傷が目立つため、新品に変えようと思ったのですが痛恨の廃番……。
いろいろ調べた結果アフターパーツで油温計付きのものがありましたのでそちらを入手して装着することになりそうです。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

うっかり傷をつけてしまったオイルキャップ

研磨作業は地道な作業ですので、平面をある程度磨くのに丸1日、入り組んだところを磨くのに3日近くかけてのんびり進めました。

CBR1000F(SC21)のエンジンはカウルでほとんど見えなくなるため、鏡面仕上げにしてもあまり意味がない……と考え、錆が無くなり、ある程度綺麗になったところでグラスウールを使用して全体を軽く研磨し、一旦完了としました。

red_oneのDIYレストア、錆だらけのエンジンをリフレッシュしてみた<前編>

エンジンブロック研磨後

エンジン研磨作業まとめ

エンジンの状態を確認し作業方針を確定。エンジンスタンドを作り、様々なツールをつかって錆と油脂で汚れていたエンジンブロックを磨きました。
試行錯誤をしてみた結果、リーチできるところはグラインダー+グラインダーアタッチメント+ナイロン研磨パッドor細い真鍮ブラシ。届かないところは電動ドリル+フレキシブルシャフト+極小金属ブラシ。手仕上げはスチールウール。という役割分担で磨いていくと効率的に錆びと汚れを取り除くことができました。

大きめの真鍮カップブラシや研磨ディスクは凹が多い箇所にはリーチできないためあまり有効ではありませんでした。
電動工具の助けや様々な研磨道具の力を借りて何とか恥ずかしくない程度にまでは綺麗にすることができましたが、フルカウル車のエンジンですので、磨きのためのツールを使用してピカピカにするところまでは踏み込みませんでした。
フィン付きの空冷エンジンを鏡面磨きまでされる先人の方々の偉大さを実感した4日間でした。

次回も引き続きエンジンの周辺部品や外せる部品のリフレッシュや塗装を進めていきます。

使用した工具、備品

ラチェットレンチ
プラグレンチ
ベルハンマー
接点復活剤スプレー
圧力計
ディスクグラインダー
グラインダーアタッチメント(延長)
ナイロン研磨パッド
ディスクグラインダー用真鍮ブラシ(細)(5個くらい)
電動ドリル
フレキシブルシャフト
極小金属ブラシ(40個くらい)

自作エンジンスタンド材料

ロングボルト、ナット、ワッシャ
L型アングル
2×4材(1.5m程度)
ロング木ねじ
木材カット定規
金属切断ディスク

購入した部品

CBR1000F(SC21)純正部品
クラッチスプリング(純正)
油温計&レベルゲージ付きオイルキャップ(CB用社外品)

【red_oneのDIYレストア】日記

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