純正エアークリーナーケース仕様より吸入抵抗が少なく、エアーファンネル仕様よりもエンジン内部の保護性能が優れているのが、一般的にパワーフィルターと呼ばれているユニバーサルタイプのエアフィルターです。その代名詞的存在のK&N製フィルターは、特殊なコットンにオイルを浸透させてゴミやホコリの侵入を防いでいます。そのため走行距離が増えたりオフロードコースを走行するとフィルターが目詰まりするため、定期的なメンテナンスが必要です。

フィルターのプリーツに溜まった汚れで吸入抵抗が増加する

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エアークリーナーケースを取り外してパワーフィルターを装着すると吸入抵抗が減少するとともに見た目もスポーティに変貌する。ただしクリーナーケースの有無によってキャブのベンチュリーに発生する負圧が大きく変化するので、セッティング変更が必要になることも多い。

 

吸気系のモディファイでルックス的にも性能的にもカスタム効果があるとされているのがパワーフィルターの装着です。吸気音対策やエンジン内部を傷めないためのろ過性能を重視して開発された純正エアークリーナーボックスは、必ずしもエンジンのポテンシャルを100%引き出せているとは限りません。いわゆる「伸び代」があるかもしれません。
とはいえエアクリーナーを完全に取り去ったファンネル仕様は、吸気抵抗は確実にゼロ近くまで減少しますがゴミやホコリも吸い込み放題になるため、エンジン内部の摩耗やダメージの原因となります。
そこでクローズアップされるのが、クリーナーボックスの吸気抵抗を排除しつつ吸入空気をろ過できるユニバーサルタイプのエアーフィルター、いわゆるパワーフィルターです。パワーフィルターのパイオニアであり現在でもトップブランドとして知られるK&N社は、50年以上前に現在にもつながるハイフローエアフィルターを製品化しました。

この製品の特長は、4層のコットンガーゼを重ねることで空気を整流して吸入効率をアップする、ハイフロー効果を得られることです。ガーゼフィルターを重ねることで吸気抵抗が増えそうなイメージですが、乱流を整えるために積層しているのです。
キャブレターが吸い込む空気は、スロットル開度が大きくなるほど流速は速く、流量は多くなります。そのため、フィルターのコットンガーゼには汚れが溜まり、それが吸気抵抗の原因になります。そのため、K&N製を初めとしたパワーフィルターは定期的なクリーニングが不可欠です。
クリーニングのタイミングは、純正エアクリーナーエレメントのように明確な走行距離で示されているわけではありません。エアークリーナーケース内にあるフィルターエレメントと違って、外部に露出しているパワーフィルターは天候によって雨水が付着することもあれば、露天駐車中に吹く風で砂ぼこりが付着することもあるからです。
目安として、コットンガーゼを押さえているアルミメッシュ全体が黒く汚れきたら、クリーニング時期と考えると良いでしょう。後述しますが、エレメント表面にはフィルターオイルが浸透しており、アルミメッシュのオイルが汚れを吸い付けたタイミングが吸気効率低下の基準と判断できるからです。

専用クリーナーをスプレーして優しく水洗いする

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フィルタークリーナーをスプレーする。この洗浄剤は水溶性でフィルター素材にダメージを与えない専用品だ。パーツクリーナーや洗油を使用するとコットンガーゼフィルターを傷める場合があるので要注意。

 

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フィルターを洗浄したクリーナーは油分と汚れを落として黒く変色する。純正エアークリーナーボックスの開口部はシート下やサイドカバー内側にあるため、ある程度はホコリや汚れを避けられるが、パワーフィルターは直接外気に触れているので汚れの付着量も多くなる。

 

砂やホコリで汚れたフィルターは、専用のフィルタークリーナーで洗浄します。油分であればパーツクリーナーや洗油で事足りるような気もしますが、コットンガーゼはポリウレタン製のフィルタースポンジと異なりデリケートなので、水溶性のクリーナーを使用します。
なおこの洗浄方法はK&N製フィルターの手順なので、他のメーカーのフィルターでは異なる素材を使用しており、最適なクリーナー成分等が異なる場合もあるので、装着しているフィルターメーカーの指示に従いましょう。
水性のK&N製フィルタークリーナーをフィルター面に塗布したら、10分ほど各部に浸透させてから空気の流れと反対方向に水道ホースの水を当てて汚れを押し出します。画像のタイプのフィルターであれば、テーパー形状の内側にホースを入れて水を流します。空気の流れと同じように外側から内側に向けて水を掛けると、コットンガーゼに汚れを押し込むことになります。
フィルタークリーナーはあくまでフィルターオイルを溶解するもので、ゴミやホコリを溶かすわけではありません。したがってフィルターの表面に付着した固形物は水流で押し流すのが大前提です。

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