現代のバイクには無いレトロかつシンプルなメカニズムを採用したポイント制御の点火システム。「ポイント接点が開いた瞬間」にアースが途切れることで、イグニッションコイル(IGコイル)の一次コイルへ急激に電気が流れ、IGコイルによって電気が増幅されてプラグコードを伝わりスパークプラグが着火。そんな点火系の「要」部品でもあるポイントは、並列接続されるコンデンサとともに、たいへん重要な役割を持つパーツである。それと同時に、定期的なメンテナンスが必要なパーツでもある。ここでは、ポイントモデルのメンテナンスと関連事項に注目してみよう。
接点の汚れは「ミスファイヤ」の原因になる
ポイントメンテナンスでもっとも重要かつ単純な作業のひとつに接点部分の「汚れそうじ」がある。接点が汚れていると、仮に接触していても導通が無いため、常時ポイントが開いているのと同じ状況になる。そのため、火花を飛ばす信号を得られないためスパークプラグに火が飛ばないのだ。パーツクリーナーで洗浄しても良いが、他の部分に悪影響を及ぼしてしまう(油分を脱脂してしまう)こともあるので、まずはコピー用紙の切れ端を短冊に切り、二つ折りにして閉じたポイントに挟んでみよう。スプリングが強く引き抜こうとすると紙が切れてしまうので、マイナスドライバーなどでポイントアームを軽く持ち上げ気味にして、テンションを感じながら短冊紙を引き抜こう。こんな作業でポイント接点の汚れは除去できるが、取り切れない時にはパーツクリーナーなども併用するのが良い。
ポイント接点の開閉タイミングはカム山が司る
ベークライト製(強化プラスチック製)のポイントヒールと呼ばれる部分がカム山に乗り上げることでポイントが開く。つまりポイントヒールはカム山と摺動しているため、ある程度、使い込まれるうちにポイントヒールが減ってしまい、点火タイミングが狂ってしまうことになる。だから定期的なポイント調整確認が必要になるのだ。ポイントギャップの減りを抑制するためにグリスを塗布するが、そのグリスが飛び散らないように保持しているのがオイルフェルトの役割だ。ポイントメンテナンスの実践時には、このオイルフェルトにグリスを染み込ませて、常にポイントカムを潤滑できる環境にしよう。また、4ストロークエンジンには点火進角機能を持つモデルが多いが、機械式進角はエンジン回転による遠心力で作動している。ポイント接点を断続させるカム山は、点火進角を行うスパークアドパンサー(ガバナ)と一体になっているため、定期的な点検洗浄やグリスアップが必要なのだ。ガバナ本体を固定してカム山をグイッとひねってスムーズに作動すれば良いが、動きが渋いときや戻りが悪いときには分解洗浄と擦り合わせを行い、適量なグリスアップ後に復元しよう。
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