キャブレター車でもインジェクション車でも、走行距離に応じて交換するのがスパークプラグです。プラグを着脱する際はシリンダーヘッドのネジ山を傷めないよう注意が必要で、中でもプラグを外す前にプラグホールに溜まった汚れや砂利を取り除いておくことが重要です。エアーコンプレッサーがなければ自転車の空気入れも使えるので、必ず「プシューッ」とひと吹きしてから取り外すことを習慣づけましょう。

スパークプラグの根元に積もった砂利がネジ山に引っかかる

キャブレター車はキャブセッティング確認のためにスパークプラグを着脱する機会が多いが、インジェクション車はプラグ交換のタイミングまで一度も着脱しない例も少なくない。プラグ交換までの走行距離は車両によって異なるが、プラグメーカーのホームページには3000~5000kmと表記されている(NGK製一般プラグ、イリジウムプラグの場合)

 

吸気系がフューエルインジェクションに変わったことでプラグかぶりがなくなり、キャブ時代のようにプラグの焼け具合を確認する機会も激減しました。それどころか、現在ではいざプラグを外そうとすればカウルやガソリンタンクまで外さなくてはならない機種も多く、心理的にもプラグは遠い存在になりつつあります。
しかしながら、高圧縮の燃焼室内で高電圧によるスパークを飛ばし続けるプラグは、走行距離が増えるほど電極が摩耗して着火性能が低下するため、定期的な交換が必要です。この宿命はキャブレター車でもインジェクション車にも共通しています。

 

プラグを着脱する際に最も注意すべきなのは、シリンダーヘッドのネジ山を傷めないよう作業することです。プラグをシリンダーヘッドに取り付ける際「最初は指でプラグをねじ込み、ネジ山がしっかり噛み合ってからプラグレンチを使うようにする」のは、初めから工具を使うとプラグが傾いたりネジ山に砂利が詰まっていても締め付けトルクが掛かってしまうため、異常に気づきづらいからと言われています。

プラグホールが深いエンジンほど溜まった異物が抜けづらい

このエンジンの場合、プラグの側面が見えるためプラグホールの汚れが確認しやすいが、多気筒エンジンで完全な穴の底にプラグがある場合、エアーブローしている場所すら見えないことも珍しくない。プラグキャップを外してエアーを吹き込み、噴き上がる砂利やホコリがなくなったら清掃完了と判断する。シリンダーヘッドカバーガスケットのシール性低下で流れ込んだエンジンオイルが噴き出した場合、ガスケット交換が必要だ。

 

空冷2バルブエンジンと水冷4バルブエンジンでは、シリンダーヘッドに対するスパークプラグの位置や取り付け方が異なり、エンジン形式によってさまざまなパターンがあります。
スポーツモデルで一般的な水冷4バルブエンジンの場合、プラグはシリンダーヘッドカバーよりずい分深い場所に取り付けられています。これは燃焼室に対して吸排気バルブの挟み角が狭く、カムシャフトの位置が高くなっているためです。
このようなエンジンの場合、プラグソケットを使わなければプラグの先端に指先すら届かないことも珍しくありません。その際も最初からラチェットハンドルやブレーカーバーを使わず、ソケットやソケットにつないだエクステンションバーを指で回すことでオーバートルクによる締め付けを予防でき、ネジ山の異常に気づくことができます。

 

しかしプラグを取り付ける工程だけでなく、実は取り外す際にも注意が必要です。というのは、プラグの座金周辺に溜まった異物がネジ山に引っかかる事例が少なくないのです。プラグホールが深いと走行中にタイヤが巻き上げるゴミや砂利が入りやすく、一度入ると抜けづらくなります。
そしてこの状態でプラグを取り外すと、プラグホール底に溜まったゴミがネジ山から燃焼室内に入ってしまいます。エンジンの外側からプラグが見えていれば座金周辺の状態も容易に確認できます。しかしシリンダーヘッド上にガソリンタンクやエアークリーナーケースが覆う被さるようにレイアウトされた4気筒エンジンの2、3番シリンダーのプラグとなると、プラグソケットを挿入する際も手探り状態で、プラグホールの底部などとても確認できないということも少なくありません。
プラグ穴を塞ぐカバー付きプラグキャップを採用している機種は異物混入対策にかなり有利ですが、完璧ではないかも知れません。また経年変化によりシリンダヘッドカバーのガスケットのシール性が低下したことで、プラグホールにエンジンオイルが溜まっていることもあります。

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