チェーンツールがあれば既製チェーンのコマ数調整もできる

新たなチェーンをリンク数指定で入手した場合はそのまま装着できるが、既製品を購入した際はチェーンツールで端数を切断してからスプロケットに掛けて確認する。

 

webikeのECサイトでは指定のリンク数でチェーンを購入できますが、チェーンツールを持っていれば決まったリンク数で販売されている既製品のコマ数を調整できます。数万kmに一度しか出番がないアイテムですが、セール品で110リンクのチェーンを購入して自分でリンク数を調整できれば便利なのは確かです。

かしめジョイントのプレート圧入時は押し込みすぎに要注意

かしめ式ジョイントに付属のOリングをセットして専用グリスを塗布する。このグリスは他のリンクのピンとブッシュの間に封入されているのと同じ物で、ピンやOリングにまんべんなく塗布してからチェーンに組み付ける。

 

手前のプレート下にもOリングをセットして、ピンにプレートをセットする。ノンシールチェーンのプレートはピンにスッと差し込めるが、シールチェーンのプレートはピンの先端が引っかかる程度。

 

チェーンツールにプレート圧入用のアタッチメントを取り付けて、プレートを圧入する.このチェーンツールはピン部分を切り欠いて逃げているが、プレート表面から突き出したピンの頭を受け止めることで圧入量を決める製品もある。

 

プレート圧入量が多すぎても少なすぎても良くないので、圧入途中でジョイントプレートの外幅を測定して他のプレートと比較する。圧入しすぎると元に戻せないので、圧入量が少ない状態から様子を見ながら追加で押し込むと良い。

 

シールチェーンのかしめジョイントを組み付ける際は「プレート圧入」「ピンかしめ」の順に行います。ノンシールチェーンの場合、ジョイントプレートはピンに対して甘いため手で組み付けることができます。
これに対してシールチェーンのプレートはピン外径とプレート穴内径の差が小さく、指先や汎用ツールのプライヤーで組み付けることができません。その理由はジョイントに組み付けるOリングにあります。
シールチェーンのOリングはピンとブッシュの空間に注入したグリスを漏出させないために存在しています。そのため、クリップ固定のノンシールチェーン用ジョイントのようにプレートが動くとOリングに加わる圧力が変化して一定のシール性を保つことができないのです。そのためプレートがずれないようピンに対して圧入して位置を決めているのです。
プレート圧入モードでチェーンツールを使用すると、裏側でジョイントとピンを支えながら表側からプレートを垂直に圧入できます。ここではプレートを押し込みすぎないよう慎重に圧入することが重要です。
プレートの圧入量が少ないとOリングに加わる圧力が不足してグリスの漏出を招き、ピンをかしめる際にもピン先端が充分に広がらずトラブルの原因となります。だからといって過剰に圧入するとOリングが大きく潰れてしまい、摩耗や切断、フリクションロス増大につながります。
チェーンツールの中には、プレートから突き出したピンの長さによって適正な圧入量が判断できる製品もあります。そうした機能がない場合、ノギスで他のリンクのジョイント幅を測定して、その幅に合わせて圧入すれば間違いありません。

ピン先端のかしめ作業は緩すぎず強すぎずの微調整がカギ

先端が円錐状のピンかしめアタッチメントを使って、ピンの頭を広げていく。

 

アタッチメントがピンの中心に収まった状態でねじ込むと、先端の直径が拡大して抜け止めとなる。広げすぎると外縁が裂けてかしめ不良となるので、その場合はかしめ作業はやり直しとなるので要注意。

 

かしめジョイントのピン先端には丸い穴があり、ここにかしめツールを強く押しつけてピン外周を広げて抜け止めとします。ピンの先端を潰すためには強い力が必要で、かしめボルトに適切なトルクを加えられるよう、ハンドルの長いメガネレンチを使用すると良いでしょう。
プレート圧入時と同様にピンのかしめ量にも適正値があります。かしめ量が少なくピンの頭が充分に広がらなければプレートが外れる危険性があり、かしめ過ぎるとピンの外周にヒビが入ったり割れることもあります。
こうしたトラブルを防ぐため、製品ごとにかしめ後のピン頭の寸法を明記しているチェーンメーカーもあります。ジョイントピンの直径はチェーンサイズによって異なりますが、例えば520のような同一系列のチェーンでも、製品特性によって異なるピン径を使い分けている製品もあるため、かしめ後のピン頭の直径がどの程度になれば適正かは、チェーンメーカーのホームページなどで確認してから作業することをおすすめします。
重要保安部品であるドライブチェーンの取り扱いには細心の注意が必要で、交換作業時に使用する工具も信頼できる物を選択することが重要です。DIYでシールチェーン交換を行う際は、事前の準備を整えた上で作業を実践しましょう。

POINT

  • ポイント1・シールチェーンを交換する際は専用工具のチェーンツールが不可欠
  • ポイント2・ジョイントプレートの圧入、ジョイントピンのかしめには細心の注意が必要

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