1960年代から70年代と言えば、2ストロークエンジン搭載モデルが数多く登場したことで知られているが、中でも個性的なモデルとして、2スト原2(原付二種)ファンに注目されたモデルが、前傾ツインエンジンを搭載したスズキウルフ90と125である。しかし、このモデルは、故障が多いモデルとしても知られていた。そんな弱点を、他メーカーモデルに習って改良改善してみた結果をリポートしよう。

個性的デザインのスズキウルフ125をカスタム化  

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ノーマルのウルフ125やヤマハのリトルツインシリーズ(AT90/HS-1/HS90やAS2/AS3RD125など)のどのモデルとも違ったエンジンフィーリングを持っていた、自作のエキスパンションチャンバーを装着したウルフ125。スピードメーターフルスケールを楽々振り切るエンジンパフォーマンスを持っていた。ウルフ125をベースに、同じスズキの2スト原2モデルであるGT/GP系足周りに換装。GS125用星型キャストを組み込んだことで、見た目もスズキらしさを増しているウルフカスタム。その製作途中に、オーナーさんから承諾を得て試乗させていただくことができた。

特異なエンジンオイル供給システム  





スズキAS50の前傾単気筒を2連装したかのようなエンジンレイアウトは、往年のイタリアンバイク的な印象でもある。トータルデザインで見ても、まさにヨーロピアンデザイン、特に、イタリアンデザインを意識していたのは明らかなウルフシリーズ。同シリーズは「焼き付きやすいエンジン」として知られているモデルだが、CCIオイルポンプは、クランクベアリングにも自動給油するシステムを採用。しかし、何故か、シリンダーの焼き付きトラブルが多かった。一般的に当時の前傾エンジンでは、ロータリーディスクバルブもしくはクランクケースリードバルブ仕様車が多く、ピストンバルブでしかもダウンドラフトキャブが装備されるのは超個性的だった。

シリンダー壁にオイル通路があるウルフ125 



シリンダーの内壁、つまりピストン摺動面に分離給油のオイル供給孔があるウルフのツインエンジン。このようなオイル供給通路は、スズキ2ストロークでも珍しいタイプ。このエンジンオイル供給システムを改め、一般的なオイル通路(吸入ポートでガソリンと混合するタイプ)に変更してみたのがマシンオーナーさんだった。

オイル通路を銅パイプで新規製作&圧入固定 



シリンダーベースガスケット面からシリンダー内壁へ向けてオイル通路が設けられているウルフ125だが、シリンダーベースガスケット面から銅パイプを圧入し、キャブインテイク部まで銅パイプを伸ばしてオイル噴射ノズルを移動。この吸入ポートにノズルがあれば、吸い込まれる混合気とエンジンオイルがしっかり混ざり易くなり、トータルで潤滑性能が高まると考えたのがマシンオーナーさんだった。

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