
愛車用パーツを自作してみたい!! 形状変更してみたい!! DIY好きな愛車家サンデーメカニックになると、市販されていないパーツを自作してみようと考えることは多い。ここでは、エアーファンネル付きキャブレターの「ファンネルキャップ」を樹脂素材板からDIY製作してみた一部始終をリポートしよう。
目次
「綿棒」包装のキャップが代用可!?
「綿棒」容器のフタが手元にあったので、お椀のようなカタチのアルミ製エアーファンネルにセットしたところ、何ともバッチグーなサイズ!!こんなことがあるから樹脂容器のフタを捨てられなくなってしまう……!?
樹脂板は熱成型可能!?
カーベック(CARVEK)が取り扱う高温乾燥器シリーズの中で最小サイズにあたる「CV-Junior」。台所にあるオーブンを、縦長の二階建てにしたような商品で、室内容量を大きくしているのが特徴だ。模型ショップやデザイン系に強いホビー系ショップで取り扱われる各種樹脂素材の板。今回は乳白色で2mm厚のPE素材板を利用した。
木っ端を木型にした樹脂板成型
アルミ製カールファンネルの外径寸法をノギスで測定。このファンネル外径に合わせてカポッとハメることができる樹脂製カバーを製作しよう。実測寸法でΦ69mmだったので、今回利用するPE製素材板の厚さ2mmを加味した寸法、つまり69+(2+2)=Φ73mmの真円をコンパスで木板にケガいた。木板は12mmの厚さを利用した。Φ73mmのピッタリ寸法のホールソーが無かったので、Φ70mmのホールソーを利用して、中心をズラすことなく穴あけ作業を開始。穴あけ作業後、木工用ジグソーを利用してコンパスでケガいた線の上をトレースするように穴サイズを拡大した。カット時には木板が暴れないようにしっかり固定しよう。穴あけ終了後、カットした端面の凸凹を紙ヤスリのフラップホイールで仕上げる。ジグソーでの穴拡大時に神経を使うことで、この仕上げ作業は圧倒的に楽になる。エッジは面取りしよう。この木板がPE板を曲げるときの木型になる。カールファンネルを穴の中に入れると、PE板の厚さ分を残してあるため、その分だけガタがある。真円に極めて近く穴加工することができた。
PE素材板を熱成型開始
PE製の素材板は、大きなホームセンターや工作部品などを数多く販売しているホビークラフト系ショップで販売されている。仕上がり外径+40mmくらいの大きさで丸くカット。ハサミで切れる。PE板は90~120℃の温度で曲げ加工ができるそうだ。温度の違いは素材板の密度によって変わる。密度が濃い素材板では120℃近くでプリヒートしないと柔らかくならないそうだ。CVジュニアの温度管理はTEMPダイヤルでセッティングできる。付属品の温度計で実温度を簡易測定しながらダイヤル調整しよう。本体のダイヤルとほぼ同じデータを示してくれたので良かった。木型の上にPE板を載せたままで加熱していくと、90℃近くでPE素材板は乳白色から透明(クリア)に変化し100℃を超えたあたりでスルメのように部分的に反ってきた。ここが曲げ頃のようだ。
抜き穴に丸棒を押し込んでみると!?
火傷しないように軍手の上から綿手をして、乾燥器内から木型とPE素材板を取り出す。素早くアルミ製のエアーファンネルを直接押し込み成形開始。綿手はきめ細かいので表面キズの防止にもなる。平らな作業台の上で木型越しにアルミ製ファンネルを押し付け、さらに切り抜いた木片でファンネルを押し付け続ける。透明だったPE板が、冷えるに従い再び乳白色へと変化していく。完全に乳白色へと戻った。つまりある程度以上冷えたことになるが、この押し付け状態を保持キープした上でPE板が完全に冷えるまで時間の経過を待とう。冷える前に脱型してしまうのはNGだ。
ハサミで不要箇所をカットして完成
素材板をカットしたときと同じように、比較的頑丈なハサミを使って外周の余分な箇所を切り落とす。板厚2mm程度のPE板ならハサミで簡単にカットすることができる。カールファンネルの場合は、引っ掛かり部分ギリギリにカットしてしまうと引っ掛かりが浅くなり外れてしまいやすくなるので注意。5mm程度残して深めにカットしておいた方が良さそうだ。
撮影協力/モデルクリエイトマキシ
- ポイント1・樹脂板素材で部品は熱成型可能
- ポイント2・カーベックCV-Juniorは様々な用途で夢実現できる
- ポイント3・ワンオフパーツで充実度満点!!
作業実践をお願いしたモデルクリエイトマキシの板橋さんによれば、カウル周辺パーツや各種カバー類を自作するときにはFRP成形を用いる例が多いが、パーツの形状やサイズ次第では「樹脂板を素材に部品を製作」した方が、実は、簡単なケースもあるそうだ。例えばABS樹脂の場合は、熱で簡単に曲がり、しかも溶剤(アセトン)に溶ける性質があるため、その特性を利用すれば樹脂板同士を想像以上に強固に接着することも可能になるそうだ。
今回は、耐ガソリン性が良好な半透明のPE樹脂板を素材にエアーファンネルカバー作りにチャレンジした。火傷に気をつければ、小学生でも楽しめるような作業内容だった。実作業にあたっては、各素材の物性変化温度を知っておきたい。PE樹脂の場合は90~120℃、ABS樹脂では120~140℃、PP樹脂なら100~110℃といった具合らしい。温度が一定でないのは、同じ樹脂素材でも「樹脂密度」の違いによって、物性変化温度に違いが出るそうだ。
今回は、エアーファンネルがアルミ製のため、熱に強くファンネルそのものを押し型として利用することができたが、仮に、樹脂製ファンネルだったら金属製か木製であらかじめ押し型を作らなくてはいけないことも知っておきたい。このような方法で部品作りが可能なことを知れば、勘が良いサンデーメカニックなら、様々なアイディアが浮かんでいるのではないだろうか?
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